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クラブ活動と私#14:猫っ毛

《これまでのまとめ》

※前回までのあらすじ?※

⬆これ、意味なくない?
(自分から言っちゃうスタイル)


私が”玉ちゃん”に魅かれたポイントのひとつが
その「長い黒髪」である。

和装の似合う、肩まで伸びた、少しウェーブの
かかった、ちょっと”クセ”のある、美しい黒髪。

本人はそんな「猫っ毛」を少々気にしている
様子で、よく髪をいじっていた。
そんな仕草ひとつでさえも、私をドキッと
させるには充分なものだった。

何かに集中しようとする時。
あるいは少し間が空いた時。
玉ちゃんはその髪にブラッシングをあて、
その時々の気分でヘアアレンジを始める。
時にはそんな様子を見て、氷子さんが玉ちゃんに
ブラシをかけてあげながら話に花を咲かせる。

氷子さんはいつも玉ちゃんのツヤのある黒髪を
羨ましがっていた。
玉ちゃんも氷子さんのキレイなストレートヘアを
羨ましがっていた。

傍から見ている私にとっては、どちらもただただ
”綺麗”だとしか思えないのだが、氷子さんいわく
「玉ちゃんの黒髪はツヤが違う」のだそうだ。

氷子さんの髪はよく見ると所々少し茶色味を帯びた
髪色だ。注視しないと気づかない程度なのだが、
それが氷子さん自身はお気に召さないらしい。
だからこそ、玉ちゃんの髪は触りたくなるのだと。


・・・女の人ってムズカシイ。
2人とも充分お綺麗なんだけどな。
ただ氷子さんの気持ちはわからなくもない。
もちろん、私には触れる事など出来ないけれど。

ちなみに私より1学年下の後輩、光流みつるちゃんは
この2人の先輩の特徴を合わせ持っている。
背中まで伸びたストレートのハリとツヤのある
その髪は”緑の黒髪”という表現がピタリとハマる。

・・・創作部の、それもTRPGに関わってる女子の
レベルはまるで”特異点”である。
光流みつるちゃんなんてマスターまで張るし。
何この時空、誰の妄想の世界?


そうこうしているうち、玉ちゃん自身の手で、
あるいは氷子さんとの”共同作業”で、その髪は
ひとつのヘアスタイルとして完成していく。

髪を持ち上げポニーテールにしてみたり、軽く
後ろで束ねてみたり、お団子ヘアにしてみたり、
編み込んでみたり、三つ編みのお下げ髪に
なったり。いつも見てて飽きない。
ある時からはそこに”シニヨンネットで束ねる
という選択肢も増えた。
紺色のリボンが見えると、ちょっと胸の内が
くすぐったい感じになる。

まるで猫の目のように日々ころころと変わって
いくその黒髪の様子を、私はいつも楽しんでいた。
そのせいだろうか、私の中の玉ちゃんのイメージは
「後ろ姿」の印象がより色濃く残っている。

「今日はどんな感じになるんだろう?」
人知れずその様子を眺めている。
いや、「人知れず」というのはないな。
私が玉ちゃんに視線を向けてるのを知っている
人は居るし、その人たちはそんな私を見て
どこかでニヤニヤしていたハズだ。


ワープロ打ちの合間に。
文字起こししたリプレイを手直ししつつ。
あるいは作業してるフリをしながら。

あんまり私が眺めているせいか、玉ちゃんとは
ふとした折に目線が合う事が多かった。

玉ちゃんは決まって「なぁに?」と
私に向かって軽く首を傾げてみせる

私も決まって「何でもないですよ」と
軽く手を振って応える。

届くかどうかもわからない、儚い想いをのせて。


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