見出し画像

ブックオフのカエルは少年にオーボエを教える

さあ、とうとう高校生になるわけだが
その頃にはギターよりも気になる楽器があった。

中3あたりの僕は、例に漏れず厨二っぷりを発揮しており、とにかく沢山の本を読んだ。
小説や哲学書、なんだかよくわからない物理の本。
ブックオフへ行っては安い本を買い込んで、読みまくった。
難し過ぎる本はそっと閉じて、とにかく読める本を読んでいった。

今だに、伊坂幸太郎の『終末のフール』は好きだしソクラテスとかプラトンあたりは何とか読んだ記憶がある。

そんな厨二丸出しの本の虫はある日
『オケの中の蛙 大海に挑む』
という本に出会った。

これはNHK交響楽団の茂木大輔さんの著書だ。
もちろん、茂木さんなんて知らなかったし、オーケストラなんかも聴いた事なかった。
なんとなく表紙とタイトルに惹かれてその本を手に取ったのだった。

茂木大輔さんはオーボエ奏者で、交響楽団の日常、ソリストとしての日常、ただのオッサンの日常を面白おかしく書き起こしていた。
文章が読みやすくてドンドン読むうちに
「オーボエ吹きてえな」
となったわけで。

オーボエなんて音も聴いたことないし見たこともない。

だけどこの年頃の「やりたい」気持ちって抑えられないもんだよな。

高校の入学式が終わってすぐに吹奏楽の顧問を訪ねて
「オーボエがやりたいっす」
と直訴しにいった。

余談だが、この直訴の後にやっとオーボエの音をCDで聴いたんだけど
「えー!なんか変な音!」
が最初の印象だった笑

だけど、そんな事よりも僕は
オーボエを吹くことが、全ての始まりなような気がして、ギターの事なんかすっかり忘れて吹奏楽部に入部するのだった。

続く。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?