人の健気さ思う日

　拝啓　Y

　帰り道だけではなくて、玄関を開けて、人ごみの中へ飛び込んで行くときも、ずっと考えていた。
　考えれば考える程歩くのが早く疾くなった。
　あなたを孤独な同志と呼ぼう。
　出来ていないことを出来ているフリも、したつもりにもならなくていいから、やってみようとだけはしてね。し続けてね。
　たまに誰かに気付いて欲しくなってしまうよね。
　しまうけどフリで満足しないのが素敵なところでしょう。

　いつかのわたしはこの世よ、世間と折り合いがつかなくて、頭の中に自分の妄想の世界をつくって、その中で生きていると思い込もうとしたの。
　受け入れきれてないのに、罵る勇気も無かったからよ。いじめっ子相手なら遠慮なく喧嘩できたけど、いつからか、まともに傷付いているみんなが偉く見えました。
　この、見えている世の中で願いを捨てないでいようと思い直して、それがどんなに痛いことかようやくちゃんとわかってきた。
　行こうねもうちょっとずつ。あと765日。
　草々不尽

　令和4年1月11日付　J