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実践で一番使えるクレーム対応法【動画付き】

はじめに

本書は、実践を主体としたクレーム対応研修講師としてのキャリア38年の気づきをまとめた本です。
紹介する技法は、簡単かつ即効性があり、いろんな場面に応用が利く技法です。

内容は、拙著「一番つかえるクレーム対応のやり方がわかる本」(日本実業出版社)等の見直し内容をベースに文章とイラストにYouTubeショート動画(限定公開)を加えて紹介しています。
テンポよく解説していますのでスイスイお読みいただけます。

お読みいただくと、「こんな簡単なことで?」と思われるかもしれません。
ご心配なく、その効果の大きさは実践によって実感していただけます。

私はこれまで、研修では「実践で使える技法(成果につながる技法)」を体得していただくことを第一にしてやってきました。
ここでは、「講師ではなく、パートナー」として「答えをお教えするのではなく、拠り所を提示して押さえどころを答えてもらう」といったスタンスをとってきました。
お相手がその分野の専門ですから当然ですが。

実は、講師を始めたころにはシチュエーションごとの技法を丁寧に解説していました。
ある段階で、「これでは実践で使いづらいな」ということを実感しました。
それからは、前述のスタンスに変えています。

シチュエーションごとの論理的かつ詳細な技法は、「読んだり、聞いたりの段階」においては「なるほど感」を覚えやすいものです。

ただ、私たちは生まれてからこれまでずっとコミュニケーションをしてきています。
私たちの表現には自分ならではが染み込んでいます。
それだけに、前述の技法は実践で使うとなると制約が多く、体得が難しいうえに応用が利きにくいと言えます。
つまり、研修が分かったの段階(理解の段階)でまとまりがちでした。

誤解のないように、これらの技法が良くないと言っているのではありません。
この技法はAI自動音声やロボットなど無機質なものを作るのにはとても有効だと思います。

ちなみに、私はこれまでクレーム対応研修を10数社で5年以上、長いところで24年担当しました。
前述の効果は、研修で実証済みです

本書の構成ですが、初めにクレーム対応に関する考え方を紹介し、その後にクレームの受け止め方からまとめ方までの技法を解説しています。
各項目完結型にしていますので、必要な項目から、あるいは必要な項目だけをお読みいただけます。

会社を団体や組織と、お客様を住民やステークホルダーといった言葉に変えていただければ、どの業種や職業の方にもお役立ていただけます。

また、例として紹介している言葉づかいと非言語による表現技法は、実際には相手のお客様や状況、内容に合わせて変えていただく必要があります。

本書が、あなたのビジネス・パフォーマンスのサポーターとしてお役に立てれば幸いです。
田中義樹



1 クレーム対応に必要なスタンス

クレーム対応では、次のいずれかのスタンスをとるようにします。
①非がある場合には、再発防止策を講じる
②非がない場合には、正しいサービス内容を理解していただく
③理不尽な要求にはソフトに毅然と対応する

クレームは、お客様の期待と実情とのずれから生まれます。

お客様の期待には、次の3つのレベルがあります。
・やるべきことはきちんとできているはずだ
・他と比べて劣らないものだろう
・自分の理想にかなうものであってほしい

クレームは、こうしたお客様の期待に反したから生まれたのです。

基本的には、クレームは改善意見であり、より良い製品やサービスづくりのヒントとして活用できるありがたいものです。

ただ、場合によってはお客様の誤解から生まれた苦情や、悪意のある言いがかり、理不尽な要求といったものもあります。

クレーム対応では、前述①②③のスタンスのいずれかで臨むようにします。
また、クレームにはお客様の不快感や怒りが伴っています。

クレーム対応は、相手のお客様の不快感や怒りといったマイナス感情を解消することからのスタートになります。

ここをきちんと押さえておかないと、お客様との関係がマイナスの悪循環に陥りかねません。

そして、一般的に、人間関係においてはマイナスの関係を解消すると、普通の関係以上のよい関係になるものです。
クレーム対応は、ファンづくりのチャンスでもあるのです。

ここからは、クレーム対応におけるお客様の不快感や怒りといったマイナス感情を解消することから、さらに一歩進んで、逆に会社やあなたに好感を持ってもらえる対応法を紹介します。


2 最初の受け止め方

(1)まずはマイナス感情の解消から

繰り返しになりますが、クレーム対応は相手のお客様の不快感や怒りといったマイナス感情を解消することからのスタートになります。

お客様のマイナス感情をやわらげ、解消するための最初の対応には次のことが大事です。
①非がある場合には、心を込めて謝る
②非がない場合にも、クッション言葉か配慮の言葉で受ける

(2)非がある場合の対応

非がある場合には、先ず心を込めて「大変申し訳ございませんでした」と謝ることが大事です。

また、言葉だけではなく、声と顔の表情や動作も合わせてお詫びの気持ちを伝えます

こうすることで、お客様に誠意が伝わります。
また、「この人はしっかりしているな」と受け止めていただけます。

軽い感じの「すみません」や他人事のような「そうなんですか」では、
「その態度は何なの? 本気で謝ってるの」
「そんな言い方はないでしょ。あなたはどこの会社の人?そちらに非があるんだか、まずは謝るべきでしょ」
と、お客様の不快感や怒りを増幅しかねません。

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