「日本人はpassive aggressiveだね」
海外の語学学校に通っていた時、カナダ人の先生が言っていた。
電車に乗ってる時が多いけど、たまにふとした時に思い出す。
反意語というわけではないようだけど、逆の意味を持つ単語。
「受け身だけど攻撃的」という意味。
調べていくと精神医学につながっていく。
当然ながら、そのカナダ人の先生は「日本人って受動攻撃性が強いという精神障害があるよね」という意味で使ったわけではないし、ここに書いていることとはニュアンスが違う。旅行か仕事で日本に滞在していた時に、電車内で、さりげなく肘で隣の人を押しているのを見て、そう感じたらしい。
北米は、移民が集まってできた多民族国家だから、yes/noをはじめ、自分の意思をハッキリ言葉にして表明しないと相手に伝わらず、誤解が生まれ、トラブルになることもあると聞いた。
日本は単一民族国家だから、「言わなくても分かるよね」「察してよ」「普通はこうだよね」と、言葉ではなく空気を読まないといけない。むしろ「私はこれが嫌い」「あなたにはこうしてほしい」「これはおかしいと思う」とハッキリ言う人は怖がられる場合がある。
古都京都では、「お茶漬けどうどす?」が、言葉通り「お茶漬け食べていきますか?」という意味ではなく、「そろそろ帰ってほしい」という意思表示だというのは、知らなければ日本人でも察するのが難しい。
(この有名なエピソードはよく知られているけど、「おたくのお子さん、ピアノお上手ですね」が「ピアノの音がうるさい」という意味になるというのを知った時は、「異文化だ」と思った。京都は奥が深くて、心底興味が尽きない。)
改めてネットで検索すると、このpassive aggressiveは遠回しな表現を好む日本人に見られやすいらしい。
グローバル化して、特にビジネスで欧米の文化のいいところが取り入れられるようになったのか、最近では「アサーティブ・コミュニケーション」という考え方も広まりを見せてきている。
だから日本人も、自分の思っていることや不満を相手にうまく伝えることが求められてきている。器用な人はちゃんとそれができる。相手を不快にさせず、自分の意見を主張して、相手に納得させる。
日本人だけのコミュニティであっても、passive aggressiveのままでいていいというわけではない。
私はまだまだpassive aggressiveの傾向がある。
沈黙や不機嫌さで相手に察するように仕向けてしまうことがある。
大きな不満の解消は他の人の手を借りないと難しいこともあるけど、小さなものはちゃんと言葉にして相手に伝えていけるようにしたいと思う。
ちなみに、日本人の「空気を読む」文化の紹介として京都を例に挙げたけど、京都人を批判するつもりはみじんもないことを言い添えておく。
「お茶漬けどうどす?」は、passive aggressiveどころか、日本人らしいアサーティブ・コミュニケーションだと言える。
それに、北米の人が何でもストレートに「私はこれが嫌い」と言うわけでもないらしいことも付け足しておく。