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情熱

瀬戸内寂聴さんが亡くなった。
私は瀬戸内寂聴さんのことをよく知らないのだが、なんだか恋に熱い出家された小説も書くスペシャリストな尼の方だと思っていた。
若き自分の思う尼の像をぶち壊して下さった。

学生の時分に寂聴さん解釈の「源氏物語」を読んでエロすぎて、果て、となり、親に読んだことすら言えず、棚の奥にしまった。
私の知っていた源氏物語はテレビドラマスタートだったので衝撃だった。
こんなにいやらしいことばかりで、こんな歴史的大作の中でさえ恋愛関係や妬みや人間の関係のしょうもなさというのはもうまどろっこしさの頂点で、なんだ日本のトップは大昔からなにやってんだ?と思い(トップ系じゃないとなかなか歴史書になんか残らないのでしょうけれど)つつ、人間というものは性愛と情欲に塗れているおかげで誰かが生まれたり誰かが憎まれたりして増えたり減ったりしてるのだなと偏りのある思考に陥ったりしたものだった。
歴史上の美談とされてしまった全てや事実らしき羅列しか教科書では知れなかったから、とても良い経験だった。
これで古文に興味を持ち、進路が文系になったと言っても過言ではない。あとは進学塾の講師A先生の影響でしかない。古文も現代文もめちゃくちゃおもしろいた思った。
我が家では文学を好きな姉がなぜか理系の道へ行き、私は本も読まないのに文学部へ。オイディプスやら戯曲から世界の歴史的物語(盛られた史実?)の歪みとドラマ性を知っていった。
あの時文学部演劇学専攻に入らなければ今演劇はきっとやっていない。

演劇を始めたきっかけを聞かれたときに私は全く自分でわからなかったのだけど、寂聴さんの源氏物語で古文にハマり、文学部を目指す間違った流れを作り、松尾スズキの書籍にハマったことが最初のきっかけかもしれない。そしてミーハーだったのだ。
あと初めて出演したチェーホフのお芝居のことはたまに思い出す。すごく話が好きだった。
狂ったロシアの奥さんは当時の私の家庭の世界観では想像できないほど狂っていた。

話戻します。
瀬戸内寂聴さんのことをよくは知らないけれど、私に忘れられない源氏物語をくださったスペシャリスト尼様のご冥福を祈りながら、実家に帰ったら源氏物語読み直そうと思います。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

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