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タブレット端末
会社で、集団健診が行われる。年に一度、定期的な検査だ。面倒な気もするし、胃透視はなかなかハードである。検査結果もいろいろ引っかかってきたが、病気を見つけてもらった、という意味ではありがたいことこの上ない。
但し、近年9月にそれが割り当てられている。できれば、9月というのは避けてほしい。夏期講習で乱れた生活と疲労した体を背負った結果が、そこに出てくることがあると思うからだ。
仕事は午後、いまは夕方近くからなので、朝一番の健康診断となると、丸1日を会社に拘束されるような恰好になる。一日中勤務の人から見れば贅沢かもしれないが、半日の自由を得るためにいろいろ苦労もしている面もあるから、ご容赦戴きたい。なにより、ふだんより早起きして、それなりに遠方に行かねばならない。いや、不平を言っているのではない。本心から言えば、ありがたいことでしかないのだ。
確か去年まで、診察票のような厚紙を手に、幾つかの教室を次々と巡るものだった。労働衛生研究所の職員が、一つひとつチェックして、測定しては測定結果を記入する。まあそういうものだ、と言えばそれまでのこと。別に何も不自由は感じなかった。ただ、胃透視と胸部X線とは他より時間がどうしてもかかるため、健診バスの外で行列をつくるのが常だった。
今年は、並んで待っていても退屈しないように、文庫本を手に、うろうろ健診を受け続けた。が、実は殆ど読む暇がなかった。次々と流れてゆくのだ。
今年から、方法が変わった。そもそも問診票自体、持って来ない。事前に、二次元コードから読み取った先で、問診票内容を、ラジオボタン(単数回答)とチェックボックス(これは回答が複数ある場合)で答えておくのである。個人IDはバーコードで職員が読み取れば、手許のタブレット端末(たぶんiPad)に、私の回答と測定データが一覧される。チェックも簡単らしく、実にスムーズに健診が進む。
iPadは、授業でも使っている。教材のペーパーレス化にも役立つが、配付そのものも手間取らない。提出も各自が写真撮影して貼り付けるだけだ。その他、学校のテスト結果も生徒それぞれに入力してもらうから、こちらで打ち込む必要はないし、集まったデータから様々な情報を引き出すことができる。
どれほど、こちらサイドの作業が省略されることだろう。教材をアップロードするなどの必要はあるが、教材そのものは本部の係が作成してくれるので、あとは生徒とのコミュニケーションを如何にスムーズにやっていくか、ということになるだろうか。
時代は、必要に応じて変遷する。新たな環境が生まれ、新たな発想が期待できると共に、新たな依存性も生じる可能性がある。まだこの道具とどう関わり、どう影響されるか、私たちはまだ把握していない。危惧する声もあっていい。希望する心があってもいい。ただ、気がついたときに、取り返しのつかないことになっていないように、願うばかりである。
聖書もまた、電子書籍というあり方が拡がりつつある。まだ活用性の高いものは高価であるが、新改訳2017は、落ち着いた価格で電子書籍を提供している。聖書協会共同訳が、年額払いでしか提供していないので、長期にわたる使用を考えるならば、年額550円は、かなりの出費に覚えてしまう。また、インターネット接続が基本なので、通信料金にも影響する可能性がある。個人的には、買取りのkindle版を期待したいところだ。
でも問題は、聖書の言葉を自分の魂に深く読み入れることだ。そこは、電子機器が入ろうが紙の聖書であろうが、あるいは礼拝説教であろうが、何も変わらない。命ある言葉が注がれることを祈っている。