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日・月・火・水・木・金・土の視点での環境づくり

岩手県では、2020年からの幼児教育センターの設置に向けて、幼稚園や保育園の垣根を超えて関係者が集まって議論を重ねています。
議論の中では、保護者のニーズや時代の変化に対応するため、保育者の専門性の向上に向けた研修機会の確保が大きなテーマとなっています。
そんな中で、世田谷区のおおわだ保育園の園長でもあり、内閣府子ども子育て本部の上席調査員に任命されている馬場耕一郎氏を岩手県にお招きして、幼稚園・保育園の関係者に対して講演をしてもらいました。

研修を単に知識を増やすだけでなく、これまでの教育・保育の常識や当たり前を見直すきっかけにして欲しいという冒頭の言葉どおり、たくさんの刺激的なお話を伺うことができました。
中でも特に印象に残っているのが「幼児教育・保育で意識していることは、日・月・火・水・木・金・土の視点での環境づくり」という言葉です。

太陽の光をたくさん浴びる環境をつくること
障子などを使って月明かりのように少しの光の環境をつくること
薪ストーブなど火が身近にある環境をつくること
水遊びができる環境をつくること
床を木材にするなど、木と触れ合う環境をつくること
磁石を使えるような金属のある環境をつくること
土遊びでできる環境をつくること

幼児教育・保育は、子ども達が育つ「環境」をつくることが大切であり、遊びを通じて学びを深めるために、細部の環境にまで心を配っている姿勢にとても刺激を受けました。
また、馬場園長の経営する園では、グラウンドの真ん中に大きな砂場を作っているのですが、運動会などで邪魔になるのではという懸念の声に対して「年に2、3回しかない行事のために、毎日の子ども達の環境が損なわれるのは違う」と明確に否定されたようです。
この辺りからも、馬場園長の子ども達のために最適な環境をつくることへの覚悟と気概が感じられました。

この他にも、幼児教育・保育には、五感を複数刺激することが大切で、給食の調理場を全面ガラス張りにして、這い這いをしている乳児も見れるようにしているようです。
現在は、家庭環境の変化で調理場面を全ての子ども達が見る機会が十分にあるわけではないので、視覚(調理の姿)・聴覚(食材を切る音)・嗅覚(匂い)・触覚(食感)・味覚(味)に多く触れることのできる料理は、幼児教育・保育の大切な環境だと教えられました。
保育者には、子ども達に必要となる環境も時代とともに変わっていく中で、時代の変化を敏感に感じる力も求められているのだと思います。

立場上、高校教育や義務教育の話を聞く機会が多くなってしまいますが、幼児教育・保育の話を聞いて、違った視点での気づきや学びの多い講演となりました。特にも「環境」を通じて子ども達の学びを支えていくという姿勢は、発達段階に関係なく、教育者が持つべき大切な視点だと勉強になりました。
子どもを中心に置いて、細部の環境まで心を配り、時代の変化に合わせて、絶えず最適な在り方を追求する姿勢は見習っていきたいです。

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