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クラブ活動と私#15:お姉ちゃんはダンジョンマスター

《これまでのまとめ》

※前回までのあらすじ※

日本の女性の黒髪は美しい。


私たちTRPGリプレイ制作班は部室の外でも
卓を立てる事がしばしばあった。
そうしたセッションはリプレイ制作に縛られずに
プレイしたい時に行うもので、いつもゲーセンや
ビリヤードに通う学生街のレンタルスペースを
借りたり、部長のBAN太さんのお宅にお邪魔して
気楽にワイワイ楽しんでいた。

その日は光流みつるちゃんの家での初セッションだ。
最寄りの駅に集まって、光流みつるちゃんの案内で
途中お菓子やジュースを買い込みながら”会場”へ
向かう事に。
もちろんお邪魔するお宅へのお礼代わりにと、
お土産の持参も抜かりはない。


光流みつるちゃんは私達の1学年下の後輩だ。

ブラックユーモア好きなHA先輩と同じ中学出身で
背中まである長さでハリ・ツヤのある”緑の黒髪”と
ドングリのようなクリっとした大きな目が特徴的な
本好きの女の子。

小学校の頃は図書館の本を読み漁り、先生と
一緒に本作りまでしていたという。
私たちの高校を志望した理由が『創作部に入部
したいから』というからまた驚きだ。

中学の頃からの友達で私にとっては”嵐を呼ぶ
美少女”隼人はやとちゃんと共に創作部に入り、私たちの
グループでリプレイ制作に携わりながら文筆も
行なっていた。

普段は明るい子なのだが、その心の内には
ちょっとした”影”を抱えている。そうした一面を
私が知るのは先輩たちが卒業してからの事。


今日卓を立てるマスターは光流みつるちゃんである。
この日が初のダンジョンマスターだ。
卓を囲むのは私、たく、みーくんの同中学出身組と
HA先輩、それと他校ではあるが同じゲーセンの
常連でいつも私たちと遊んでいたZoo君。
たくは光流みつるちゃんのサポートも兼ねる。

この面子が後々あれほど複雑に”絡み合う”ことに
なるとは、この時は想像していなかった。


シナリオも新規でのスタートということで、
まずはキャラクター作成から始める。
そうしてダイスをコロコロ転がしていると、
光流みつるちゃんとは歳の離れた弟クンが物珍しそうに
駆け寄って来た。

「こら~、あっちで遊んでなって言うたやろ。」
光流みつるちゃんが弟クンに言う。

光流みつるちゃんは4人姉弟の一番上のお姉さん。
妹が2人と、10歳ほど歳の離れた弟クンがいる。
家ではこの弟クンの面倒を見ている光流みつるちゃん。
なかなかにカワイイ弟クンだ。

「まぁまぁ・・・おいで。」
私は弟クンをヒザの上に座らせて、代わりに
ダイスを転がしてもらうことにした。
わりと人懐っこい弟クンなようだ。
すんなりと私の懐に入ってくれた。
私の幼い頃なら人見知りでこんな事はまずない。

「K(私)さん、ゴメンね。」
「ええよ、カワイイ弟さんやんか。」

私はしばらく弟クンのお相手をする事にした。
自分が昔、幼い弟と遊んであげた頃を思い出す。


新たな”参加者”を迎えつつ、シナリオは進む。
シナリオはシティアドベンチャーで、敵は
モンスターよりも”人同士”が中心だった。
この辺りには光流みつるちゃんの好きないくつかの
コミックスの影響が垣間見れた。
単純なモンスターとの戦いよりも複雑になりがちな
内容だが、初マスターとしてはマスタリングも
なかなか堂に入っている。

途中で飽きてしまった弟クンはいなくなって
しまったが、セッションは上手くいった。

お姉ちゃんダンジョンマスター、ここに爆誕!


なおこのセッションの後しばらくの間、
弟クンをヒザに載せていたせいか、私はすっかり
足が痺れて立てなかったとさ。

あー、久々にサイコロ振りてぇ。

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