【美味クレソン】7話後編 とんかつ三郎 後編
前回のあらすじ
どうもー幸子です。先日とーってもオシャレなフランス料理店『ジャンジャン・バルジャン』に行きました。
美味しい生牡蠣を堪能しているところ、急にたつじさんが弁当箱を取り出し綺羅星シェフにとんかつを食べてくださいと渡したのです。
さすが、空気を読めない男。んもーなんなのと思った瞬間、綺羅星シェフは、とんかつをすごい勢いで食べたの!とても懐かしいだなんて言って。それにしても、綺羅星シェフのあの涙の理由って....
とんかつ三郎にて
女将「いらっしゃいませ!あっ」
綺羅星「どうも、こんにちは」
たつじ「マスター、とんかつ定食3つね」
三郎「あっ......綺羅星シェフ。なぜ、ここに....」
幸子「マスターぼーっとしてないで、いつものよろしくね」
真剣にとんかつを揚げる三郎
三郎「どうぞ、特製ソースをかけて食べて下さい」
無言でとんかつを食べる綺羅星
三郎「......やっぱり一流のシェフにはお口に合いませんよね。私の料理はどこか田舎臭いというか...」
綺羅星「素晴らしい。火の通し方が完璧だ!まるで、自ら油の中に入り込み、タイミングを見計らい、一瞬とんかつの気持ちになりつつも、加熱ギリギリで見切り揚げられている。こんなにレベルの高い料理なのに値段の方は庶民的だなんて、あなたは何てお人だ」
三郎「はぁ、あ、あ、ありがとうございます」
綺羅星「あなたは先代とんかつ次郎をすでに越えてらっしゃますよ」
三郎「あっ綺羅星さんも、とんかつ次郎はご存知で!」
綺羅星「はい、学生時代よく通ってました。マスターの人柄も料理も気取らず、温かくてとても居心地の良い場所でした。中でもとんかつ定食は大のお気に入りで」
三郎「そうそう、次郎さんのとんかつを揚げる時の表情はいつも真剣で」
綺羅星「三郎さんは先代の表情まで真似たんですね」
三郎「そ、そんな」
綺羅星「すごいです。尊敬いたします」
三郎「きょ、きょ恐縮です」
幸子「良かったぁ。これで、いつものマスターに戻ってくれるわ」
たつじ「そもそも、お互いの特性が違うのだから比べる方がおかしいのさ。人と比べて落ち込むのは時間の無駄。まあ、マスターも元気になったし、近いうちに『とんかつ五郎店』もできるかもな」
幸子「あらやだ、次は『とんかつ四郎店』ですよ」
たつじ「いっけね、ひとつ飛ばしちまった」
一同「はっはっはー」
【美味クレソン】続くかも....
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