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言葉が命を救うと知った小学生の僕
小学生の頃、親に買ってもらったラジカセでラジオを聴いたり音楽をエアチェックしたりすることに夢中になっていた。
午後から学校がない土曜日の昼下がり、狭い社宅の一室で僕はいつもの電リク番組を聴いていた。
それまで明るく振る舞っていたベテランの男性パーソナリティが、トーンを落とした声で1枚のお葉書を読み始める。自称おばあさんからのリクエスト葉書だった。
おばあさんは、親族のことを含めていろいろと苦労され、とことん疲弊してきたこれまでの来し方を簡潔に綴られていた。
「拝啓、はじめてお便りします・・・・・・そして私は、人生に疲れ、何もかも終わりにしようと、気づけば駅のホームに佇んでいました。そして、いよいよというとき、どこかのスピーカからこの歌が流れてきたんです。私は自然に涙がこぼれ落ちるのを抑えられませんでした。」
「そして、思ったんです。『もう一度生きてみよう』って。だからこの曲を
リクエストとします。こんなおばあちゃんのリクエストですが、どうかよ
ろしくお願いします。」
最後の一文を読み上げる声にかぶせて流れ始めた壮大なイントロ。
ひと呼吸おいてパーソナリティは続ける。
「それではこの方のリクエストです。お聴きください。」
松山千春さん「大空と大地の中で」・・・・・・♪♪
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「生きることが 辛いとか 苦しいだとか言う前に・・・野に育つ花ならば
力の限り生きてやれ・・・」♪♪
僕はスピーカーを見つめながら不思議な気持ちで曲に聴き入ってしまいました。
小学生ながら言葉の力を知ったあのときの静かな衝撃は、今でも僕の原動力になっています。
そして、オンライン心理カウンセラーとして時には命の危機を感じているクライアントと電話口で対するとき、自分の一言の重みとともに救える可能性を感じずにはいられないのです。(おわり)