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詩 2017

抱負


ずるくありたい
正面からではなく
そっと裏口うらぐちから
人生50年なら
僕はとっくに老人ろうじん
ゆったりと歩み
近づいて
ささやこう
まるで誰かを
そそのかように

なんてね

2017.11.29.

包まれて


闇夜やみよが窓からしのび込み
僕をつつ
日は一向いっこうに差し込まない
たった一度、強烈きょうれつな光ととも
辺りは焼け野原になる

子供の頃
くり返し見た悪夢あくむ
口には出さずに来た
戦火せんかを知らぬ者が
そんな事を語る無礼ぶれいさと
誤解ごかいとをおそれて
でもうそではない

他は誰も見ぬのか
気になりだし
こんがらがり
迷い込む
何がまともで、何がまことか

にくしみはあふ
暴力はやまない
それでも
いっときの平和とゆたかさは
奇跡きせきのようなもの
血潮ちしおが足元あしもとまで
せまっていたとしても

ついこの間のことだ
死体とえとがあふれていたのは
僕は兵士の孫
僕が生きている間に
戦争が始まるなら
平和などはなかった
それはただの休戦
憎しみと暴力にあふれた
つかの休息

逃げよう、かくれよう
どんな憎しみからも暴力からも
いさましい嘘からも

2017.11.11.(同年9月にしたためたもの)

それでいい


狭間はざまで息をつく
乗り越える残酷ざんこくさと
残される悲惨ひさんさと
時にふるえ、時に笑う
沈黙ちんもく喧騒けんそうとは
どれもうそばかり
それでいい
清々すがすがしさもだるさも
みな過ぎて
それでいい、それでいい
それでいい

2017.11.5.(同年3月にしたためたもの)

そう


さぶられながら
日常を送る
時にいどみながら
時にちぢこまりながら
特別な事などない
日々を暮らす人々

まるでうそのように
事実にまれて
僕は僕、君は君
出会ったり、別れたり
そう
どこにでもいる
日々を暮らす人

2017.11.1.(同年3月にしたためたもの)

うん。


はじめる
なぜ?
わからない
とにかくはじまるんだ

よぼよぼとさまよい歩く
社会人のなりをして
放浪ほうろうを続ける
夏が来て秋がきて冬が来て春が来て
季節がめぐるように、僕も巡る
残酷ざんこくな事だ、美しくなんかない
死体はちていく
それを横目でながめながら、季節は巡る

大地に根をるなんて
出来やしない
みんな動物なんだもの
僕らは歩く、歩く

歌おうか
踊ろうか 
命を粗末そまつにしないように
命をけちけちしないように
動物らしくおろおろしながら
土をって、さまよう
けようのない事
どうしようもない事なんだ
....うん。

(詩1〜5.日付はinstagram (philosophysflattail)投稿日)

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