第4話: 進退窮まるプロジェクト ~撤退の決断は勇気?それとも…?~
ストーリー
IT企業で働く健一は、新規事業のプロジェクトリーダーを任されていた。
このプロジェクトは、社内でも期待が高く、健一自身も強い意気込みで取り組んでいた。
しかし、開発は難航し、予定していたスケジュールは大幅に遅延。
開発費も当初の見積もりを大幅に超えてしまっていた。
「このままでは、赤字になってしまう…」
健一は焦りを感じていた。
プロジェクトメンバーも、疲労の色を隠せない。
それでも健一は、プロジェクトを諦めることができなかった。
「ここまで時間と費用をかけてきたんだ。今更、撤退なんてできない…。」
「成功すれば、会社に大きく貢献できるはずだ。それに、自分のキャリアのためにも…」
健一は、サンクコストにとらわれ、プロジェクトの継続に固執していた。
ある日、健一は上司の田中部長に、プロジェクトの現状を報告した。
田中部長は、厳しい表情で健一に言った。
「健一君、このプロジェクト、本当に成功する見込みはあるのかね?」
「えぇ…でも、ここまで来たら、引き返すわけには…」
「健一君、それはサンクコストにとらわれているだけだよ。冷静に判断しなさい。」
田中部長は、過去の投資にとらわれず、将来の見通しを重視するべきだと諭した。
そして、プロジェクトの撤退も視野に入れるように指示した。
健一は、田中部長の言葉を受け止め、改めてプロジェクトの現状を分析した。
そして、冷静に考えた結果、プロジェクトの成功は難しいと判断し、撤退を決断した。
プロジェクトメンバーには申し訳ない気持ちもあったが、彼らは健一の決断を理解してくれた。
その後、健一は別のプロジェクトでリーダーを務めることになった。
過去の失敗を教訓に、冷静な判断を心がけるようになった健一は、新しいプロジェクトを成功に導いた。
解説
ビジネスにおけるサンクコスト
ビジネスの世界では、サンクコストは頻繁に発生します。
新規事業の立ち上げ、製品開発、設備投資など、多額の費用を投じるプロジェクトは少なくありません。
しかし、すべてのプロジェクトが成功するとは限りません。
市場環境の変化、競合の出現、技術的な問題など、様々な要因によって、プロジェクトが失敗に終わることもあります。
そのような状況下で、過去の投資にとらわれて、プロジェクトを継続してしまうのは、サンクコストバイアスに陥っていると言えます。
撤退の決断
ビジネスにおいて、撤退の決断は非常に難しいものです。
しかし、状況によっては、撤退することが最善の選択となる場合もあります。
撤退を判断する際には、以下の点を考慮する必要があります。
* プロジェクトの将来性
* 撤退による損失
* 撤退による機会費用
健一の場合は、田中部長のアドバイスによって、冷静にプロジェクトの将来性を評価することができました。
そして、撤退による損失よりも、継続することによる損失の方が大きいと判断し、撤退を決断しました。
リーダーシップ
プロジェクトリーダーは、サンクコストバイアスにとらわれず、冷静に状況を判断する必要があります。
そして、必要があれば、撤退の決断を下す勇気を持たなければなりません。
健一は、過去の失敗から学び、冷静な判断力と勇気を兼ね備えたリーダーへと成長しました。
まとめ
ビジネスにおいて、サンクコストバイアスは大きなリスクとなります。
サンクコストにとらわれず、冷静な判断を下すためには、将来の見通しを重視し、必要があれば撤退の決断を下す勇気を持つことが重要です。
次回予告
第5話では、「時間の浪費とサンクコスト - 無駄な努力からの脱却」について解説します。
お楽しみに!
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