信頼関係は、ズケズケと。
大学時代の仲良い同級生と集まって仕事の話をする時、アラサーの鉄板の話題はマネジメントというか「チームの話」だ。7割くらいは。
だいたいがなにかの責任者とか、助教授なんかしちゃったりして、自分もまだ未熟でありながら他人を育てたり鼓舞したりする、という立場に立っている。
そしてそういう人はほぼ例外なく、「フィードバック」のあり方に悩んでいる。だから飲み屋で話す内容の7割を占める「チームの話」のうち、さらに7割くらいは「フィードバックの話」になる。
先日も久しぶりに会った大学の友人のKがしてくれたフィードバックの話が面白かった。
その話の前に少し彼を紹介すると、Kは、山陰地方のある町で、地域活性のプロデュースをしている(この表現であってるのかわからない一言で説明しにくい系)。
彼が今やっていることは、学生の頃に彼が学生団体としてやっていた同じテーマの活動が進化してできた仕事だ。いいなぁと思うそういうの。
学生当時から、彼の団体は熱量が高かった。いつも優秀なメンバーと一緒にいて、楽しそうに活動をし、その中心ではいつもKがリーダーシップをとっていた。
大人やチームメイトに可愛がられながら、強いリーダーシップを発揮できるKの人間力に、僕はハッキリと嫉妬を覚えていた。(当時学生団体がフリーペーパーを作るのが流行っていて、彼が作った冊子が2000部刷ったことを受けて、負けたくない僕は3000部刷った。で、今、手元に1200部くらい余っている。)
彼のコミュニケーションの特徴は、「率直に」「しつこく」「信じ抜く」ところにある。
君のビジョンはなんなの
本当にやりたいことってなに?
どうしてここにきたの?
ひと昔前のベンチャー企業の新卒採用担当者みたいなセリフを、恥ずかしげもなくズケズケと吐く。昔からそうだったし、今もそうしているみたいだったが、彼が言うと上から目線な感じがしないのでその点においてムカつくことはないのがすごい。
で、最近メンバーに加わった年上の女性スタッフに対しても、どうやら同じように接していた。飲み会のある席で「もっと本音を聞かせてくれよ」的なことをいつもの調子で話していると、お酒の勢いも手伝って「なんでそんなことまで聞かれなきゃいけないんですか!」とキレられた。彼女の気持ちとしてはいきなりパーソナルなことにまで踏み込まれるのは抵抗がある。仕事に必要なことだけ聞いてくれ。ということだったらしい。
その時Kは「でもお互いのことよく知らないやつと、背中を付き合わせて思いっきり戦えないでしょう」と食い下がった。ぐいぐいいくねぇ。
翌日。
その女性スタッフは「あんなに踏み込んだコミュニケーションされるの初めてだったんで」と動揺していたことを伝えつつ、改めて自分のコミットメントについて語ってくれたという。そういう話。
「初期の信頼関係構築を軽視したリスクあるアプローチだ」「たまたまうまくいっただけだ」という意見もあるかもしれない。でも。
今どきこうもズケズケとコミュニケーションが取れるリーダーって、どれくらいいるだろう。
ある種の愛と勇気をもち、境界線を大股で跨ぐことによって生まれる双方のコミットメントがたぶんある。
そのチャンスを活かせないまま、活かす勇気がないまま「まずは仲良くなって、それから…」と言い言い半年、一年、数年が経過していくということはないだろうか。相手の本当の可能性も見えず、こちらの本音も伝わらず。チームのベストなパフォーマンスは、いつか来る(意外ととこない)その日までお蔵入りする。だから。
信頼関係はズケズケと。
これはちょっとした、秘訣かもしれないよね。という気がして我が身を振り返った。