台風19号【栃木・群馬】災害から1か月「想定外」の場所での被害(11月12日 Nスタ)
台風19号で亡くなった91人のうち、4分の1が、車で移動中に死亡していたことがJNNのまとめで分かりました。その中には「想定外」の場所での被害もありました。
これは、10月12日の夜、栃木県足利市で避難所に向かう車のドライブレコーダーの映像です。
乗っていた夫婦はなんとか脱出しましたが、付近では、同じく避難所に向かっていた山本紀子さんの車が濁流にのまれ、命を落としました。
現場周辺は、市のハザードマップで、浸水が想定されていない「浸水想定外」の地域でした。
ハザードマップでは今回溢れた旗川の氾濫は想定されていなかったのです。
避難所に向かう途中、車の中で失われた命。
JNNのまとめで、死者91人のうち、少なくとも4分の1の23人が車で移動中に死亡していたことが分かりました。
専門家は「車で移動する危険性を改めて認識して欲しい」と話しています。
車以外での避難が考えにくい地域も多い中で、早い段階での避難の重要性が浮き彫りとなりましたが、危険が迫った段階では家の2階以上に逃げるなどの判断も必要だといいます。
一方、台風19号では1つの台風としては過去最多となる884か所で土砂崩れが起きました。
その中には、想定外のものも。
群馬県・富岡市で亡くなった田村勉さんと母親のあや子さんの親子。
巻き込まれた自宅は斜面の下にありましたが、その斜面は20度と、基準に達しておらず市は「土砂災害警戒区域」に指定していませんでした。
そのため避難勧告は出されていませんでした。
想定外の場所で相次いで失われた命。各自治体は対策の見直しを迫られています。
取材後記
TBS社会部 藤野智史 記者
多くの方が“想定外”の事態で亡くなってしまった今回の台風。想定外のことを、今度は“想定内”のことにして、次の防災につなげていかなければいけません。そのために、いかにして被害が起きたのかを検証することは、とても大切だと思います。
車中死がおよそ4分の1に上るという結果は、避難が遅れた段階での移動が、どれだけ危険かを浮き彫りにしました。
進路予測の精度が進化した今、台風は、ある程度は備えられる災害になったはずです。特に今回の台風19号は、その直前の台風15号が千葉県などに大きな被害を出したこともあり、比較的多くの人が、台風への危機意識が強いなかで上陸したものだったと思います。
それにもかかわらず、これだけの被害が出てしまったことについて、報道は避難行動の呼びかけなどを十分にできていたのでしょうか?・・・そんなことを日々感じています。
今後も反省と検証を繰り返しながら、台風災害の被害をいかに最小限に抑えていけるか、考え続けていきたいと思います。
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