第4話: 上司を説得するテクニック ~フット・イン・ザ・ドア~
ストーリー
若手社員の翔太は、新しい企画を温めていた。
それは、従来の広告手法にとらわれず、SNSや動画サイトを駆使した、斬新なマーケティング戦略だ。
翔太はこの企画に自信を持っていたが、上司の田中部長は、保守的な考え方の持ち主で、新しいアイデアを受け入れることに抵抗があるタイプだった。
「どうすれば、部長にこの企画を納得してもらえるだろうか…。」
翔太は悩んでいた。
そんな時、翔太は心理学の書籍で、「フット・イン・ザ・ドア」という説得のテクニックについて知った。
「これなら、部長を説得できるかもしれない…!」
翔太は、早速、フット・イン・ザ・ドアを実践してみることにした。
まず、翔太は田中部長に、新しいマーケティング戦略に関する簡単なアンケート調査への協力を依頼した。
「部長、最近話題の新しいマーケティング戦略について、少しお伺いしたいのですが…。」
「ん?なんだね?」
「新しいマーケティング戦略に関するアンケートに答えていただけないでしょうか? 5分くらいで終わります。」
「アンケートか…まぁ、5分くらいならいいだろう。」
田中部長は、軽い気持ちでアンケートに答えた。
数日後、翔太は田中部長に、新しいマーケティング戦略に関する社内勉強会への参加を依頼した。
「部長、先日アンケートにご協力いただきありがとうございました。実は、新しいマーケティング戦略に関する社内勉強会を開催することになったのですが、部長にもぜひ参加していただきたくて…。」
「勉強会か…。」
田中部長は少し迷ったが、先日アンケートに答えた手前、断るのも気が引けた。
「まぁ、いいだろう。参加しよう。」
そして、勉強会当日。
翔太は、熱意を込めて新しいマーケティング戦略についてプレゼンをした。
田中部長は、翔太のプレゼンを聞き、最初は半信半疑だったものの、次第に興味を示し始めた。
「なるほど…これは、面白い試みだな。」
「確かに、従来の広告手法では、若者層にアプローチするのは難しい。」
勉強会後、翔太は田中部長に、新しいマーケティング戦略の企画書を提出した。
田中部長は、企画書をじっくりと読み込み、最終的に翔太の企画を採用することを決めた。
「翔太君、この企画、実行してみよう。」
「ありがとうございます!」
翔太は、フット・イン・ザ・ドアを使って、見事に上司を説得することに成功したのだ。
解説
フット・イン・ザ・ドアとは?
フット・イン・ザ・ドアとは、最初に小さな要求をして相手に承諾させた後、大きな要求をすることで、承諾を得やすくする説得のテクニックです。
翔太の場合は、「アンケート調査への協力」という小さな要求を最初に承諾させ、「社内勉強会への参加」という少し大きな要求を承諾させ、最終的に「新しいマーケティング戦略の実行」という大きな要求を承諾させることができました。
フット・イン・ザ・ドアの効果
フット・イン・ザ・ドアは、なぜ効果があるのでしょうか?
それは、一貫性の原理が働いているためだと考えられています。
一貫性の原理とは、人は、一度自分の意見や行動を表明すると、その後もその意見や行動と矛盾しないように振る舞おうとする心理のことです。
田中部長は、最初にアンケート調査に協力したことで、「新しいマーケティング戦略に興味がある」という立場を表明したことになります。
そのため、その後、社内勉強会への参加や企画の採用を依頼された際に、断ることが難しくなったのです。
フット・イン・ザ・ドアの注意点
フット・イン・ザ・ドアを使う際には、以下の点に注意しましょう。
●最初の要求は、小さすぎても大きすぎてもいけません。
●最初の要求と2番目の要求は、関連性がある方が効果的です。
●相手の状況や性格を考慮して使いましょう。
●倫理的に問題がない範囲で使いましょう。
まとめ
フット・イン・ザ・ドアは、反対意見を説得するための効果的なテクニックです。
ただし、使い方を誤ると、相手に不快感を与えてしまう可能性もあります。
状況に応じて、適切に使いましょう。
次回予告
第5話では、「単純接触効果」について解説します。チームワークを高め、良好な人間関係を築くための方法を学びましょう。
お楽しみに!
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