第15回 村長散歩日記【日常編】 230602(毎週ほぼ木曜配信)
(島田啓介マインドフルネス・ビレッジ村長による村長日記です♪)
回覧板代わりの村長日記。
5月のほとんど半分くらいは家を出ていました。コロナが明けるにつれて、人に会う機会が増えていきます。多忙さや久しぶりの刺激に、疲れ切ることもあります。何を選び、何を手放すのか、移行期には見定めることが必要ですね。
ビレッジは村外向けの参加自由のイベントもあります。興味を持ったらぜひいらしてくださいね。
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【第15回:いろいろなチャンネルを楽しむ】
*ティク・ナット・ハンのガーター(偈頌)に、テレビについて書いたものがある。ネット時代の感覚としてはいささか古いかもしれないが、紹介しよう。
〈テレビをつける〉
私の心はテレビジョン
数え切れないチャンネルから
静かで穏やかな世界を選ぼう
いつも新たな喜びが続くように
『今このとき、すばらしいこのとき~日々の暮らしの中で唱えるマインドフルネスのことば』(ティク・ナット・ハン/島田啓介訳 野草社)216ページ
唯識による心の見方であるが、そうした知識がなくても日常的に覚えのあることだろう。私たちの心がまわりに投射され、世界を作っている。世界はその都度の人の心の側面なのだ。ダイヤモンドの切子の面のように。
何かの仕事やプロジェクトに取り組むとき、その付き合いの中だけではなかなかお互いの理解は進まない。目的に沿った行動の間では、必要な部分しか(不必要な面は出さず)見せないからだ。
仕事帰りに(今や死語となった)飲みにケーションが必要とされたのも、職場以外の場で飲み食いすることで、相手のよりプライベートな面を知ることができるからだろう。仕事とプライベートを分けたい最近の若者たちには、もっぱら不評を買っているようだが。
そうしたところで、酔った頭ではまともなやり取りができない可能性もある。ふだんの抑圧が強い人々が集まると、たんなる愚痴大会で終わってしまいそうだ。ましな方法はないだろうか?
最近あるプロジェクトに携わる人から、グループ内の相互理解を深めるのに良い方法はないか相談を受けた。ぼくは、「仕事とは関係ない作業を一緒にすること」、たとえば「汗を流す農作業とか、料理とか、一緒に何かを作るような体験」を提案した。
目的を絞った仕事では、それを完遂するために切り捨てねばならないことが少なくない。しかし利害を離れてただ楽しみのために、または違った体験を共有するとき、お互いの違った面があらわれる。そうした体験が、仕事に戻ったときに互いを受け入れ協調する器を広げてくれるのではないだろうか。
一緒に食事すること ―—― できればアルコール抜きに食べるのもおすすめだ。酔うのも悪くはないが、それによってまた別の局面が生じる。だからこそいいのだという人もいるだろうが、飲めない人、または飲まない人にとっては、少々居心地が悪い場合もある。
ぼくはある理由から飲まなくなって久しいが、一向に困らないどころか、素面のコミュニケーションの方が楽だし、田舎に住んで車の運転の心配をしなくていいのが最大のメリットだ。
今年も、群馬県の渋川市の生家(江戸時代の古民家)の再生作業を多くの友人たちの助力によって進めているが、作業に汗を流すことはもちろん、一緒に食べること、温泉に行くことが、お互いの親しみを増す重要な要素である。
そうしたおまけのような時間の会話の中で、良い閃きが生まれたりもする。ぼくが畑で多くのアイディアを思いつくのと似ているかもしれない。机の前でうなっても埒が明かないとき、ぼくは散歩に出たり、畑作業に切り替えたりする。結果的にその方が健康的だし、現実に良い方策が見つかるからだ。
人間には様々な側面がある。たんに「役立つ」ためや「目的にかなった」ことだけではなく、遊びや寄り道を含めて多様な体験を、できれば仲間と一緒に楽しむことは重要だ。
マインドフルネス・ビレッジのプログラムにも様々な学びがあるが、「遊び」や「楽しさ」は欠かせない要素だ。講座で一緒になった人が、ほかの講座ではまったく違った面を見せてくれるかもしれない。ぼくにはそういった体験があるし、それを楽しみにもしている。
ぜひたまには、興味のなかったプログラムにも出てみてほしい。そこで違った自分、違った相手に出会えるかもしれないから。
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毎月のスケジュールはこちら(ときおり変更もあるので、必ず以下から確認してください)
https://mindfulness-village.mystrikingly.com/schedule