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AI時代に必須な「リーダー」力
column vol.504
昨日はAI時代のシンギュラリティについてお話しさせていただきました。
ここで改めて確認したいのが人間ならではの能力です。
例えば、創造性などがそうですね。
そして、個人的に最も注目しているのが「リーダー力」です。
リーダーとはメンバーのやる気と能力を引き出し、チームとして最大限の成果を生み出す存在。メンバーの心をまとめ、推進する力は人間ならではの強みなのではないでしょうか?
そんな中、部下が主体的に動き、活力のある組織に導く方法を示唆した記事を最近よく見かけたので、いくつかご紹介したいと思います。
「部下が能動的に動く」5ヵ条
まずは、スーツウーマンの【「部下を動かすことができる上司」に見られる特徴5つ】という記事からです。
〈Suits woman / 2021年11月28日〉
タイトルは「動かす」となっていましたが、能動的に動いてもらうためのハウツーです。
1. 想いを言語化できる
正しく、そして熱意を持って伝えることができるリーダーは、メンバーの心を動かし、やる気のスイッチを入れることができるというわけです。
2. 相手を主語にして伝えることができる
メンバーが自分事化できるように、常に「○○○さんは〜」と相手を主語にする。「こうすれば、チームの売上目標が達成できる」よりも、「メンバー一人ひとりにインセンティブが出る」「こうすれば、あなたはこのようなスキルや知識を身につけられ、キャリアアップにつながる」と語りかけた方が確かに自分事化しやすいですね。
3. 感謝の言葉を伝えることを忘れない
リーダーがメンバーがいてこそ今の成果があると思わないと、求心力は生まれません。「自分がいないとこのチームはやっていけない」「私がこのチームで一番偉い・優れている」という心は、言わずともメンバーから見透かされてしまうでしょう。
4. 頭を下げることができる
リーダーは権威でもなく、偉い人でもありません。単なる役割です。常にメンバーとの対等な関係を築くことが大切。逆にその方がメンバーからも敬意を持たれることになるはずです。
5. 部下を信用している
全てはこの言葉に集約されるような気がします。メンバーの特徴や長所、期待をリーダーは明確にすることで、自分自身が心の底からメンバーを必要とするようになる。「アイツはダメだ」と思っている相手には必ずと言っていいほど「あんなヤツ、リーダーじゃない」と思われているでしょう…(汗)。
「Have to」を減らし「Want to」を増やす
続いては、ダイヤモンドオンラインの【優秀なリーダーは「メンバーの貢献意欲」をあてにしない】という記事です。
〈DIAMOND Online / 2021年12月7日〉
リーダーの一つの大切な役割として、「Have to」を減らし「Want to」を増やすことが挙げられます。
つまり、「やらなくちゃならない」から「やりたい」に変えるというわけです。
例えば、「毎日noteを書かなければならない」(Have to)だと辛い…。
でも、「毎日noteを書くことで成長を感じたい」「新しいnoterさんとの出会いを果たしたい」など、自分が毎日書き続けたいと思う動機をちゃんと胸に留めていれば、前向きな気持ちを保てます。
ただし、「当初の動機がなかなか叶わないぞ」と思ってくると、「Want to」は徐々に「Have to」に転じてしまいます。
仕事の世界は上手くいかないことの方が多いからこそ、「Have to」で溢れて返ってしまうというのが現実かと思います。
だからこそ、「Have to」を「Want to」に軌道修正していくこともリーダーの務めですし、時には「Have to」の断捨離を手伝わないといけません。
チームの中に「それって本当に必要なことか?」ということは意外と多いはずです。
「なぜ、やるのか?」ということをリーダーが率先して考えることで無駄な「Have to」は削減され、新たな「Want to」に時間をかけられるようになります。
なんといっても「Want to」の割合を少しでも広げることが大切です。
「失敗したら私が責任を取る」…ホント?
最後の事例もダイヤモンドオンラインの記事です。
【リーダーが部下に仕事を任せるときの「魔法の言葉」とは】という記事の「魔法の言葉」というワードに目がキラキラしてしまいます。
〈DIAMOND Online / 2021年11月27日〉
4万部を超えるベストセラーとなった『ぜんぶ、すてれば』の著者であり、「伝説の経営者」と称される中野善壽さんの語るリーダーの極意。
中野さん語る「魔法の言葉」とは
「最後は私が責任を取るから」
と言い切ること。
……なるほど…。…確かに重要ですが、実になかなか難しい…(汗)
というのも、リーダーが責任をとって済むってことって、なかなか無いからです。
当然、中野さんもそれは分かっていて、このように補足します。
本当のところ責任なんてどうやって取ればいいのでしょう。
降格、減俸になるのは構わないけれど、仕事の損失そのものを埋めることなんて、誰もできることではないのです。
ただ「思い切ってやっていい」と背中を押すエールとして、不安をなくすためにこの言葉を使うだけ。
すると安心して、担当者は仕事に取りかかれる。
このお言葉は本当に深い…。まさにリーダーにとっての理想の心構えです。
子育てもそうだと思いますが、親もリーダーも、経験を積む分、明らかに失敗するだろうと予測できることが多々あるかと思います。
失敗するのを分かっているのに、「後はキミに任せた」なんて言えないでしょう。
とはいえ、メンバーがチャレンジする前で「あーだ、こーだ」言ってしまうと本人にとってその仕事はどんどん「Have to」になってしまう。主体性の削がれたものに、人は気持ちを100%向けることはできません。
だからこそ、気づくヒントを気づかれないように与え、上手く回避する。そして、少なくとも、転んだとしても致命傷にならない程度には持っていく。
そして、あとは転んだとしても自分が救える自信が持てて初めて、魔法の言葉は効力を発揮します。なぜなら、リーダーが不安を抱えていたら、必ずやそれがメンバーに伝わってしまうからです。
メンバーを勇気づける前に、まずは自分が、ということですね。
リーダーという能力はAI時代だからこそ輝く
考えれば考えるほど、リーダーの役割って本当に大変です。
メンバーも一人ひとり個性が違いますし、時代(年代)によっても感覚は異なります。グローバル企業は国も文化の違いだってあるわけです。
一人のメンバーに対して上手くいったからといって、他の人で上手くいくかどうかは分かりません。
私はリーダーシップに汎用性や普遍性を求めてしまうと、転んでしまうような気がしています。
でも、逆に言えば、こんな難しいことAIはできるのでしょうか?
丁寧かつ柔軟に相手を尊重しながら、導いていく。これって、もはや特殊能力なのではないかと思っています。
今の時代、デジタル人材に注目が集まりがちですが、実はこのリーダーシップ(マネジメント能力)は想像以上に磨くべき能力だなと捉えています。
リーダーのハウツーは世の中に無数に存在していますが、いつの時代も皆悩むテーマです。だからこそ、逃げずに突き詰めていけば、替えの効かない存在になっていくはずです。
と、いろいろ考えていくと、AIはそんな人間社会の本質を気づかせてくれようとしているのかもしれませんね。