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たてよこのあれこれ #06

随分とお久しぶりになってしまった。
いつの間にか梅雨に入り、もう少しで夏に突入しそうな陽気。
毎月5本のnote更新を目標にしていたが、何かとバタバタしていてあっという間に6月も最終週。なんとか巻き返したいなと思う。


「文化」とか「伝統」なんてことを最近よく考える。
それはやはり自分が雁木町家を活用しているからで、逆に言うとそれがなければ「文化」とか「伝統」についてここまで考えることはなかったように思う。

正確な数字こそわからないが、たてよこ書店のある建物は築100年近いらしい。そもそも高田の街並みは1614年の高田城築城と共につくられ、城を迂回するように通っている街道沿いに町人地が配置された。そしてこの街道の位置は今も変わっていない。たてよこ書店はこの町人地として整備されたエリアにある。

この町人地の敷地の特徴は間口が狭く(約4.6m)、奥行きが長い(約50m)ことだ。片側に細長く土間が通っていて、全ての部屋はこれに沿って配置されている。そしてそれぞれの建物は壁一枚で隣り合っている。

たてよこ書店という名前の「たて」には、歴史的に続いてきたまち、建物を引き継ぎ、その先長きに渡って活用を続けていくという時間軸での「たて」という意味合いも込められている。店名にも表れているように、自分の中でもどこか「文化」や「伝統」を引き継いで残していくという意識があるようだ。

ただ、そうした「文化」や「伝統」は、無理に残していくものなのだろうかという疑問もどこかで持ち続けてはいる。もちろん長きに渡って受け継がれてきたものはそれだけで価値があるし、残していくべきものなのかもしれない。でも、ただ単に残していく、受け継いでいくこと自体が大切なことなのだろうか。

日本には伝統的、歴史的な建物、文化、芸能などがたくさん存在している。
ほとんどの人がそれらを日本の財産として自負しているだろうし、海外から来た人に紹介するポイントでもあるだろう。
ただ、それ自体はどのように引き継がれてきたのだろうか。
例えば歌舞伎。今ではほとんどが世襲だ。ということはその家に生まれてきた時点でほとんどの確率で未来は決まっているわけだ。
自分自身が何をしたいのかというより、長く続いてきた家柄の歴史の方が尊重される。幼い頃から稽古を重ね、気づいた頃には舞台に上がり、歌舞伎役者としての道がスタートしている。「伝統」や「文化」という言葉の裏にある種の強制力が働いているように思うのだ。

話を雁木町家に戻す。町人地として整備された高田のまち。特徴的な長細い敷地(建物)は店舗兼住宅として使用されることが多かったようだ。今では店舗をたたみ、看板をはじめとしたその面影だけが残る家が多い。店としての利用ではなく、単なる住居として使い続けている。両隣の建物と隣り合っていることも含めて、それなりの「文化」や「伝統」は存在しているのだろう。

たてよこ書店のある建物は全体を店舗として活用していこうと考えている。本来は居住スペースであった部屋も、作業場として使われていたスペースも、キッチンも、全体を活用して小さな複合施設を目指す。
そしてそれがある程度完成したら2軒目の空き家の活用、3軒目、、4軒目、、、、というように展開していきたい。

なぜそんなことをやるのかと問われたら、「おもしろくてポテンシャルを感じているから」と答えるだろう。別に空き家が増加しているという社会問題に真っ向から取り組みたいわけでもない。上述したようなことを進めていったら、自分やまちの誰かの日常生活が少し豊かに、少しおもしろく、少し楽しく、少し幸せなものになると思っているからやっている。その結果、空き家が減っていたり、おもしろい活用方法が生まれていたりすれば万々歳だ。

「文化」「伝統」にリスペクトを送り、適度に現代に読み換えながら受け継いでいく。日常生活を少し豊かにしていくことに、空き家を減らしていくことに、強制力は必要ない。おもしろい、楽しいと思えばそれに乗っかり、別にそうでもなければスルーすればいい。少しずつ空き家を活用して事業を進めていくなかで、あらゆる人の日常生活を少し豊かにできるように事業を展開していければと思っている。

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