アスフレ観戦記「開幕4連敗」
「何かが変わる」
そんな淡い期待を持って迎えた21-22シーズン。蓋を開けてみれば開幕4連敗。しかも、第2節の山形戦にいたっては、2戦連続ブローアウト(大差)の敗戦。何かが変わるどころか、昨シーズンよく見た光景が広がっていました。
今回のお話は、現時点のチーム状況について。
Ⅰ.オフェンス~自滅~
今シーズンのオフェンスはトランジションをかなり早めており、第1節の香川戦ではそれなりの得点力を披露してくれました。しかし、第2節の山形戦では大ブレーキ。ここ数年お馴染みの得点力不足が露呈してしまいました。
●オフェンシブレーティング
・20-21シーズン:79.0(ぶっちぎりの最下位)
・21-22シーズン 第1節 vs香川:97.4
・21-22シーズン 第2節 vs山形:72.1
一体全体、山形戦では何が起こっていたのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
◎ vs山形 Game1「ターンオーバー」
Game1で目立ったのは「ターンオーバー」。この試合はとにかくターンオーバーが多かったです。
●ターンオーバー
・山形:7個(ターンオーバーからの失点:6)
・アスフレ:20個(ターンオーバーからの失点:28)
ターンオーバーで20回も攻撃を無駄にしているわけですから、そりゃあ得点が減るのも当たり前。そのうえ、ターンオーバーから28失点。ブローアウトの敗戦はターンオーバーが大きな要因でした。
この試合に限らず、今シーズンはターンオーバーが、かなり多め。まだまだ有意差を判断できるほどの試合数ではありませんが、アスフレはB2でターンオーバーが最も多いチームとなっています。特に多い選手は「栗原翼」と「久岡幸太郎」。
●平均ターンオーバー
・栗原:3.2個(B2の日本人で最も多い)
・久岡:2.2個(B2の日本人で6番目に多い)
この二人のターンオーバーを改めて確認してみると、以下のように分類できました。
パスミス(方向のズレ)。キャッチミス。トラベリング。ダブルドリブル。相手の激しいプレッシャーがあったとはいえ、ターンオーバーの大半は自分たちのミス。自滅で得点力不足を招いていたのです。
◎vs山形 Game2「シュート精度」
Game2は、Game1よりもターンオーバーが抑えられ、シュート回数は増加していました。なのに、得点力不足はそのまま。というのも、シュートが全くと言っていいほど入らなかったんです。特に3Pシュート。
●3Pシュート
・山形:13/28=46.4%
・アスフレ:5/27=18.5%
見ての通り、山形とアスフレはアテンプトがほぼ同じなのに、成功数・確率に大きな差があります。山形が高すぎるって見方もあるのですが、単純にアスフレが悪すぎです。
『なぜ、アスフレの3Pシュートの成功確率が悪いのか』
これはもう少し深く考えてみましょう。以下に示すのは、Game2における3Pシュートのシチュエーションです。相手のコンテスト(チェック)がなかった場合は「オープンショット」、あった場合は「コンテストショット」と分類しています。
3Pシュートのシチューエーション
●コンテストショット
・山形:2/13=15.4%
・アスフレ:1/11=9.1%
●オープンショット
・山形:10/15=66.7%
・アスフレ:3/15=20.0%
(見た目で判断しているので多少の誤差あり)
注目はオープンショット。山形は66.7%決めているのに対して、アスフレは20%しか決められていません。
繰り返しになりますが、オープンショットとは、相手のコンテストがないシュート。プロの試合であれば、高確率で決めることが求められます。
しかし、そのシュート力がアスフレの選手にはなかったのです。ターンオーバーに引き続き、こちらも自滅で得点力不足を招いてました。
◎オフェンス総括
香川戦で見せてくれたトランジションの早いオフェンスだったり、山形戦で見せてくれたオープンショットをクリエイトする組織的な動きだったり、ウーゴHCのオフェンスはそれなりに機能していると言えます。
あとは選手次第。山形戦のような自滅をしているようでは、どんなにオフェンスのシステムが良くても、得点には繋がりません。パス。ドリブル。シュート。一つ一つのプレー精度をどれだけ高められるか。得点力不足の解消は、そこにかかっています。
ただ、こんな感じで分析してみたものの、まだ4試合を消化しただけなので、たまたま調子が悪かったことも否定できません。ホアンは豊かな才能の片鱗を見せ始めていますし、増子はもうすぐ復帰してくるでしょうし、オフェンスは割とあっさり上向く可能性も十分あります。
現時点で得点力不足と決めつけるのは時期尚早。評価は下さず、もう少し見守りましょう。
Ⅱ.ディフェンス~ピーキーな構成~
ディフェンスは4試合すべて悪いです。レーティングは、現時点でぶっちぎりの最下位を記録しています。
●ディフェンシブレーティング
・20-21シーズン:105.2(16チーム中13位)
・21-22シーズン 第1節 vs香川:110.4
・21-22シーズン 第2節 vs山形:112.4
不味い点は多々ありますが、ここではビッグマンに関することだけお話します。
皆さんご存知の通り、今シーズンのロスターは、かなりスモール。開幕前から多くの方が不安要素として挙げていましたが、まさにそれが的中。ビッグマンの起用にかなり苦戦しています。
特に、ジョシュア・クロフォード(JC)。ロスターで唯一2m10cmを超えるJCには、ディフェンスの要になってくれることを期待していました。が、残念ながら上手く機能していません。
これまで対戦した香川と山形は、ストレッチ系のビッグマンを揃えているのですが、機動力のないJCはアウトサイドまで付いていけません。それを狙われ、JCがマークする相手に3Pシュートをあっさり決められることが多々ありました。
かと言って、JCよりも機動力のあるパット・アンドレーをコートに送ると、今度は高さが足りません。
●身長比較
・JC:2m10m
・アンドレー:2m3cm
・ノエリア:2m3cm
アンドレーは堅実なプレーと高確率の3Pシュートでチームに貢献してくれる選手。ただ、ポジションで言えばSF/PFで、リムプロテクトやリバウンドが得意なタイプでありません。必然的に、インサイドでは後手に回り、制空権をとられてしまいます。
その証拠に、アンドレーが31分出場した山形Game1では、相手にオフェンスリバウンドを何度も奪われ、2ndチャンスポイントを20点も与えてしまいました。
あちらを立てればこちらが立たず。JCが悪いとか、アンドレーが悪いではなく、ロスター構成がピーキーすぎるのです。
今後の対戦相手には、越谷のバッツのようにパワーでゴリ押してくるビッグマンもいます。様々なタイプのビッグマンに対応できるだけの引き出しが必要。ですが、現時点のロスター構成ではそれを用意できる気がしません。
これ、改善の見込みありますかね?
オフェンスとは逆に、ディフェンスはウーゴHCの手腕に頼るしかなさそうです。どこまで改善できるのか。改善できないようなら、早い段階で外国籍選手の入れ替えもあり得ると思っています。
Ⅲ.開幕4連敗~歴史は繰り返す?~
結果を出せなかった東頭体制を完全に解体し、結果を出すために始まったウーゴ体制。開幕4連敗で色々と考えてみましたが、攻守ともに課題は山積み。すぐに解決できそうなものもあれば、根本的に解決できなそうなものあり、勝ち筋がなかなか見えてきません。
ただ、この状況って、東頭体制の1年目とめっちゃ似ている気がするんです。コーチが求めるバスケに、選手の能力やロスター構成が追い付いていないところが。東頭さんも、とある敗戦時に「うちはオープンショットが入らないから負けた」と発言したことがありますし。
結局、東頭体制は結果を出すために方針を真逆に変えてしまいましたが、ウーゴ体制はどうなるでしょうか。歴史を繰り返し、東頭体制と同じ道を歩むのか。それとも、選手の能力を引き上げ、東頭体制とは別の道を歩むのか。ファンとしては、後者であることを願うばかりです。
Ⅳ.リビルド~覚悟と継続~
最後に、対戦相手だった香川と山形について触れておきます。
あのー、4連敗でけっこう騒いじゃいましたが(私が)、彼らは簡単に勝てる相手では決してありません。普通に強豪。客観的に見られる人だったら、アスフレの4連敗が妥当だと考えるはずです。
他チームと戦力や環境で差があった場合、アスフレ運営代表の山野さんは「企業チームは予算が・・・、うちはベンチャー企業だから・・・」というお話をよくされます。しかし、香川と山形は、潤沢な予算が決してあるわけではなく、お金周りの状況ならアスフレに近い立ち位置です。にもかかわらず、彼らはプレーオフを争い。我々は最下位争い。お金だけでは説明ができない差が確実に存在します。
チームビルドの観点で彼らを見てみると、香川はHCの交代こそありましたが、昨シーズンのベースは維持。さらに、ウッドベリーという絶対的な存在の周りを的確に補強することで、より強い競争力を得ています。
山形は、HCを変えず、昨シーズン結果を出したバスケを継続。外国籍選手の入れ替えこそありましたが、それに勝るとも劣らない的確な補強を行い、飛躍の2年目を迎えています。
では、我々はどうでしょうか。毎年のようにHCを代え、それに合わせてバスケの方針をコロコロ変え、スタートはいつだってゼロから。積み上げはほとんどありません。
『継続性』
彼らと我々には、ここに大きな差がありました。過去の行いが今の4連敗。フロントにはそういった意識を強く持っていただきたい。そして、ウーゴ体制でしっかりと積み上げられるように、選手やコーチのサポートをお願いします。
まだまだ4試合。ここから巻き返しましょう。では、アスフレの未来へ向けて。
Go Win Z !
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