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「非実在型ネット炎上」に対し、企業や個人がとるべき唯一の対応策

今、SNSで話題の『赤いきつねCM炎上』について、企業の神対応と失敗例を解説します。
※ この記事は20日昼まで特別価格で公開中です。


どうも、ウェブメディアやSNS大好きな徳重です。


先日、「赤いきつね」のCMについてのnoteを書きました。

その後、「非実在型ネット炎上」(ごく一部の少数ネットユーザーの批判をネットニュースなどメディアが取り上げることで、まるで大多数の総意によって炎上しているように拡散されること)についての東洋水産の対応が素晴らしかったと投稿したところ、Xで大きな反響がありました。

多くの人にとって関心が高い話題ですので、noteで改めて書いてみます。

赤いきつねCMでの「非実在型ネット炎上」とは

すでにご存知の方も多いかと思いますが、改めておさらいします。

発端は東洋水産が2月6日に出した「赤いきつね」「緑のたぬき」のアニメCMです。

このCM自体は全体的に好評だったのですが、ほんの一部の、主にミサンドリーのフェミニズムの人から「性的にキモい」「何だよ、この頬を赤らめた女がクネクネするCMは」などの批判の声が上がりました。

ただ全体の高評価から見れば、あきらかに極一部。ですが、女性向けメディア「LASISA」はこの話題を「炎上」として取り上げました。僕は長年ウェブメディアに携わっているのではわかりますが、このメディアは炎上と煽ることでPV稼ぎをしようとしてました。

しかし、これはメディア側のあきらかにミスリードですし、そもそも「赤いきつね」のCMは高評価の方が多いのです。

ネット炎上の著書を出されている国際大学GLOCOM客員研究員の小木曽健さんは、これは炎上ではなく「非実在型ネット炎上」であるとこのLASISAの記事のコメント欄で語っています。

このケースは「非実在型ネット炎上」に属するもので、ほとんどの方はこの記事を見て、はじめて騒動を知ったのではないでしょうか?それくらい「ごくごく一部」のユーザーによる、きわめて局所的な批判ムーブでした。炎上させようとして、できなかった、に近いです

大勢の人が見る広告ですから、中にはそれを「嫌いだ」と思う人もゼロではないでしょう。そのごく少数の意見に焦点を当て「こういった声もある」とメディアが報じた結果、あたかも炎上しているように認識されてしまう。これが非実在型ネット炎上

SNS、特にXは過激なこと、極端なことを発言をすればアルゴリズム的に注目を集められます。またそうした強い声に賛同が集まりやすくなっています。これを「フィルターバブル」と言います。

こうした極端で声は大きいけれど少数派のことを「ノイジー・マイノリティー」と呼びますが、近年のSNSではこうした少数の声を「賛否両論ある」「炎上している」と一部の志の低いPV稼ぎのメディアが記事で取り上げ、必要以上に騒動を大きくし、そこに過敏に企業や社会が反応し、企画や広告の取り下げ、出演者の起用停止などの「キャンセル・カルチャー」が増え社会問題となっています。

今後の企業対応の手本を見せた東洋水産

今回の件で僕が素晴らしいとXで取り上げたのが「赤いきつね」を展開する東洋水産の対応でした。騒動の起きていたXでも公式アカウントは謝罪をするでもなく、更新を控えるでもなく、いつも通りに更新を続けたのです。

謝罪という対応を取らなくても、普通の会社であれば「ちょっとSNSも荒れているし、更新は控えようか」となってもおかしくありません。しかし、変わらずに更新することでクレーマーのようなノイジーマイノリティには対応しませんよという暗にメッセージを送れました。

実は東洋水産は過去に今回のようなケースで炎上に巻き込まれそうになったことがあります。2020年の「マルちゃん正麺」のPR漫画「親子正麺」です。

当時、多くの読者は「ほっこりした」など好意的な意見を寄せていたのですが、一部からは「ママが出かけた昼に食べたラーメンの皿をなぜ、ママが洗うのか」との批判がありました。

この2020年のケースでは2話の公開を延期。下記のような投稿をしました。

批判の時点ではそれほど大きくない話題でしたが、企業側が対応をとったことで多くの人が認知するようになり、この投稿の翌日にはXのトレンドに「マルちゃん」が入るなど話題となりました。

ただ反応は「息苦しい世界」「何故炎上したのか本気で分からなかった」など、問題ないのではとの声が大半でした。

この後、東洋水産は漫画の停止などの対応はせず、最後まで公開しています。また投稿の最後に「※『夫婦正麺』並びに『親子正麺』の原作は弊社責任の元に制作し、作画のみ作画者の方に依頼しております」と注意書きを入れることで、漫画の作者への誹謗中傷をストップさせるようなメッセージも発信しており、非常に丁寧な対応でした。

東洋水産の例を見ると、「非実在型ネット炎上」やキャンセルカルチャーが増える時代に企業側に求められるのが毅然とした態度、あと些細なことには動じない胆力であるとわかります。

一方、こうした炎上やキャンセルを恐れるがあまり過敏に反応し、問題がない笑福亭鶴瓶さんの広告を停止。逆に世間から反発を喰らい、広告再開の上に本来はしなくてよかった謝罪までしたのが「スシロー」でした。

企業対応の失敗例として未来永劫、教科書に載せたほうがいいでしょう。

「非実在型ネット炎上」へのたった一つの対策

ではこうしたノイジー・マイノリティによる“お気持ち”的な批判に対して、企業側はどう対応すればいいのか。

いや企業だけではありませんね。個人でも対応の仕方を今は知るべきでしょう。

僕もXでよくわからない人に絡まれ、メンタルが疲弊した時期もあります。Xをやっている限り、東洋水産のようなことに巻き込まれることは結構あると思います。

では、企業や個人がこの“非実在型ネット炎上”に巻き込まれたとき、どう対応すればいいのか?これについて、ネット炎上の専門家の見解や、僕自身の経験から得た“具体的な対策”を詳しく解説します。

定期マガジンでご購入いただいた場合、記事単体の半額となっていますのでかなりお得で、そちらをお勧めしています。


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