「ハスは古いか、花愛でる。いつから食べたか金目鯛!」~如月の旬(2015年2月)
●レンコンさんが、「蓮(ハス)の地下茎」なのは皆さま、ご存知の通り。
熱帯アジアが原産と言われるこの草の事を、日本では古くは「ハチス」と呼んでおりました。
・・・なんでも、花が散った後に花托(かたく)が残って育って、そこに種が出来るんだそうですが、その「花托の形が、蜂の巣に似ているから」だそう★
ハスの化石は、日本でも「氷河期辺りの地層から発掘」されてるらしいんですが、日本にもともとあったという訳ではなくって、中国から5世紀頃にやって来たのだとか。
日本最古の歌集である「万葉集」にもその名が見られるくらい、日本人との付き合いはとっても長いみたいですね、へ~え。 (゜-゜)
●万葉集は、「奈良時代以前の、貧富を問わぬ方々の歌を4500首に纏めて紹介」した書物ですよね。
そちらには、こんな歌が詠まれているそうです。
「はちす葉はかくこそ有るもの意吉麻呂(おきまろ)が家なるものは芋(うも)の葉にあらし」
・・・そういえば日本の縄文人って、もともと「狩猟と採集だけで生活」を、していたんでしたよね。
弥生時代に入って、稲作はようやくに覚えたんですが、その辺りで仏教が日本に伝来(!)
その教えで、獣肉の方は余り食べなくなりましたが、奈良時代より前は、野菜は畑ではなくて、まだまだ野に出て採って暮らしていたようなんです。
・・・それがようやく、野菜も自ら栽培するようになったという事でしょうか。
手間をかけて育てていたせいか、この頃はハスも、その全てを食用にしていました。
レンコンはもちろんのこと、巻葉は油炒めや、おひたしや清(すま)し汁の実に。
匍根(はえね、つまりわさわさと生えている根っこ)までも、お茶菓子の材料にしたり、刺身のけんにしていたそうで、これは江戸初期くらいまで続いていたんだとか★
・・・もっとも、レンコンさんは江戸というよりも上方で愛されていた感があるので、だからこそ、お茶菓子に使われていたのかも知れませんね。 (^-^)
●さてレンコンさんは、とにかく蓮の地下茎です。
蓮といえば仏教、蓮華はもちろん、ハスの花を差します。
お寺さんで、「菩薩さんが座っている台の名前」は、蓮華台と呼ばれてますし、極楽世界の蓮池などなど、「蓮は、浄土の象徴」とも。
ちなみに、「禅定(ぜんじょう)修行の坐相が、蓮華座という名前で呼ばれ」たりも。
・・・この蓮華座、別名は結跏趺坐(けっかふざ)とも呼ばれていて、ヨガのレッスンでも、この足の組み方で座ったりしますよね。
●かくなる訳で、蓮はとにかく「仏教」にはつきもの。
なので、糯米飯を蓮の葉に包んで蒸し上げた「蓮飯」は、鎌倉の末頃には盂蘭盆会の時に食べられるようになりました。
宮廷でも、7月15日(もちろん、旧盆★)の盂蘭盆会の行事食として。
・・・この蓮飯はもちろん、「御菜十種」をそれそれに蓮の葉で包んで、観音草(別名:吉祥草)と呼ばれる細長い草で縛って供していたんだそう。
●さて、そんなレンコンさんなんですが★
ついつい根菜類なせいか、ゴボウやニンジンなんかと並べて考えてしまいがちなんですが、レンコンは畑ではなくって、水田で収獲する(!)野菜。
・・・言われてみれば、ハスの花といえば、池や沼の水面で咲いているものですもんねぇ。 (^_^;)
ちなみにお江戸の頃だと、ハスは食用にするよりも、花として愛でる傾向が強かったんだそう。
その当時にして、ハスは100種以上の園芸品種があったそうで、ちなみに食用のレンコンにも、実は数多くの品種があるんだそうです。
●田んぼで育つレンコンは、田の泥や水に含まれる栄養素を吸収して育つので、その栄養素はとにかく高い(!)
レンコンさんのあの粘りは、ムチンだそう。
粘膜を守って下さいくれますし、カリウムや鉄などのミネラルは血圧や貧血予防にも効果があります。
またレンコンが空気に触れると黒ずむのは、ポリフェノール系の色素を持っているからなんだとか。
なので「色を白く仕上げたい時」には、酢水にさらすと良いそうです。 (^-^)
また、「火を通すと壊れやすいビタミンC」をレンコンさんは多く含んでおられますが、その弱い処を、レンコンさん本体の豊富なデンプン(!)が守ってくれるのだも。 (〃∇〃)
またレンコンさんの持つタンニンには、抗酸化作用はもちろん、老化防止にも♡
最近では、花粉症の予防にも効果がある事が判ってきたんだそうですね。
・・・漢方では、蓮はレンコンの部分はもちろん、葉っぱや種に花びらや、雄ズイ(おしべの事)、花托(このブログ1枚目の写真参照★)、幼芽までを、薬用として活用しているんだそうです。 (^_^)/
食物繊維も豊富なレンコンさん、なかなかにパワーのある方のようです♡
●さて今月のもう一つの旬食材、金目鯛さんの方にいきましょう。
真鯛だと、「スズキ目タイ科の魚類」なんですが★
これに対して金目鯛さんはキンメダイ科の硬骨魚。
「鯛」という名前を戴いておきながら、実は鯛とは全く別種の魚(!)なんです!
何しろ、「鯛は美味しくて、お目出度い魚」とされていますよね。
・・・若干、形が似てるから。
白身な処が似てるから、アコウダイ(カサゴ目フサカサゴ科メバル属)やら、マトウダイ(マトウダイ目マトウダイ科)・・・などなど。
とかく「タイを名乗る(・・・というか、語る💦)魚」は、日本ではとっても多いんだそうですけど・・・★
逆に、本物の鯛の仲間というのは却って、少ないんだそうですよ、いやはや。 (^^;;
●金目鯛さんは、育っても体長は40センチ前後なんだそう。
体は見たとおりの紅色で、黄金色のそのつぶらな目から、その名が付いたのだとか★
世界中、至る処に生息する深海魚の金目鯛さんなんですが、日本では茨城県以南の本州は太平洋側に生息。
昼間こそ、数百メートルの深い海で暮らしておられますが、夜ともなると、表層に近寄ってくる習性があるのだとか。 (゜-゜)
「和心きらり自慢・江戸暦コーナー」でレシピをご紹介している・・・金目鯛さんなんですが、はたしてお江戸の時代、この魚は食されていたのでしょうか・・・??? (-_-;)
金目鯛さんは、深海魚。
江戸人には、そんな魚を釣り上げる技術なんかは、持ち合わせがないハズ(!)
そう思っていらっしゃる方も、多いのではないでしょうか。 (゜-゜)
●ところが、ご存知でしょうか。
「広重魚づくし」の中の一枚で、お江戸の浮世絵師である歌川広重が、「鱸と穂紫蘇と金目鯛を描いた1枚」を描き遺しているんですね。
・・・食べているかはともかく、こうなると江戸人は少なくとも、「金目鯛さんの存在を、知っていたんじゃないかしらん?」と、私こと山野亜紀は思います。 (^_^;)
・・・学者さんなら例えば、この時代の食文化を文献で調べたりする事でしょう。
「学者としての責任」がありますから、いい加減な事は言えません。
なので、そういった「学者が編纂した、山野亜紀の料理蔵書」の中にも、「金目鯛料理」は紹介されていませんし、食材の一つとしても紹介されていません。 (^_^;)
●学者編纂の本は、その時代に実際にあって遺されている料理書や文献が参考にされています。
「料理物語(1643)」は、お江戸の頃にもてはやされた料理書です。
現在のクッキングブックとは大分、様子が違うようですが、そこにも金目鯛の文字はありません。
また、本草書とされる「本朝食鑑(1697)」は、当時の日本の食材全部を紹介しています。
・・・食材の一つ一つに、毒の有る無しから栄養やら(!)
その食べ方までも紹介しているんですが、そこにも金目鯛の文字はありませんし、現在の百科事典にあたる「和漢三才図会(1712)」でも、その名前は出てきません。 💦
ご紹介している書物は、徳川三代~五代将軍辺りのモノですが、これ以降にも金目鯛の文字は見られないので(!)
学者さんの立場からなら「江戸人は、金目鯛を食べなかった」というしかないかと思います。
●・・・でも、私こと山野亜紀は学者ではないので★
「果たして、金目鯛と呼んでいたかは判らないが、絶対に江戸人はこの魚を食べていた(!)」
と・・・林先生共々、思っております。
深海魚ながら、夜になると表層に寄って来ると資料にありますし。
珍しいモノが好きでたえず「自分の珍しい体験を自慢しては、面白がっている感のある江戸人(!)」なら、絶対に食べてるし自慢してるハズ・・・。
・・・ただ、金目鯛があがる場所もこうして見ると限られていますし、文献に至るまでいかなかったんではないかと思うんです。
そんな・・・金目鯛さんなんですが、タンパク質と脂質が他の白身魚に比べて、とっても多いんだそう。
なので成長期の お子さんや、激しいスポーツを嗜む方には良い、とあります。
DHA、EPAを多く含むので、神経を整えたり、血液サラサラ効果も♡
精神的な疲労はもとより、肉体的な疲労回復効果も兼ね備えておられます。 (^_^)/
ビタミンB12も多いので、造血効果も(!)
・・・年中スーパーで販売はされてますが、金目鯛さんの本物の旬は12~3月辺りまで。 👀
お刺身にかぶと煮はもちろん、塩焼きや鍋物、干物にしてもイケる魚なので、ぜひこの時期に楽しもうではありませんか。 (〃∇〃)
(2015.2.1 文責・山野亜紀)
〇2015年2月のお膳
※「和心きらり(http://wagokoro-kirari.tokyo/)」より転載
・・・700以上のレシピ・旬エッセイ・ブログを現在、移築中。😅