童話の思い出
僕自身ほとんど絵本とか、紙芝居とか小さい頃は読んでもらった記憶はないです。母は父を亡くしてシングルマザーで僕を育てなければならなかったし、一緒に住んでいた祖母も絵本とかに親しんできた人でもなかったし。家では読んでもらった記憶はないです。でも通っていた保育園でほとんど覚えていないですが、印象に残っている絵本とか紙芝居があるので、いくつか語ってみたいと思います。
まず最初は「アンパンマン」ですね。今ではもうアニメの方が圧倒的に有名なこの漫画も、もとは紙芝居だったんです。「正義のヒーローなのに、自分の顔を食べさせている」と子供心に何か変な感じの印象を受けたのを覚えています。記憶が定かではないのですが、意外にアンパンマンはその保育園の友達の間では人気がなくて、カレーパンマンとかの方が美味しそうとかで人気があったような気がします。僕だけやったかな? 忘れたけど。それから数年後にアニメ化された時は「あの紙芝居でやっていたやつか」と驚いた記憶があります。
でもうひとつの童話というか絵本が人生で一番印象深く好きだった絵本です。絵本自体ほとんど読んだことのない子供でしたが、たぶん保育園に置いてあって好きで夢中で読んでいたのでよく覚えています。それが「おしいれのぼうけん」という絵本で今から五十年くらい前に出されてかなり売れた絵本なので結構有名なのかもしれないです。
内容はまさに保育園や幼稚園が舞台で、昼食後に保育園とかはお昼寝の時間があって、僕は昔から神経質なところがあって保育園のお昼寝タイムに一回も寝たことはなかったのです。「おしいれのぼうけん」もそんな昼寝の時間とかに眠れずに遊んで押入れに入った子供が、その中で押入れの壁の木目調のしみからだんだんと幻想の世界に入って、夢か幻かという感じで、おしいれから異世界へと迷い込んでいく物語なのですが、子供心に本当に「おしいれから違う世界に行ける」と思って、何か僕は眠れない時とか保育園の押入れ入って、壁とか見て「どこからあんな世界に行けるんやろう」と空想に浸って喜んでいました。
絵本ってやっぱりいいですね。自分の空想力をはためかせて好きな世界ならしばらくその世界に浸っていい思い出が残るから。残念ながら僕は絵本で好きだったいい思い出はこの「おしいれのぼうけん」だけだったです。あとはもう僕らの世代からはひたすらテレビやアニメ、ゲームとかになってそっちばかり、与えられるイメージを大量に浴びてあまり自分の想像力を働かせるような時間は言うほどなかったかな。いや僕は一人遊びばかりしていた子どもだったので、好きなことはガンプラとかファミコンとかレゴブロックとか、ゾイドとかミニ四駆とか、いろいろ夢中になって遊んでいたから、想像力は使いまくっていた方かな。でももっと絵本とかに親しんで、本好きとかに育っていたらまた違っていたかも。まあでも好きなことを好きなだけさせてもらって、遊んでいた記憶は宝物かもしれないですね。ちょっと好きなことし過ぎて、外の世界とあまり合わなくなっていった、というか社会性を身に付ける機会がやや乏しくて、その後大人になっていく中でストレス抱えたりしましたが。
その後何十年も経って僕の中ではもう「おしいれのぼうけん」は題名も内容も忘れてしまって、時々「あの押入れに入って冒険していた絵本面白かったなあ、でも題名は忘れた、思い出せない」とそれがちょっと残念だったのですが、ある日の新聞記事の死亡欄でしたか「古田足日(ふるたたるひ)」という人の記事が出ていて「おしいれのぼうけん」作者とあって、その時に本当に何十年ぶりに「あ、これや。僕が一番好きだったけどどうしても思い出せなかった絵本は」と思い出しました。で早速本屋に行って買って、「やっぱりこれやった」と久しぶりにその懐かしい「おしいれのぼうけん」の世界に浸ることが出来ましたが、やっぱり子供の頃のそのまま疑いもなく入っていけるあの感じは乏しくて、ちょっと寂しい感じもしましたね。
最後のエピソードとしては、僕はこの大学に入る直前まで認知症の介護の仕事をしていて、グループホームで入居者の認知症の人相手の食事やトイレの介護をしていました。大変でしたが、おばあちゃん子だったので、認知症とはいえもとは穏やかだったりかわいい感じの性格の人が多い働きやすい場所でもあり、すぐにおばあちゃんとかと仲良くなって、介護自体はそんなに嫌でもなかったです。仕事となれば結構トイレ介助とか出来るものですよ。で、その介護の仕事でも昼のレクリエーションとかで皆さんに楽しんでもらう時間があって、そこで僕は得意なギター弾いて本当に80歳90歳とかのおばあちゃんが多いから、フォークソングすら分からない、演歌や童謡とかしか歌えない人達でしたが、「あかとんぼ」や「夕焼け小焼け」などの童謡をギター弾いて一緒に歌っていると、歌っている僕もその懐かしい気分になって、結構楽しかったです。みなさんも喜んで歌ってくれたし。で、毎回ギター弾いてばかりだと飽きられるかな、いや結構記憶障害とかもある方が多くて、毎回初めてやとか言って楽しんでくれたりするので、ギター弾いてばかりでも大丈夫ではありましたが。でもちょっと違うのをしようかなと考えて、最近思い出したこの「おしいれのぼうけん」をおばあちゃんらの前で絵本の読み聞かせとかしたりしました。ハッキリと理解できる人は僅かでしたが、必死で読んでいた僕に対して「お上手~」と労いの拍手を送ってもらったりしました。内容はあまり届いてはなかったようですが……。
まあ、そんなところですかね。童話の思い出は。なかなか難しいテーマでしたが、何とか書いたぞ。それだけで今回は許してください。でも童話、子供心に響く世界観はとてもいいですね。「おしいれのぼうけん」に出会えてよかったです。僕にもいい絵本の思い出があって。少しだけあの純粋な心に素晴らしい空想する時間を与えてくれて、ありがとう。ではまたお会いしましょう。
おまけ~子供の時に夢中になった遊び
・ファミコン
・ビックリマンシール
・聖闘士星矢の聖衣のフィギュア
・レゴブロック
・からバットの野球
・街中探検ごっこ
・ガンダムのプラモデル
・ガンダムカード
・ミニ四駆
・フリスビー
・段ボールでドラクエのロトの装備作ったこと
・缶蹴り
・ブランコの靴飛ばし
・ジグソーパズル
・フィールドアスレチック
・スイミング
・阪神タイガース
・野球カード
・トランプの大富豪
・ノンタンのめいろ、なぞなぞシリーズ
・たくさんのアニメ、漫画
・セミ取り……などなど他にもたくさんありましたね。
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