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004「みつるとみちこ」みつる、妻帯者に言い寄られる。

うう。月一更新になりつつある。もっと書きたいのに、絶望的に時間が足りない。皆さま、お待たせしまくっていて、申し訳ありません。気長にお付き合いください。


みつるが祇園に移り住んで、十年あまりが過ぎた。
厳しい修行のおかげで、一人前の芸子に成長した。
特に、三味線で、その才能が開花した。
お座敷に呼ばれることも増えた。

そのころ、一人の男が、ひんぱんにお座敷に足を運ぶようになった。
明らかに、みつるだけに会いに来ていた。

なんたって、祇園のお座敷である。一言さんお断り、格式が高い。出入りするには相応のお金がかかる。
しかし、男には、そんなことは関係なかった。ただただ、みつるを目当てに、男はひんぱんにお座敷に足を運んだ。
お金は、持っていた。若いけど、会社の社長で、戦争の特需で大儲けしたらしい。

そして、何より、男はピュアであった。
あなたが好きです。もっともっと、あなたのそばにいたい。
男は、嘘偽りなく、自分の気持ちを、女に伝え続けた。
自分が田舎者であることも、隠さなかった。

最初は面食らっていたみつるも、男のピュアな思いに、少しずつ心を許し、次第にお互いのことを語り合うようになっていった。
ただ、男が妻帯者であることを告白してきたところで、そこでさすがに、ちょっとひいた。

この男は私のことが好き。いい男で、お金持ちで、純朴。
でも、彼には奥さんも子供もいる。
この人と深い中になっても、私は結婚できない。どうしよう。

どうする、みつる。

(この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。)


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