世界一「子どもが幸福な国」から学ぶ
column vol.141
日本が「子どもの精神的幸福度ワースト2」になったことで有名になったUNICEFの調査ですが、子どもが最も幸せな国に輝いたのが「オランダ」です。
2013年に行われた前回調査に続き、連続で1位。先日、農業分野で同国を取り上げましたが、ワークライフバランス最先端国にも選ばれたりなど、兎角注目されています。
〈AMP / 2020年11月30日〉
子どもが幸福な理由として、自主性を重んじた教育や、家族と過ごす時間の長さ、福祉の充実などが一般的に挙げられますが、AMPの記事では目から鱗の結論を語っています。
子どもが幸せな理由
それはズバリ「大人が幸せ」だから。このひと言で頭が吹き飛びました。
まさに、本質を突かれたように感じたのです。
記事ではさまざまな理由が書かれていますが、まず私が注目したのが母親が「自己犠牲」を歓迎していないということです。
例えば、子どものためにやりたい仕事を制限したくないと思うそうです。
理由は「子どものために母親は幸せでないといけないから」。要するに、「子どもは親が自分の人生を幸せに歩んでいる姿から自分の人生の歩み方を学ぶ」と考えられています。
そして、手の込んだ料理をつくることや栄養バランスをしっかり考えることなど家事に関しても、それがストレスになるぐらないなら、やらない方が良いと判断します。
結局、親ががんばり過ぎてイライラしてしまっても、子どもに悪影響を与えてしまうという理屈です。
もちろん制度や環境などが整わないと日本では理解されにくいとは思いますが、なるほど…と思わせられる部分はあります。
親が子どもに期待すること
それから、もう1つ興味深いと思ったのが、子どもに対する親の期待です。
日本なら当然、「良い学校に入って、良い会社に勤めて欲しい」とか、「スポーツで活躍して欲しい」など、自分の願いを子どもの人生に重ねてしまうことは多々あるかと思います。
ところが、オランダでは「本人が満足なら、それが一番」と考えます。「あの子は健康だし、毎日ごきげんだ。これ以上何も望まないよ」といった感じみたいです。
こういったマインドが子どもの主体性を重視する教育にもつながっているのだと思います。
もともと、オランダは「ニクセン(何もしない幸せ)」など、日常の中に幸福を見つけるのが上手い人たちの集まり。幸福に対して高望みしない姿勢が、逆に国や人を豊かにしているのかもしれません。
なかなか刺激を受ける記事でした。
オランダ流「経営術」
先述した2点は、実は経営にも結びつくのではないかと感じます。
まず、社長や幹部、リーダークラスが、自社の仕事を楽しんでいなければ、付いている社員も楽しくないのかもしれないと推測されます。
このことはよくリクルートの時に気付かされます。
当社を受けてくださった方々からの質問で「池さんは、御社での業務について、どんなところに幸せ(楽しみ)を感じますか?」とよく聞かれます。
当然、「私は何も幸せを感じていませんが、あなたはこの会社は向いていると思いますし、幸せになれると思いますよ」と言って、その方が入社してくれるはずもありません。
マネージャークラスになってリクルートに関わるようになってからは、「自社の幸福論」を突き詰めるようになりました。
そして、もう1つ。社員に対して過度な期待を抱かないということです。
そもそも期待というのは、自らの願望であって、その人の本質ではないかもしれません。これは、恋愛や夫婦関係もそうですね。
社員に対して自分の理想を押し付けていることによって、本来発揮されるべき才能や能力が抑圧されてしまうかもしれません。
とはいえ、期待しちゃうこともあるので、とても難しいのですが…(汗)。
「イライラ」にご用心
もちろん、社員に対するある程度の一方的な教育や期待は止むを得ないことだとも思います。
しかし、自分の中で最近大切にしているバロメーターがあって、それは自分が「イライラ」していないかどうかです。
自分がイライラしていたら、何か過剰になっていたり、意識が自分に向き過ぎている証拠だと思うようにしています。
そして、イライラしてしまうと、全てが台無し。イライラしているだけで、社員はイヤな気持ちになり、パフォーマンスは落ちてしまいます。
だからこそ、イライラしないためのマインドセットが大切になります。
やはり、子どもの教育と経営って密接ですね。本当に学ぶことが多いと感じます。
あとは「ニクセン」をある程度取り入れなければと思います。回遊魚のように何かに取り組んでいないと落ち着かない。よく妻に注意される点です…。
もうじき、冬休みです。今年はコロナ対策として日数を少し長くしました。少しは何もしない時間をつくろっかな?
そう思う今日この頃です。