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今日のありがとう28(東野圭吾「希望の糸」)

「希望の糸」という本よ、糸が長かったとしても、その糸に希望が乗っているのであれば、決して切れることなく、誰かを思い続けたり、頑張ることができたりすることを学ばせてくれ、ありがとう。

以下、簡潔にあらすじと感想を記してみたい。

最初は悲しいお話から始まった。子ども2人が祖父母の家に自分たちだけで訪れた際、地震が発生し、命を落とすというものだ。

子どもを持つ身としては、残された両親の気持ちについ感情移入してしまった。

最初の登場人物は4人。

①汐見行伸(しおみゆきのぶ)

②怜子(れいこ)
汐見行伸の妻。

③尚人(なおと)
汐見行伸の息子。

④絵麻(えま)
汐見行伸の娘。

③と④の生きがいを失った妻の怜子に対し、夫の行伸が「子どもをつくってやり直さないか」と提案したところで、場面が変わる。

ここからは、旅館の女将を務める女性の話が展開される。

全体のストーリー構成としては、汐見行伸(しおみゆきのぶ)の話、旅館を経営する女将の話が同時並行で進んでいき、最終的には1つの共通点に行きつくというものだ。

その共通点とは、伏せられてきた真実を知るべきかどうかという部分だ。

特に親子関係というデリケートなことについては、今回の小説のみならず、現実世界でもよく耳にする。

進んで、そのような話をする人は少ないが、あるときに切り出してくる人が多い印象だ。

希望の糸を読み、小説の中でのみの話だと捉えることができている人は、幸せな人生を歩んできている人だと思う。

自分に重ねて読んだ人は、とても気が重たく心苦しかったのではなかろうか。

本作では結局のところ、行伸の娘も、刑事の松宮も真実を知ることになる。どちらも真実を知ることで、ちょっとしたぬくもりを感じ取っていたような印象を受けた。

現実ではどうだろうか?

人間関係だけではなく、日常生活の様々な場面において、どこまで真実を伝えるのか、あるいは真実を知るべきかは判断が難しいところだ。

知らない方が楽しく生きれることも多いはずだ。

それでも、知りたいと思ってしまうのが人間なのだろうか。

名探偵コナンでは「真実はいつも1つ」というお馴染みのフレーズが存在するが、私は本当の意味での真実は1つとは限らないと思ってしまった。

とにかく、希望の糸という小説から多くのことを学んだ。

わが家の場合は、不妊治療に悩まされることもなく、子どもを授かることができたので、そのことにも感謝しながら引き続き読書を楽しむ人生を歩んでいきたい。

東野圭吾の「希望の糸」よ、本当にありがとう!

#わたしの本棚


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