【建物今昔】三菱江戸橋倉庫
日本橋川の江戸橋の傍に三菱倉庫株式会社の江戸橋倉庫がある。倉庫の背後は川で首都高速がかかっている。現在は日本橋ダイヤビルディングというのが正式な建物の名称だ。
この建物は外側に旧三菱倉庫の建物を残し、内側に高層のビルを建てるという最近よく見られるの改築方法のビルである。竣工は2014年9月。高層部分は地上18階。長周期振動にも対応した免震構造で、浸水対策、停電対策なども完備していて、上下水を循環させることにより断水時にも対応している。東京都の省エネルギー評価で最高評価のAAAを受けている。
この新築部分はオフィスビルになっている。
上の写真は南から見たところ。左右は旧ビルを残している。中央のガラス張りの部分が新しくなっている。
右のドーム型の窓というか扉は、荷物を出し入れできそう。
実は改築前の2011年4月29日にこのビルの写真を撮影していた。
旧ビルは昭和5年[1930]に建てられた。日本橋川のほとりにあり、川から直接荷物をクレーンで揚げられるように設計されていた。
ビルの屋上には船のブリッジのような塔屋がある。当初「郵便汽船三菱会社」の倉庫ということから、船をイメージしてデザインされたのだろう。
このビルは平成19年[2007]東京都選定歴史的建造物に指定された。
屋上にトランクルームという看板がある。実は日本のトランクルームはこの三菱江戸橋倉庫が最初に始めた。昭和六年[1931]のことだ。「トランクルーム」という言葉も、三菱倉庫の造語だそうだ。
2011年4月におとずれたとき、車の影に建築計画を知らせる看板があって、驚いて思わず写真に撮った。まさか、このビルが無くなってしまうのかと、残念に思った記憶がある。外側だけでも残ってよかった。
東京都が歴史的建造物の指定をしていたお陰なのだろうか。とにかく、建築当時の姿をこの目で見ることができて、ラッキーだった。
日本橋ダイヤビルディングの一階に、このビルの歴史が分かる展示コーナーがある。(入場無料)
ちいさなスペースだが、倉庫の変遷や周囲の変化が分かりやすく解説されている。