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議論の場で問題の真因を明らかにするための準備とは【書籍から学ぶ】

皆さんこんばんは、福田達也です。

前回の記事では、ファシリテーションの仕込みの技術の中で、実際に合意形成にいたるまでの6つのステップについて検討し、準備しておくことが大事であることを紹介しました。

場の目的を共有し、What→Where→Why→Howの順番でアクションを決定し、最後に実行プランやコミットを確認・共有する。この順番で議論を進めることで、全員の共通認識が逸れること無くスムーズに議論を進行することができるはずです。

今回はその中でも一番といっても良いほど検討を深めるのが難しい部分、真因の追求(Why)について、もう少し深掘りして紹介していきたいと思います。


本日もこちらの書籍、グロービス社の『ファシリテーションの教科書―組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ』を参考にさせていただいております。

なぜ真因の追求が難しいのか

そもそもなぜ真因の追求が難しいのでしょうか。それは、今起こっている結果というものが複数の原因が複雑に絡み合った因果関係により起こっているからです。

そのため、ある結果に対して、それを引き起こしている原因を網羅的に洗い出し、その因果関係を正しく把握し、その原因の中でどれが特に強く影響を与えているのかを判断してはじめて、これが真因であると言えるようになります。そして今挙げた3つのアクションは、それぞれが非常に難しい問題でもあります。

衆知を集める

このような複雑かつ広範囲に渡る原因を把握していくためには、幅広い知識や具体的な情報が不可欠です。昔から、三人よれば文殊の知恵と言われますが、1人の知識や経験だけでは限界があります。議論の場において、多くの人の知識や情報(衆知)を集め、議論を積み重ねることで、この全貌がだんだんと明らかになってきます。

しかし、私たちはついつい自分の前提や常識を全員が同じように持っていると思いがちなもの。このような視点の偏りや思い込みに感度高く気づき、衆知を集めていくことがファシリテーターとしての重要な役目です。

原因把握は「広げ→絞り込み→深める」

実際に原因把握を行う上では、考えうる原因の可能性を広げ、そこから結果に対する影響が大きそうな順番に絞り込み、最後に絞り込んだその原因の原因を深ぼっていく深めるという議論が必要です。これについては、仕込みの技術の中で紹介した、論点の洗い出しと同じような思考の過程を使います。

原因を広く洗い出す

広く洗い出すためには、MECEを用いて検討するという方法もありますが、状況を映像(イメージ)で思い浮かべ、その時に行っていることや観ている情報などを洗い出すという手法も効果的です。以前の記事で紹介した、コト分析で物事を洗い出すというやり方がこれにあたります。

あるいは、理想の姿から逆算して、何が足りないかを考えるというアプローチもあります。問題の原因を考えるというよりは、理想の状態と現状とのギャップを見つけ出すことで、必要な条件を考えるという方法です。

原因を絞り込む

原因が洗い出せたら、そこから1つか2つの、特に影響の大きな原因に焦点を当てるために原因を絞り込みます。この時に意識するべきことは、どれほど他の原因と因果関係があるのか(数)と、どれが最も強く影響を与えているか(質)の2つの観点です。

2つの原因の因果関係を見ようとする時、本当に因果関係が明らかであれば話は早いものですが、実際にはそうでないケースも多くあります。こういった場合においては、2つの相関関係をチェックし、その上で時間的な前後関係があるかを見ることで、ある程度絞り込みをきかせることができます。

終わりに

今回はファシリテーションの仕込みの技術の中で、合意形成を得るための6つのステップのうち、特に真因を追求する部分にフォーカスを当てて開設しました。

どのような問題であっても、その真因を追求していくことは難しいものです。だからこそ、議論を重ねて精度を上げていくことが重要になりますし、その議論を正しく行わせるためにもファシリテーターの役割と事前の準備が重要となってくるということですね。

本日も読んでいただき、ありがとうございます。
また次の記事でお会いできることを、楽しみにしています。

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