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アスフレ観戦記「開幕8連敗」

開幕8連敗。もはや当たり前となってしまったブローアウトの敗戦。ファンの反応、選手の表情、コーチの様子、多くが今の悪い状況を反映したものになっています。

今回は、現在のチームについて、私が感じていることをありのままにお伝えします。

1.ハンドラー

前回の記事『開幕4連敗』。この中では、得点力不足の要因として、ターンオーバーの多さを挙げています。そこから4戦。ターンオーバーは、改善するどころか、悪化の一途をたどっています。

それを示すため、B2のアジア枠選手と日本籍選手を対象に、ターンオーバーの多さをランキングにしてみました。

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ホアンが1位。栗原が3位。マークが8位。PGを任せられているハンドラー全員がTop10にランクイン。彼らがクリエイトするオフェンスには、ターンオーバーの高いリスクが伴っていることが伺えます。
(注)久岡は今シーズンからSGでプレー。

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そのうえ、第3節の仙台と第4節のFE名古屋は、ディフェンシブレーティングでTop3に入るほどの堅守。ボールを運ぶPGを高い位置でキャッチアップし、ターンオーバーを誘発するように強いプレッシャーをかけてきました。

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相手のプレッシャーに圧倒され、最悪はスティールされてターンオーバー。それを回避できても、オフェンスのエントリーは大幅に遅延。ウーゴHCの目指す「人とボールがよく動く、速いテンポのバスケ」を良いかたちで始めることができません。

さらに、いざオフェンスが始まったとしても、ハンドラーは有効な攻撃手段になっていないのが現実。ドライブからペイントタッチ等、相手のDFを崩すようなムーブがほとんどなく、アウトサイドだけでボールが回り、最終的にタフショットになる展開がとにかく多いです。

ハンドラーのペイントタッチに関わるスタッツ
・オフェンスレーティング:81.4(最下位)
・ペイント内シュート確率:47.5%(最下位)
・被ファール数:14.2個(最下位)
・アシスト:17.2個(12位)

これまで対戦してきた相手は、B2トップクラスの選手や、B1の第一線でサバイブしてきた選手ばかり。こちらの若手が対等に戦える相手では決してありません。とはいえ、ここまで歯が立たないとは思いも寄りませんでした。

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ただ、甘いと言われるかもしれませんが、ハンドラーの絶望的な差を痛感した今でもなお、うちの若手が使えない選手だとは全く思っていません。マジですよ。強がりでもありません。

特に、ホアン。シュート、ドリブル、パス、コートビジョン、オフェンスに関わる全てのスキルが本当に高く、球離れが良い時はシンプルに効果的なオフェンスを選択してくれます。

でも、自分で何とかしようと前のめりになっている時は全然ダメ。母国で大きく期待され、海外で良い結果を残そうとする気負いが、悪い方向に働いているのではないでしょうか。気負わず、平常心で臨めるならば、絶対に結果は付いてくる筈です。

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気負いがなくなるのは近いうちなのか、時間が要するのか。はたまた、気負いなんてことは、希望的観測でしかないのか。

いずれにせよ、ハンドラーが機能しない限りは、勝てるかどうかは別として、勝負にならない試合が続いていくでしょう。

2.やっぱり歴史は繰り返した

ハンドラーを起因とした深刻なトラブルにより、ブローアウトの敗戦がデフォルト。かろうじて競れたのは、第1節の香川Game1のみ。ファンとしては、内容的にも、結果的にも、モヤモヤを感じてしまう試合が続いています。

そして、それはどうやら選手も同じみたいです。コート上で見せる様子が、悪いチーム状況を反映したものに変わり始めています。その代表例が、今シーズンから新加入したマーク・エディーノエリアです。(以下、ノエリアと記載)

ノエリアは、もともと感情表現が豊か。熱い感情をさらけ出し、ダメなチームを盛り上げてくれるナイスガイです。しかし、ここ数試合に関しては、感情を発散させるような声であったり、溢れ出すものを自分の中で処理しようとする仕草であったり、フラストレーションを溜めている様子が明らかに目立ってきました。

実際、試合後のインタビューでは、フラストレーションについて、以下のように語っています。

第4節 vs FE名古屋 Game2
マン・オブ・ザ・マッチ受賞後の発言
「私の態度が良くなかったことをお詫び申し上げます。我々としても、ファンの皆さんと同様にフラストレーションが溜まっている状態です。(後略)」

まぁ、選手も人間。物事が上手くいかなければ、ネガティブな感情が溜まることだってありますよね。乱暴な言動があったわけでもないですし、テクニカルファールをとられたわけでもありません、お詫びをする必要性は全く感じなかったです。

ただ、どうしても気になることが一つ。今のノエリアの振る舞いは、カイル・ケーシーと明らかに類似しています。

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カイル・ケーシーとは、2年前の19-20シーズンに所属していた外国籍選手。バスケIQが高いオールラウンダーで、直情型の性格。

当時、HCに新任した東頭俊典の体制下で、得点・アシスト・リバウンド、全てで高いパフォーマンスを発揮していました。

カイル・ケーシーのスタッツ
・平均得点:18.9
・アシスト:3.9
・リバウンド:11.2

しかし、チームは全く勝てませんでした。東頭HCが求めるバスケに、選手の能力が追いついていなかったから。カイルは、そんなチーム状況にフラストレーションを溜め、外からでも一目でわかるくらい不満を顕にするようになっていました。

いかがでしょう。ノエリアとカイル、似ていると思いませんか。ウーゴ体制は、東頭体制と確実に同じ道を歩んでいます。

●東頭体制1年目の流れ
コーチが代わり、大きな期待が集まってチームが始動。しかし、コーチの求めるバスケに選手の能力が追い付かず、ブローアウトの敗戦がデフォルト。チームNo.1外国籍選手がフラストレーションを溜め始める。

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やっぱり、HCを代えただけではダメなんでしょうね。あの頃も今も、ロスターのマジョリティは、即戦力ではなく育成枠の選手。HCの目指すバスケを実現するのには、それなりの時間を要するのかもしれません。

現に、ウーゴHCは、明らかに先を見据えた采配をしています。勝負所でもミスをした若手を我慢して使い続けたり、ファンにミスした若手のチャレンジを褒めるように促したり、目先の勝利よりも育成に重きを置いていることがビンビン伝わってきます。

それが勝利を遠ざけている気がしなくもないのですが、即戦力を雇えない零細クラブが這い上がるには、育成しかないと考えているのでしょう。

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とはいえ、負けてもいいとは思いませんし、ブローアウトの敗戦がデフォルトなのは全く許容できません。しかも、育成をメインに据えるのは、選手もコーチも複数年契約じゃないと成立しない懸念もあります。

それでも、私は腹を括りました。全てひっくるめて目を瞑り、今は我慢するしかないと。

だって、東頭体制は育成を諦めて崩壊したから。日本籍選手に見切りをつけ、外国籍選手に依存したバスケに方針転換した末路は、もはや語る必要もないでしょう。

もうあの歴史は繰り返したくない。この負のループから抜け出したい。この感情が私の心を強く支配しています。

この章の最後に、西宮ストークスの今野選手が、チームビルドについてツイートしていたので載せておきます。アスフレ関係者なら、痛いところを突かれた感覚があるはずです。継続性のないチームビルドで取り残された現実を、フロントには重く受け止めて頂きたい。

3.微かな光

今シーズンはもう終了。そんな暗い感じを前面に押し出してきましたが、もちろん光もあります。苦しいチーム状況とは別に、しっかりと結果を残せている選手もいるんです。

ここからは、その中から3名をピックアップしてお話します。

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☑髙木慎哉
アスフレ3年目の生え抜き。東頭体制でとことん伸び悩んでいた高木は、ウーゴ体制で開花。出場時間、平均得点、3P成功確率、リバウンド、ほとんどのスタッツがキャリアハイ。3&Dとして、いよいよ本格化を迎えています。

21-22シーズンスタッツ
・出場時間:28.0分(B2日本籍選手で5位)
・得点:8.1点(キャリアハイ)
・3P:32.7%(キャリアハイ)
正直に言って、3P確率は物足りないが、髙木が無理をしなければならないシーンが多いため、確率が低いのは仕方ないとも言える。

このまま安定した結果を残せるのならば、上位チームからのオファーも十分あり得るでしょう。もともと弱小チームに収まるような器ではないですし、アスフレメンとしての高木はラストシーズンかもしれません。

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☑坂井レオ
第2節を終えた時点では、ガベージタイムのみのプレー。ほとんど結果を残せていませんでした。それでも、第3節の仙台戦Game1では、10分のプレーでしっかりと結果を残し、Game2はスタメン出場。以降は、早い時間で使われており、ウーゴHCの信頼を勝ち取っています。

第3節 vs仙台戦 Game1のスタッツ
・出場時間:10分
・得点:4点
・リバウンド:5本
・被ファール:2個
・±:+17
10分でこのスタッツは凄いでしょ。

今シーズンは、外国籍ビッグマンがかなり不安定。これも、8連敗の大きな要因です。そんな中で、派手な活躍はないものの、できることで確実に貢献してくれる坂井には、本当に頼もしさを感じます。このまま継続し、キャリアを代表するシーズンとして欲しいですね。

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ちなみに、坂井を褒めるツイートをしたところ、ウーゴHCからいいねを貰えました。坂井の活躍は、ウーゴHCも認めていると言っていいでしょう。

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☑増子匠
アキレス腱断裂から復帰した”go-to guy”。まだまだプレータイムに制限はありますが、らしさはしっかりと見せてくれています。増子が完全にプレーできるようになれば、ハンドラーが機能しない現状はだいぶ改善するはずです。

21-22シーズンスタッツ
・出場時間:15.0分
・得点:5.0点
・FG:37.5%

というかね、本来ならば、B2最下位チームにいるべき選手ではないんです。何年要するのか分からないリビルドのプロセスに、増子を付き合わせるのは申し訳ない。今シーズンは準備期間として、来シーズンはB1もしくはB2上位の"Win now"チームにもう一度戻って欲しいです。

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今回は3名だけピックアップしましたが、その他の選手が活躍できていない訳ではありません。個々にしっかりと輝ける分野を持っています。ただ、その分野がけっこう狭いんです。継続して活躍するには、チームが適切にサポートしてあげる必要があります。

例えば、パット・アンドレー。とにかく3Pが上手なのですが、自分でクリエイトすることは全くできません。第4節では、キャッチ&シュートを狙えるシチュエーションがなく、ぎこちない1on1を仕方なく仕掛けるシーンが散見されました。

よくよく考えたら、これも東頭体制の繰り返しですね。超一流シューター岡田が苦しんでいたのと状況がよく似ています。シューターを生かすも殺すも周り次第。良いショットシチュエーションをチームでお膳立してあげないと輝けません。

それこそ、最初の議論に戻りますが、ハンドラーが機能するかどうかが全て。それができるなら、ウィングやビッグマンに輝く選手は出てくるでしょうし、勝ち星だって増えてくるでしょう。

4.愛と不信感

最後に、私の応援スタンスの話を。

ホーム開幕戦。連敗とブローアウトの敗戦で落ち込む選手とファンの前で、山野代表は「観客が1500人」と嬉しそうに語っていました。

単純な利益。観戦に来られていたメインスポンサー様へのアピール。新B1への参入条件。色々な理由で、観客数が大事なのは理解しています。

が、あの場ではただただ不快でした。自分の悔しい気持ちも、選手が悔しそうに下を向いていることも、観客数が多ければどうでもいいかのように聞こえたから。

アスフレ応援歴3年、フロント対しては大小様々な不信感が積もっていました。そのうえで、山野代表の発言。もう完全に一線を越えました。

「この人とはもう向いている方向が違う」

失望と共に、そう悟ってしまった以上、チーム全体を盲目に推すことはできません。詳細は省きますが、応援スタンスをちょっと変えるつもりです。

ただ、チームから離れるつもりは全くありません。Zgirlsや演出チームを含めた現場の人間には、やっぱり勝って欲しいから。

特に、プロキャリアの始まりから間近で見てきた久岡、栗原、高木には、勝ちというものを存分に味わって貰いたいですし、ビッグチームに移籍できるくらい活躍して欲しいと心の底から思っています。

これからも、ネガティブ多めで悲喜こもごもあるでしょうが、現場の人間への愛情を頼りに、共に歩んでいくつもりです。

では、連敗脱出を願って。
Go Win Z !

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