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建築家は歩きながら考えろ
全ての情報は必ず一度疑ってみる、くらいでもちょうど良いのではないかと思っています。
TVや新聞、SNSやプロから聞いた情報や、学校の教科書に載っていることまで。
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少し建築の専門的な話をします。
国際連盟の設計競技において、ル・コルビュジエが不当に除外されたことは有名な話。CIAMの書記長であったジークフリード・ギーディオンによると、コルビュジエの案が最も好評であったが、古典主義派の政治的陰謀により、審査委員がコルビュジェの案を退けたという。
しかし、このときの審査員はヴィクトール・オルタ、ヘンドリク・ペトルス・ベルラーヘ、ヨーゼフ・ホフマン、カール・モーザーたちだったということである。
そう、彼らの半数以上がモダニストであり、審査員はどちらかというとモダニズム派が優勢だったということだ。
つまり、「これは古典主義派の政治的陰謀というよりも、審査員の半数がモダニズム派だったことで意見がまとまらないと見込んだ結果だったのではないか」という考察を知った。
上記のようなことを知って、今となっては真相は分かりませんが、
改めて感じたのは、表面的な情報だけで知った気になるのは改めて情け無いことだなと。また身を引き締める思いになりました。
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ということを、4、50分ほど徒歩で帰宅しながら考えました。
目まぐるしくスピードが求められる時代になり、さらに、人間の頭脳に取って代わってコンピュータが求めている情報を即座に出してくれるようになり、人は回り道をすることや思索にふけることをしなくなりました。
そういう時代だからこそ、とくに、創造的な仕事が求められる職業としての建築家には歩くことが必要です。
車のスピードと歩くスピードとでは、違う景色の気づきや空間体験があります。歩くことで血流が良くなり、思考回路も広がります。
確か、歩くことの大切さはあの安藤忠雄氏も言及していたと思います。はっきりとしたエピソードは覚えていませんが、ぜひ調べてみていただいて、この記事をキッカケに寄り道して考えてみてはいかがでしょうか。
建築家には歩くことが必要です。
優れた建築家は皆歩いています。
歩かない人は建築家にはなれない。
それが私の持論です。