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冷静なるブランディング

column vol.1294

企業も、個人選ばれるための「差異力」が重要です。

つまり、他との違い

これが、しっかり確立されると、支持が集まるわけです。

ただ、差異力を生み出した後が、結構だったりします。

今日は、その肝の部分をお話ししたいと思います😊


3点リンクで“旗”をつくる

差異力をつくること、つまり「ブランディング」MCCの順番で考えることが基本となります。

●M…マネジメント(経営戦略)
●C…コンテンツ
●C…コミュニケーション

そして、マネジメントを考える上で重要になるのが「提供価値」

つまり、顧客がその商品サービスを利用することで得られるベネフィットです。

まずは自分がどんな商品やサービスを提供していきたいかがベースになるわけですが、お客さんから求められなければ、残念ながら商売は成り立ちません

ですので

●提供したいこと
●強み・特徴
●ニーズ

を整理し、3点が重なるところを差異力とする。

ここが定まることで、顧客ニーズがあった時に、真っ先に思い出してもらえるようになるのです。

これをブランディングコンサルタントの守山菜穂子さんは「旗揚げ効果」と仰っています。

〈DIAMOND online / 2024年9月12日〉

これは、パーソナルブランディングにも効果的な手段と言えるでしょう。

地図を常に更新する

旗揚げした後に、常に気にしておきたいのが、ブランドのポジションマップです。

数多ある競合他社の中で自分がどこに位置しているのか?

例えば、高価格低価格を縦軸にし、ファッション性実用性を横軸にし、自社ブランド他社ブランド位置を常に把握しておく。

「常に」というところがポイントで、一度つくると結構見直さない企業さんがいらっしゃいます…

競合の中でもポジションを変えてくる会社もいますし、新規参入だってあるわけです。

当たり前ですが、皆さんがどこかに出かける時最新の地図を見るでしょう。

常に変化している。

これは業界内も同じ

ポジショニングマップ常に確認する意識が重要になるのです。

ツールを駆使する

生活者の変化も大きく影響します。

先程、3点リンクのところで「ニーズ」を挙げましたが、いつの間にかお客さんが求めていることとギャップが生まれる可能性があります…

競合生活者変化などを把握し、自社の立ち位置を確認しながら旗を適宜アップデートしていく。

最近は、そうした支援ツールも増えてきました。

ブランディングの好事例に挙げられる中川政七商店も、シナジーマーケティング株式会社VeBuIn株式会社と組んで、ブランドコミュニケーションシステム『MONJU』を提供。

〈Web担当者Forum / 2024年8月29日〉

こちらは、可視化されたユーザーデータから顧客が見た自社の姿を把握できるツール。

ブランドが目指すべき姿とのずれを検証し、顧客の見ている姿自社が目指す姿重なるよう自社をアップグレードしていくのです。

個人的にはchatGPTブランディングマーケティング非常に有効であると感じています。

ちなみに、アドビが国内外のマーケター2,834人消費者8,163人に聞いた調査でもマーケティングにおける活用の2位「データ分析や消費者のインサイト分析」でしたので

〈Web担当者Forum / 2024年8月16日〉

便利に感じている人は多いのではないでしょうか😊

海外にあって日本にしかない

ブランディングは、このように冷静な目で運用していくことが肝要になります。

そうした中、1つのヒントとしてお届けしたきのが、ネスレ日本です。

今、インバウンド真っ盛りですが、「キットカット」が日本土産の定番として外国人観光客の支持を集めています。

〈ITmediaビジネスONLINE / 2024年8月14日〉

どれぐらい売れているかというと、ドン・キホーテでは、月間1億円以上も購入されているほど。

それほど人気は凄まじいのです。

しかし、ネスレといえば、イギリスで誕生したチョコレート菓子(本社はスイス)で、現在は80以上の国・地域で販売されています。

日本独自のものではありませんし、多くの国や地域で買えるわけです。

では、なぜ “日本のお土産“ となっているのか?

それは豊富な種類にあります。

国内で販売中のキットカットはフレーバーだけで約40種類

海外ではミルクやキャラメルなどはあるものの、10種類ほどの展開にとどまっており、日本だけが圧倒的なのです。

日本でしか買えない種類がある。

世界的なブランド認知がある上で、「日本ならでは」があるというところがミソなのです。

日本の未来を冷静に捉える

この豊富な種類は、もともとは日本の課題から生まれました。

少子高齢化が進行する未来は、どんどん国内の胃袋が小さくなってしまいます。

そこで、プレミアムな商品を開発するため、まずは2000年、「ストロベリー(イチゴ味)を発売。

すると、すかさずヒットします。

その後、2002年にはご当地限定のキットカット「夕張メロン味」を発売し、特別なフレイバーが次々と誕生していったのです。

ちなみに、

通常のキットカット13枚入り約300円(1枚あたり約23円
ご当地系の商品10枚入りで約900円(1枚あたり90円

中には6枚入りで500円ほどの商品もあり、プレミアマイゼーションによって、グラムあたりの単価を上げることに成功しています。

日本には全国各地に豊富な特産品があり、旬を大切にする消費者は味に対して繊細な感覚を持っている

また、日本人は新しいものを好む国民性も持ち合わせています。

こうした嗜好やニーズを追求しながら商品開発を進めてきた結果、現在の幅広い商品ラインアップに行き着いているわけです。

当然、この日本らしさは外国人観光客も心を射止めることに。

こうして日本のお土産に定着していったのです。

ヒットにも浮かれない冷静な視点

こうなると、ガッツリとインバウンド向け商品を生み出したくなるでしょう。

しかし、ネスレ日本は浮かれません

「外国人ウケ」の商品を一切開発していないのです。

この理由について、キットカットブランドのマーケティングを担当する藤井真梨奈さんは、このように説明しています。

「インバウンド向けの商品開発に力点を置いていくべきか、弊社でも大きな議論になったことがあります。
ただ、日本人も海外の旅行先で『日本人ウケ』を狙った商品を見て“興ざめ”してしまうのと同様に、インバウンドもまた『日本人が好きな商品』『日本で人気のある商品』を求める意向が強いです。
従って、国内で販売する全てのキットカットは日本人向けに企画し、日本人の嗜好に合わせて開発をしています」

非常に冷静な判断と言えるでしょう。

このようにブランディングは、冷静な視点で継続的に運用していくことが肝となります。

差異力を明らかにすることは、自信推進力を生む反面、過大評価慢心と隣り合わせであることを意識しなければなりません。

そうした点を1つのヒントに、自社のブランディングパーソナルブランディングに活かしていただければ幸いです😊

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!

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