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アスフレ観戦記『奈良遠征』

アースフレンズ東京Z(アスフレ)の第25節は、アウェイでバンビシャス奈良との対戦。ちょうど残留ライン上にいる奈良とのゲーム差は『3』。連勝すれば、残留の可能性を残せる重要な戦い。私は、居ても立っても居られず、現地での観戦を決意しました。

◎Gama1

宇都直輝やクリスチャン・ジェームス等、タレント豊かなアウトサイドが強みである奈良。レジナルド・ベクトン(レジー)とイシュマエル・レーン(イシュ)、重量級ビッグマンによるインサイドが強みであるアスフレ。先にどちらの強みが活きるのか。これが、勝負のポイントでした。

最初に強みを活かしたのは、アスフレです。ベンチスタートのハンドラー、アディソン・スプライルのアウトサイドショットが連続成功したことをきっかけに、イシュとレジー対策で収縮していた奈良のディフェンスが一気に拡張。強みであるインサイドを、より活かしやすくなりました。

一方、奈良は良いショットをつくれても、調子の問題なのか、肝心の精度がイマイチ。特に3Pショットは、第1Qから第3Qまでの合計アテンプト19本に対して、成功はたったの2本。彼らの強みは、鳴りを潜めていました。

強みを活かせたアスフレと活かせなかった奈良。試合は、はっきりとしたアスフレペースで進行。第4Qのオフィシャルタイムアウトを、13点リードで迎えられました。あとはクロージングです。前節の愛媛戦Game2、クロージングの約1分間で8点も溶かした失態を挽回するチャンスが、早速やってきました。

しかし、残念ながらというか、案の定というか、クロージングの下手さに改善は見られなかったです。バスケの内容が悪い意味でがらっと変わり、残り1分34秒にはリードが13点から3点に減少。これには、今節から声出しを解禁された奈良ファンが大声援で呼応し、逆転の気運が完全にできあがっていました。アスフレは、為す術がなく、それに飲み込まれていたのです。ただ1人、キャプテンの井手優希を除いて。

残り1分34秒、3点差でアスフレのポゼッション。まだまだファールゲームに入るのは早かったのですが、前のめりになった奈良がボール運びをする井手に迫りすぎてファール。チームファール累積でフリースローになりました。

井手は、成功確率的にフリースローが決して得意ではありません(約66%)。そのうえ、奈良ファンからは壮絶なブーイングを受けていましたので、決めるのは非常に難しかった筈です。それでも、不思議と外す気はしませんでした。ファールを受けてからショットまでの振る舞いが、とても堂々としていたからです。というか、楽しんでいるようにさえ見えました。

その期待通り、2本連続で成功。さらに、その後のファールゲームで得た4本のフリースローも全て成功。井手が確実にフリースローのスコアを積み上げてくれたので、薄氷のリードを守ることができました。

決して完璧な内容とは言えません。特にクロージングで2戦連続やらかしたのは、目も当てられなかったです。ただ、今節に限っては勝敗が全て。不満は奈良のクラフトビールで流し込み、さらなる負けられない戦いへ気持ちを切り換えました。

◎Gama2

アスフレは、メインハンドラーの木村が欠場。さらに、シューター陣がこぞって不調だったことも重なって、アウトサイドからのスコアが伸びませんでした。その結果、奈良のディフェンスを広げられず、アスフレの強みであるインサイドを上手く使うことができなかったです。

一方の奈良は、彼らの強みであるアウトサイドショットが好調。序盤からハイペースでスコアを量産し、早々に大きなリードをつくりました。

Game1とは逆に追いかける立場となったアスフレですが、具体的な改善策を見出せずにいました。人を入れ替えてもダメ。攻め方を変えてもダメ。何とかしようとする焦りが奈良ファンの大盛り上がりで加速され、仲間に怒りを向けたり、あからさまに苦しさを表情に出したり、チームの状況は点差以上に悪かったです。

それでも、彼らが崩壊することはありませんでした。井手の熱いキャプテンシー、藤岡昂希のベテランらしい声かけ、イシュの自己犠牲を厭わないハードワーク、それらが崩れそうになるチームを何度も立て直してくれたからです。

すると、次第にプレーが変化していきました。上手くいかないオフェンスよりも、目指してきたスタイル『ディフェンスからバスケをつくる』にフォーカスするようになり、ディフェンスのインテンシティがぐっと上がったのです。

思えば、この『ディフェンスからバスケをつくる』を目指したのは、12月にアスフレホームで行われた奈良との戦いで、リーグ記録を更新するほど失点したのがきっかけでした。以降は、衛藤HCのぶれた采配で紆余曲折ありましたが、基本的にディフェンスを重視した戦いを続けています。

あれからどれだけ成長できたのか。今節はそれを確かめる戦いでもあり、その結果は第3Qの失点がたったの『11』。成長したディフェンスで、遂に相手の背中を捉えました。

苦しい状況から追い付いたアスフレ。先行するも粘られて追い付かれた奈良。第4Qは、その勢いの差がはっきりと現れました。どこか焦りの見える奈良が単調なオフェンスを繰り返していたのに対し、アスフレはMr.クラッ チ、城宝匡史が遂に大爆発。収縮していたディフェンスを嘲笑うかのように3Pショットの雨を降らせ、第4Qだけで12得点。一気に勝負を決めました。

皆さんは、大きな壁に直面した時、どんな行動を取りますか。思い切って諦める人だっているでしょう。別の道を模索する人だっているでしょう。

Game2の彼らは、「恐れ」「苛立ち」「焦り」を抱えながらも、自分たちが信じた道を進み続けることで壁を壊しました。それがね、めちゃくちゃかっこ良かったです。涙が出るほど感動しました。

◎今節のMVP

今節のMVPは誰か。 Game2のクラッチブレーが印象的な城宝。ずっとハードワークでチームに貢献してくれたイシュ。 色々な意見があるでしょうが、私はこの男を選びました。

その理由は、Game1におけるフリースロー6本パーフェクトもそうなのですが、一番はGame2のパフォーマンスです。欠場した木村の代わりにメインハンドラーを務め、しっかりとゲームコントロールしてくれたのが、とても素晴らしかったです。

最後の最後、ファールトラブルで交代する時、非常に悔しそうな表情をしていたのがとても印象に残っています。おそらく、ご自身でも良いプレーができている感覚があったので、交代したくなかったのでしょうね。

最近ようやく気づいたのですが、井手の魅力は意思の強さにあります。劣勢をものともしない意思の強さがあるからこそ、こういう試合で輝けるのです。まだまだ厳しい戦いが続きますので、引き続き活躍を期待しましょう。

◎今後の展望

Bリーグでは、複数のチームが勝敗で並んだ場合、直接対決の結果で順位を決めます。今節の結果より、奈良に対しては3勝1敗で勝ち越しが確定。同じく残留争いをしている香川に対しても、既に2勝0敗で勝ち越しが確定。ゲーム差”1”を埋めて並べれば、残留できることになりました。

・奈良 13勝34敗
---------残留ライン---------
・アスフレ 12勝35敗
・香川 12勝35敗

そのゲーム差を埋めるために、フロントが選んだ手段が『人の入れ替え』。 奈良のディフェンスを広げることに貢献したアディソンを契約解除。代わりに、デイヴィッド・サイモンを正真正銘のラストピースとして獲得しました。

サイモンは、B1での実績があるビッグマン。人気・実力がありますので、表面上は良い補強に見えるでしょう。ただ、ロスターに並べてみると、イシュやレジーと完全にプレーエリアが重なっています。ロスターのバランスがパワーと高さに偏り、戦術の幅が一気に狭まりました。

劇薬にならないことを祈るばかりです。

最後に

B2観戦歴は4年くらいになるのですが、奈良での観戦は今回が初めてでした。メイン会場である『ロートアリーナ奈良』は、有名な観光地が近くにいっぱいあって、観戦以外もすごく楽しかったです。

当初は、観光やグルメのことも観戦記に入れるつもりだったのですが、試合のくだりが長くなっちゃったので、今回は写真だけ載せておきます。

では、アスフレの残留を願って。
Go Win Z ! ! !

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