「消費者の変化」を掴む
column vol.420
本日の感謝投稿でもお伝えした通り、当社では時流研究をとても大切にしています。
さらに深堀すると生活者研究(消費者研究)。社会の変化と人のマインド変化は比例しています。
今日は「人」の変化を読み解く企業の姿に迫りたいと思います。
「センサリー・マーケティング」の時代
今まで重要視されつつも、イマイチ市民権を得なかった「センサリー・マーケティング」ですが、今後はますますメインストリームになっていくように感じています。
〈JDIR / 2021年9月10日〉
私たち消費者は、意識することなく何らかの感覚刺激の影響を受けています。
逆に、企業側が消費者の感覚に影響を与えることにより、知覚・判断・行動を左右するマーケティングを「センサリー・マーケティング」と呼んでいます。
つまり、人々の五感(見た目・感触・味・音・香り)に働きかけるというわけで、例えば、BGMのテンポの違いで消費意欲が変わるというのは有名な話です。
ちなみに、コロナ禍でのソーシャルディスタンスについて、ホームセンターの「ユニディ」は店内照明を使ったセンサリー・マーケティングの実験を実施。
レジ付近の店内照明の色温度を3段階に分けて消費者行動との関係を調査したところ、色温度の数値が小さいほど“温かみのある電球色”ということになるのですが、数値が大きな昼光色よりも小さな電球色の方が、レジ前にできる行列の間隔距離が広くなったとのこと。
さらに、同店舗では、色温度と購買行動の関係も実験調査しましたが、レジ前のバームクーヘンの売り上げが電球色(オレンジ)の時に高まることも分かりました。
私たちはそれだけ五感の刺激による行動変容が起こっているというわけですね。
「生活者の本音」を届けるサービスが開始
そして、生活者のニーズを掴むための動きが活発化しています。
その1つが、マーケティング・ソリューション事業を展開するCCCマーケティングが、企業に生活者の本音を届ける「ソーシャルリスニング」サービスを開始。
〈ECzine / 2021年9月14日〉
具体的には、CCCマーケティングが保有する600万件以上の「飲料・日用品・食品クチコミデータ」や、年間50億件を超える「購買トランザクションデータ」を分析。
これらのデータから生活者のニーズの変化を業態・カテゴリー・SKU単位で把握できるBIツールや、生活者のインサイトを掘り起こすコミュニケーションプラットフォームなどを活用することで、生活者の潜在的な本音を把握するとのこと。
例えば、皆さんの多くが会員となっているT会員については、食品や飲料、日用品など総クチコミ件数は700万件を超えます。
同社は「生活者に一番近い存在のシンクタンク」というアイデンティティを掲げていますが、これからの時代のマーケティング活動において、欠かせない企業になるでしょう。
「働く女性」の行動特性を把握
マーケティングといったら広告代理店ですが、博報堂DYメディアパートナーズは、働く女性のSNS上での行動特性に基づいたターゲティングが可能なデジタル広告配信プラン「キャリジョ研AD」の提供を開始しています。
〈MarkeZine / 2021年8月18日〉
今回同社は、博報堂の社内プロジェクト「博報堂キャリジョ研」の協力のもと、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムが提供するDMP「AudienceOne」を活用して同プランを提供します。
ちなみにキャリジョ研とは、働く女性(キャリジョ)をテーマに、博報堂および博報堂DYメディアパートナーズの女性マーケティングプラナー、プロモーションプラナー、メディアプロデューサーにて立ち上げた社内プロジェクトです。
具体的には、商品に興味を持ち、購入するまでの段階にあるミドルファネル層(見込み客)の女性のSNS行動特性に基づいたクラスタを抽出。
それらを4つのタイプに分け、AudienceOneのユーザーデータと紐づけることにより、4つのデジタル広告配信プランを開発しています。
「SNS情報拡散プラン」
…SNSにおける広告も情報として取り入れて拡散するタイプに配信
「SNS検索行動促進プラン」
…トレンドをハッシュタグ検索するタイプに配信
「インフルエンサー情報浸透プラン」
…インフルエンサーのSNS情報を信頼しているタイプに配信
「購入決定促進プラン」
…SNSの情報を見て商品の購入を決定するタイプに配信
SNS行動特性に基づいた配信により、広告主がアプローチしたいターゲットへの高い訴求効果を期待されています。
なるほど、やはりデータマーケティングの時代ですね。
ちなみに、複業・副業マッチングサービス「KAIKOKU(カイコク)」を運営するBLAMがマーケティング人材に関する調査を実施したところ、98%の人が自社のマーケティングに関して人材不足を感じているという結果になりました。
特に「戦略設計」の人材が不足としている感じているそうです。
正解が見えない時代において、正解に導いてくれる人材や企業にスポットライトが強く当たっている気がします。
マーケッターの端くれとしても、ここはがんばりどころかなと改めて感じますね。