アスフレ観戦記『22年12月度』
11月度が終わった時、アースフレンズ東京Z(アスフレ)の順位は、3勝14敗でB2最下位。降格が、気配を感じるくらい近くまで迫っていました。
ただ、幸いなことに、12月度は下位チームとの戦いが多かったです。勝ち越して、降格争い戦線に復帰できたのか。はたまた、負け越して、逆に遠のいたのか。生き残りを掛けた1ヶ月間を振り返ってみましょう。
第10節:本当の敗因
第10節の対戦相手は、福島ファイヤーボンズ。今シーズンは大型補強を行い、本格的にB1昇格を狙っています。しかし、シーズン序盤は上手く噛み合わず、大きく負けが先行。アスフレと福島の差は、勝敗でたったの“2“。アスフレとしては、是が非でも連勝が欲しい対戦となりました。
Game1。11月頭に契約合意したアディソン・スプライルが未だ合流できず、この節もまた戦力欠けで戦わざるを得ませんでした。栗原や岡島、印象に残る活躍をした選手もいるのですが、一番目立ったのは外国籍選手の差。人数はもちろん、タレントも相手の方が一枚上手。B1広島から移籍してきたエチェニケを最後まで止められず、ブローアウトの敗戦でした。
Game2。オフェンスの手詰まり感が目立ちました。この試合から、福島はピック&ロールに対するディフェンスを、オールスイッチに変更。ハンドラーと衛藤HCは、それに全く対応できず、スイッチした相手とただの1on1を繰り返すだけ。ただただ稚拙なオフェンスによって、得点は今シーズンワースト。2戦連続ブローアウトの敗戦・・・というか、もはやブローアウトがデフォルトになっていました。
衛藤GMが代行HCに就任してから10試合。ジョシュア・クロフォード(JC)が合流してから6試合。それなりの日数と試合数が経過したものの、依然として戦える型を確立できず、レーティングは攻守ともに酷いの一言。
「外国籍選手がいないから」
これまでは、悪いところの要因を全てそこに帰着させてきましたが、本当にそうでしょうか。攻守ともに崩壊した状態がずっと続いてのを見ていると、外国籍選手が一人増えたとしても、大した変化は起こらない気がしました。
第11節:ようやく見えた方向性
第11節の対戦相手は、バンビシャス奈良。勝敗はアスフレと同数。このままでは一緒に降格してしまうため、お互いに連勝を狙った『Must Win game』。
ここで、存在すら怪しくなっていた外国籍ハンドラー、アディソン・スプライルが遂に合流。これでロスターが全員揃いました・・・と言いたかったのですが、リーグが定めるCovid-19プロトコルによって、木村とJCが欠場。まるで運命で決められているかのように、またもや欠けたロスターで戦わざるを得ませんでした。
Game1。結果の重要性とは裏腹に、内容はシーズンワースト。ローテーションのミスや単純な怠慢によって、ディフェンスのインテンシティが見るに堪えないほど低く、相手に好き放題やられて敗北しました。
この試合におけるディフェンシブレーティングは、"144.4”。他チームの水準から見れば、あり得ないほど悪いのですが、アスフレの水準から見れば、決してあり得なくないです。それくらい、今シーズンのディフェンスは崩壊しています。
それなのに、橋爪HCにしても、衛藤HCにしても、オフェンスを優先した采配で、悪いディフェンスを放置してきました。その付けが『Must win game』で爆発してしまったのでしょう。
Game2。前日の大敗後は意気消沈していた選手たちですが、この日は雰囲気が大きく違っていました。特に栗原は、コートインしてきた時の表情がまるで別人。彼らに強く期するものがあることを、ありありと感じられました。
では、その期するものとは何か。それは、ぼろぼろだったディフェンスの改善です。選手たちは、これまで見たことのない熱いエナジーを持って、スタートから全力で事に当たりました。
まだまだ練度や力が足りていないこともあって、エナジーだけでは上手くいかない場面も多かったです。それでも、ピンチの状況になる度に、ベンチから『我慢』『ディフェンスから』と意識付けの声が上がり、インテンシティが下がることはありませんでした。
この試合のディフェンシブレーティングは、前日のシーズンワースト"144.4"から大きく減少し、シーズンベストの”86.8”。堅守によって、久しぶりの勝利を掴むことができましたし、ようやく目指すべき方向性が見えました。
第12節:ブレた方向性
第12節の相手は、ライジングゼファー福岡。アスフレとの勝敗差は”4”。降格争いに入っている相手との戦いを前にして、COVID-19プロトコルから木村と JCが復帰。ロスターが遂に全員揃いました。
Game1。シュート精度、選手のコンディション、連携等、オフェンスは決して良くなかったです。それでも、前節で芽生えた『ディフェンスの意識』が効果を発揮。一進一退の展開が続き、52対52の同点で第3Qを終えました。
流れが変わったのは、第4Q残り8分59秒。福岡の外国籍ハンドラー、マーベル・ハリスを抑えてきたアディソンが4ファール。ここで、衛藤HCは、交代でなく継続起用を選択。これが裏目に出てしまいました。ファールアウトを恐れ、手が出せなくなったアディソンを狙われて連続失点。リードと流れは、一気に福岡のものとなってしまったのです。
その後、アディソンと城宝のマークをチェンジしたものの、これがまた失敗。城宝は、オフェンスに長けた選手。決してディフェンスが得意ではないうえに、この日は33分のプレイタイムで疲労困憊。アディソンと同様に、あっさり料理されてしまいました。
『ディフェンスからバスケットをつくる』
そう宣言したのは、衛藤HC。それなのに、ディフェンスを軽視した采配を重ねた結果、第4Qだけで31失点を浴びて敗北。全ては結果論ですので、采配を非難する意図はありません。ただ、このチームの方向性がなかなか定まらなかった理由は、宣言と采配の矛盾にあるような気がしました。
Game2。前日の反省からか、はたまた前日の肉体疲労からか、アディソンのプレイタイムはしっかりコントロールされました。JCのプレイタイムがその分だけ増え、ディフェンスで大きな不利を背負うことになったものの、何とか騙し騙し試合を牽引。11点リードで第3Qを終え、前日のリベンジを十分期待できる状況になっていました。
しかし、しかしなのです。ここで、突如としてディフェンスが崩壊。リードがみるみるうちに溶けていき、残り33秒、マーベル・ハリスに3Pショットを決められ、逆転を許してしまいました。
万事休すか・・・と思ったのですが、コート上の選手たちは全く死んでなかったです。タイムアウト後、セットプレーでレジナルド・ベクトン(レジー)の1on1をつくり出して同点。返す刀でオールコートプレス。虚を突かれた福岡は、5秒オーバータイムでターンオーバー。奪い取ったオフェンスで、レジーがフリースローを獲得して逆転。会場が震える劇的な展開で、前日のリベンジを達成できました。
これで2節連続、1勝1敗。チーム状況は確実に良くなっているのですが、2連勝できるとは到底思えなかったです。というのも、オンコートは、何がしたいのか分からない時間帯も多々あって、数分毎に色が変わるくらい不安定。決まったことを2試合やり切って連勝するのは、まだまだ時間が掛かりそうでした。
第13節:確かな歩み
第13節の相手は、今シーズン2回目の対戦となる長崎ヴェルカ。前回の対戦は、アスフレの外国籍選手がレジーしかいない時。ぼっこぼこに殴られましたが、今回は違います。全員揃ったロスターでリベンジを・・・と思っていたのですが、JCが契約満了で退団。またもや欠けたロスターで戦うことになりました。
試合の展開は、2試合とも苦しい時間帯が多かったです。JCがいるいないは関係ありません。長崎の強力なスコアラー、マット・ポンズとLJ・ピークを止めるのが、単純に至極困難だったからです。
これまでのアスフレは、プレーエリアの広い外国籍選手を苦手としてきました。スピード不足を抱えるレジーでは対応できず、『日本人選手vs外国籍選手』のマッチアップができてしまうからです。
ハンドラーからウィングまでマッチアップできるアディソンの加入によって、その苦手はかなり緩和しました。でも、ボンズとピークが併用されると、どちらかは『日本人選手vs外国籍選手』が発生。我らが誇るウィング陣、大矢、鹿野、藤岡は決して悪いディフェンダーでありませんが、B2屈指のスコアラーを抑えきるのはさすがに難しかったです。
苦戦したディフェンスとは逆に、オフェンスには格段の進歩が見られました。 ピック&ロールからのペイントタッチ。そこからキックアウト。さらにエクストラパス。人とボールが滑らかに動き回り、アウトサイドでワイドオープンショットを創出。相手の意識が外に向けば、今度は薄くなったインサイドでレジーが無双。たった1週間で見違えるほどの変化でスコアを重ねました。
しかし、いくらオフェンスが良くなったとしても、ディフェンスが機能せずに殴り合ってしまうと、どうしても不利な展開になってしまいます。競る展開には持っていけたのですが、最終的にはそれなりの点差がついた連敗でした。
オフェンスは選手のタレント、ひいては資金力が反映されやすいです。大田区の小さな会社が、ジャパネットグループと万札で殴り合っても、まず勝ち目はありあません。やはり方針通り、ディフェンスからバスケットをつくるしかないでしょう。
第14節:たった10分
第14節の相手は、青森ワッツ。もう言うまでもないでしょうが、降格回避に向けて『Must Win Game』。ここで、JCの代わりがようやく入ってきました。
JD・ウェザースプーン。B3からの引き抜き。上背やスペシャルなスキルはないですが、アスレチックに長けた選手。これで、正真正銘、正式なロスターになった筈です。
試合の方は、どこか抜けたパフォーマンス。長崎戦で見せてくれた素晴らしいオフェンスも、奈良戦で見せてくれた素晴らしいディフェンスもなく、青森ペースで進行。それでも何とかついていけたのは、成長と言えなくもないのですが、勝てるイメージは全く湧いてこなかったです。
勝負の分かれ目となったのは、第3Q残り4分弱で発生したレジーのファールトラブル。アディソンとウェザースプーン、2mを超える外国籍選手のいないスモールラインナップになった後、一気に10連続失点。慌ててレジーを戻したものの、結果的には早期のファールアウトにつながる悪循環。その後、2ポゼッション差まで追い上げる見せ場をつくれましたが、逆転には至らず敗れました。
試合後の衛藤HCコメント(意訳・抜粋)
4Qに見せたアグレッシブなバスケ。これをもう少し噛み砕くと、堅守速攻。奈良戦Game2のように、ディフェンスから早いトランジションでスコアを狙うスタイル。それが狙いであることは既にわかっていましたし、それを否定するつもりもありません。
ただ、もうシーズン3ヶ月。普通のチームならば、成熟に入る時期。それなのに、アスフレが狙いを実現できるのは、たったの10分。言わば、シーズン開幕前みたいな状態。それは、敗北以上に受け入れ難い事実でした。
第15節:弱者たる所以
第15節の相手は、越谷アルファーズ。B2トップ争いに参加している超強豪チーム。10分しか狙いを実現できないチームが勝てる訳もなく、圧倒的な力の差を見せつけられて敗北しました。
まぁ、結果・内容に関しては、もう代わり映えしませんので、特に話しません。ここでは、1人のファンとして現地で観戦し、心に残ったことを率直にお話します。
Game1の前半。チームは上手く機能していませんでした。オンコートは、オフェンスがバラバラだったこともあり、互いが互いにイライラしている状態。
『お前はあそこにいるべきだろ』
『早くピックに来いよ』
直接は聞こえてきませんが、そんなジェスチャーがあちらこちらでありました。こんな時は、ベンチから立て直しの声を上げて欲しいところ。ですが、圧倒的な力の差に当てられたのか、お通夜状態。いつもの盛り上がりは、全くなかったです。
では、HCはどうか。こちらもダメ。ピンチには、何故か置物のように静観。それなのに、審判への抗議だけは、誰よりも声を荒らげて行っているあたり、采配のお手上げ感が思い切り出ていました。
強者である越谷は、どんな点差でも手を抜かない貪欲さを見せていたのに、弱者であるアスフレは、戦う相手を間違えている状態。結果がどうのこうのでなく、弱者であることがまるわかりな振る舞いは、マジでださかったし、マジで情けなかったです。
コートサイドに座りながらも、心だけはどこか遠くに離れているような感覚で、2試合の現地観戦を終えました。
月間MVP:鹿野 洵生
12月度の月間MVPは鹿野。安定感が欠けたチームの中で、安定感を唯一感じられた3Pシューター。50%に迫る高確率で3Pショットを決め続け、遂に3Pランキングに入りました。これほどコンスタントにアテンプトがあって、高確率で決められるシューターは、少なくとも私がアスフレを見てきた4年間には、いなかったです。
また、3Pだけの選手じゃないのが、鹿野をMVPに選んだ理由。味方と笑顔で対話する機会が多く、チームの潤滑油となっています。オンコート、オフコート、これだけバリューが出せる選手なのに、契約オファーがなく、引退を考えていたというのは、本当に不思議です。色々と苦労をかけてしまうチームですが、今後も面倒をお願いします。
12月度の総評
今月の勝敗は、2勝9敗。降格争いチームとの対戦に限定すると、2勝5敗。降格回避ラインは確実に遠のき、けっこう絶望的な状況に追い込まれました。
ただ、負けに不思議な負けはありません。シーズン折り返しが迫る時期なのに、ロスターがなかなか定まらなかったり、チームで決めたバスケをたった10分しか保てなかったり、客観的に見れば当然の結果です。
少し話を変えます。最近は、会場でお金を使う機会が増えています。キッチンカーによる飲食販売に加え、試合日に関連した外国のご当地料理を販売したり、アウェイチームに関連した物産を販売したり、買ってみようと思わせるものが多いからです。
昨シーズンからスタッフが一新し、新たな試みが増えていく中で、ちょっとどうかと思う企画も多々ありました。それでも、継続してチャレンジし続けた結果、今は物販エリアが非常に混雑するほどになっています。
成績不振の要因は、フロントの拙いオペレーション。自業自得でしかないので、擁護しようとは全く思いません。しかし、チームの全てがダメな訳ではありません。演出、Zgirls、企画・販売は、成果も出していますし、良い方向へ歩みを重ねています。まぁ、それゆえに、オンコートを何とかしてくれよって思いが強くなってしまうのですが、こればっかりは特効薬がありません。今は待つしかないです。
とはいえ、物事の判断基準を勝利だけにしてしまうと、いくらファンでも待ってる間に心が壊れてしまうでしょう。アスフレと今後も付き合っていくのならば、勝利以外に落としどころを見つける必要がありそうです。
もちろん、降格回避は諦めていませんよ。フロントに振り回されながらも、歯を食いしばって頑張っている選手たちには、少しでも幸せな結末を迎えて欲しいです。この物語のページをめくる手はだんだんと重くなっていますが、今後も彼らの傍でシーズンを見届けていきます。
では、降格回避に向けて。
Go Win Z! ! !
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