「休暇制度」の新しいカタチ
column vol.356
当社では、6月〜9月が夏休み期間になりますが、クライアントが小売業ということもあり、毎年、なかなか取得するタイミングが難しいものです。
ここ数年は職種のリーダーがスタッフに上手く働きかけてくれて取得しやすい状況をつくってくれていますが、私個人としてもコロナ禍で特に行くあてもなく、ついつい後回しにしてしまっています…。
しかし、休みを取ることも仕事の1つ。
そういった機運が広がっていることもあり、世の中、社員を休ませようと、あの手この手で新しい休暇制度を生み出しているようです。
〈TOKYO MX / 2021年7月10日〉
欧州では有休取得率90%以上の国も
まず、現在の日本の有休取得状況を見てみたいと思います。
2019年には、1年に5日以上の有給休暇消化が義務化されましたが、厚生労働省のデータによると、有休取得率は年々緩やかに上昇しているものの、未だに50%強。
当時の政府は「2020年に有休取得率70%を目指す」としていたものの、実現できていないのが現状です…。
一方で海外、例えばヨーロッパでは有休取得率90%以上の国もあり、日本との差が如実に表れています。
当社では、5日の消化義務については、クライアントに断りを入れた上で、年間を通じて3日分の自社独自の休日を設定。
その上で、職種間のメンバーが連携しながら、残りの2日間を自由に取得してもらい、昨年は全社員5日間消化することができました。
とはいえ、5日以上取得している人は決して多くはない状況です…。
そんな中、TOKYO MXの記事を読むと、ユニークな休暇制度が世の中に次々生まれているようなので、そちらを共有させていただきます。
ユニークな休暇制度が続々と誕生!
まずは「ワクチン休暇」。こちらは、当社でも採用しています。
当社の場合は、副反応を見据えて接種の翌日に取得することを推奨しています。
続いて「エフ休」。Fは「Feminine」のFです。
これはいわゆる「生理休暇」のことで、名称として言いづらい、使いづらい部分があるため「エフ休」と名を変え導入されている事例があります。
それから、年に2回取得できる「二日酔い休暇」という休暇もあるそうです(笑)。当然、当日の朝の連絡でもOK。今はコロナ禍で使う機会もなさそうですが、遊び心のあるアイデアです。
そして、「失恋休暇」。
これは世代によって日数が違うそうなのですが、我々40代だったら何日もらえるのでしょうか?(笑)
ちなみに離婚の場合も取得可能で、近いところでは「プロポーズ休暇」もあるとのこと。
最後は、「推し休暇」。
これは、アイドルのライブに行くための休暇が取れるというもので、最大10日間、遠征費として補助金が支給されるなど、パーソナルライフの部分を充分にサポートし、結果的に働きやすくする環境を整えています。
徹夜、休日出勤はむしろ社会人の勲章だった私の新人時代に比べて、本当に大革新と思えるような休暇制度が多数生まれており、驚くばかりです…。
ただ、昔はただ忙しければ良いという風潮も確かにあったので、休める時にはちゃんと休むというのは改めて大切だと思います。
週休3日、待ったナシ???
最後に、ちょっと触れておきたいのが、週休3日制論議です。
政府は先月、経済財政運営の柱となる「骨太の方針」に、希望する人は週休3日を選べる「選択的週休3日制」を盛り込みました。
〈BUSINESS INSIDER JAPAN / 2021年6月23日〉
正直、年5日間の有給休暇消化義務を達成することで必死になっている当社からすると、なかなか選択しづらい状況であることは確かです…(汗)
週休3日制と一口に言っても、3パターンの方向があります。
パターン1 … 労働時間を削り、基本給も減少。週休3日を選択した場合は、勤務日が週5日から4日に減る分、基本給も2割減る。みずほフィナンシャルグループなど。
パターン2 … 労働時間も給与もそのままで、1日の労働時間を増やすことで、給与は変えずに休日を増やす。リクルートグループでは、1日の労働時間を30分増やし、週当たりの休日を「2.8日」にした。
パターン3 … 労働時間は減らし、給与はそのまま。会議の短時間化など生産性を挙げる取り組みがマストに。日本マイクロソフトが2019年8月、生産性向上策とセットで試験的に金曜日を休暇にした。
パターン3を選択している日本マイクロソフトは本当に凄いと思います。
なぜ、政府が週休3日制の拡大を促したいのか?その主目的の1つが「学び直し」です。
財政諮問会議の4人の民間委員のうちの一人、東京大学の柳川範之教授は「能力開発やスキルアップにより、適材適所に人材が動ける社会につながる」と、週休3日の意図を話しています。
より汎用性の利くポータブルスキルを身につけ、人材の流動化を促進。転職しないまでも、時間と新しいスキルが手に入れば、複業人材もますます増えていくでしょうね。
そういった意味で、組織と個人の関係はよりニュートラルになっていくはずなので、経営を司る者としては、求心力のある組織づくりを考えていかないといけないなと気が引き締まります。
さまざまな社会変化によって、取り組み課題は増えていますが、外的要因を上手く取り込みながら、良きイノベーション機会と捉え、知恵を絞っていきたいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?