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第31回 村長散歩日記【村内編】 231016(週末配信)

(島田啓介マインドフルネス・ビレッジ村長による村長日記です♪)
 
 季節は農作業、森作業を待ってくれません。田舎に暮らすことは体を動かすこと。言い訳する間はなく、季節はどんどん移っていきます。人間の都合など考えてはくれません。自然は、もう一度「暮らし」を振り返る必要を思い出させてくれます。「本当にその生き方でいいの?」と。私たちは大きな何かを失いながら、それを見ようとしていないのかもしれません。
 カレッジで「現代社会とマインドフルネス」を担当しながら、家族やコミュニティに思いを向けています。

写真は全て島田啓介さんによる提供です♪


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【第31回:惜しみなく与える~喜捨の生き方】


*「捨てるようにくれてやることだ」、かつて友人はぶっきらぼうに言った。そんなものはいらないから好きなようにしろ。その言い方にはしかし、やさしさと幾分かの哀しみが込められていた。そう言えたらどんなにか楽だろう。そう生きられない自分に言い訳しながら生きているのである。いつかはそうしたい、きっとそうすると。
 そうなったためしがないから、言い訳なのだ。今までも同じことを言ってきた証だ。言い訳した瞬間に自分が自分を裏切る。
「捨て聖」とは、捨てて、捨てて、捨て果てたそのあとに、念仏踊りだけが残った一遍上人の尊称である。一編とは一が遍(あまね)く行き渡ること。ただそれだけが、肉体を失っても踊り続けている。「一期は夢よただ狂え」、そのように生きた人がいた。


 もっとも大きな贈り物、それは自分自身だ。「友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない」。イエス自身、そのように生きて死に、弟子に示した。友とは誰か? その指はまっすぐ私たちを指している。それだけ大きな愛に応えられる自分はいるだろうか?
 自分が、自分がと、みな頭を突き出すことに懸命だ。そのうち死んでしまうのに、空しい競争に身をやつしている。老年になって気がつくだろう、もはや与える何ひとつないことに。輝きはいったいどこに失せたのだろう? 自分だけのために蕩尽したのだ。孤独な星となって燃え尽きるまで。
 秋は旅のためにある。あちこちのコミュニティ巡りをしながら、人間はどこに向かうのかと考えている。マインドフルネス・カレッジの選択科目「現代社会とマインドフルネス」がまさにそのテーマを扱っている。今を見つめることは、未来を見ることだ。過去を未来に接続することだ。
 第2回は「家族とコンパッション」。家族の崩壊と孤立が指摘されて久しい。いまや家族は形骸化した前時代の遺物のようにさえ思えてくる。家族とは何か? 血縁でくくられる、国家支配の出先機関としての家族の機能には限界が見えている。独身者、単身世帯の急増を見ても、それは明らかだ。
 家族とは何か? ひとことで「惜しみなく与えあう関係性」である。ぼくはそれを、歳をとって寝たきりになってもおむつを替えることのできる間柄と定義する。他人であってもかまわない。利害では測れない。困りごとがあるなら動ける私がやろう、その身口意の連動である。困りごとは人を結びつける絆になる。

 安曇野のパーマカルチャー・コミュニティ「シャンティクティ(平和の巡礼宿という意味)」で、3日間の恒例リトリートを今年もさせていただいた。ここはすべてを喜捨(ドネーション)で運営することに決め、それを実践している宿である。
 宿泊費はもちろん、食費、ワークショップ代も含む。ぼくの講師謝礼も当然ながら終わってみないとわからない。今回は「惜しみなく与えあう」という喜捨の心について、リトリートの冒頭でお伝えした。与えるものは金銭に限らない。むしろ金銭だけのやりとりになれば、関係性は枯れる。
 リトリートは、講師や参加者、主催者の区別なく、それぞれの立場を超えて与えあう場になった。ぼくにとってもそれは、怖れを超えてすべてが結び合うモデルになるような貴重な体験だった。
 仏教には「無財の七施」の教えがあり、金銭による財施だけでなく「眼差し、表情、言葉、行動、心、場所、もてなし」を惜しみなく与えることが勧められている。それは自他不離の認識であり、すべての人が等しく解放される唯一の道である。与えることと受け取ることが不即不離に同時に起こる。
 このところどこへ赴いても喜捨の恩恵にあずかっている。争いの絶えない残酷な世界であれ、なお勇気と善意にあふれた人々は確実に存在する。それを信じて進むことが修行だろう。だからこそ、あきらめないでいられるのだ。

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*毎月のスケジュールはこちら(ときおり変更もあるので、必ず以下から確 認してください)
https://mindfulness-village.mystrikingly.com/schedule



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