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私が演芸にハマった話-(2話)寄席界隈とネットの初々しい関係
コロナ禍で伯山さんに出会ったその後。生で見てみようとググるも寄席というよくわからない催ししか出てこない。なんだよこれーと思いつつおっかなびっくり初めて寄席に行った頃のお話をひとつ。
ポイント🧑🏫
以下、寄席演芸界隈に関する専門用語がもりもりでてきます。興味のある方は記事最下部に大体こんな感じという説明を載せておくのでよかったら読んでみてください。
ちなみに、初期の頃の私の経験なので無駄にビビらせるようなことを書いてありますが、結論先に書くと寄席に行く時には服装は気にしなくて良いし(裸じゃなければ)、値段は大体3,000円くらいで一般的には12:00-20:00くらいまで聴き放題だし、おひねりも持って行かなくて大丈夫です。
初心者はそんなこと気にせずにとりあえず行くってことが大事。よかったら行ってみてね。
それでは私のお話へ。
寄席って基本的にいつでもやってるけど(本当に、多分大晦日以外はずっとやってる)自分の人生と照らし合わせるといつも行けるわけじゃない。
そう考えるとコロナ後に狂ったように寄席に行ってたあの時期は、多分隙があれば番組表(※1)を眺めていたように思う。
初めて行った寄席、確か正式な『寄席』で初めて行ったのは新宿末広亭だった気がする。
でも実は末広亭の前に行っているのが上野広小路亭。
しかも当時は寄席と思ってたけど実際に行ったのは日本講談協会(※2)の定席(※3)。
なぜこんなことになったのか?
寄席演芸界隈ネット弱すぎ問題のせいである。
(異論は認める。私の調べかたも悪かったかもしれない。)
そもそも寄席演芸のファンのメイン層は50代〜上は限りなく、若手層はほぼ落語研究会所属とか、お芝居や舞台が元々好きな方々が多いのではないかと思う。
勝手な偏見だが、なんのきっかけもなくポッと講談落語に興味を持ちました、という人は少なそう。
それ故か、この業界ネットが弱い。
初めて寄席を検索した時、出てきたのは落語芸術協会のコラム『寄席に行こう』だった。むしろこれしか出てこない。
もちろん丁寧に説明してくれてはいるのだけど、無教養な私は寄席と歌舞伎の違いもわからず、またネットで見かける『歌舞伎はドレスコードがないはずなのに着物で行かなかったらジロジロ見られた』などという根拠のない文章に踊らされ、このコラムを信用していなかった。(失礼)
しかも寄席には専門用語が結構ある。
木戸銭(※4)、上席、中席、下席(※5)から始まり、前座、二つ目(※6)、色物(※7)etc...
当時の私は『伯山さんは見たいけど、よく分からないところは行きたくないし、ましてや行った先で古参に何か言われたらどうしよう!』というビビりっぷり。
ひとつひとつコラムを読むも、用語の説明で頭がいっぱい笑
そんなわけで『寄席 服装』『寄席 チケット』『寄席 マナー』など思いつく限りの検索ワードでググりまくり、ぶち当たった最大のビビりポイントが『おひねり』だ。
でた、おひねり。
なんか伝統的な業界でよくありそうなおひねり、いわゆるチップというやつ。どこのブログだか忘れたが寄席に行った時には応援している芸人さんに必ずおひねりを渡す、と書いてあったのだ。
怖すぎる…いくら渡せばいいんだ…
なんでこのブログはいくら包みましたって書いてないんだ…相場は?本当に寄席って気軽なところなの?服装もやっぱり普段着じゃダメなんじゃないの!?
ここで、私のキャパを超えた。
ググってもこれが正解です!というような文章は見当たらず、個人のブログもほぼ出てこず、調べすぎてだんだん嫌になってきた私は開き直ることにした。
まあいいや。初心者なら間違って当たり前
あと古参になんか言われるのが怖いなら言われないカッコしてこ!!!
と、そんなわけで調べた寄席情報を放り出し、
とりあえず見つけた伯山さんのHP出演情報から直近で行けそうな所!と出向いたのが上野広小路亭だったのだ。
現在日本講談協会の定席は事前予約制になっているが、当時は並べば入れるシステム。整理券が配られる2時間前に行けばさすがに入れるだろう、と当日早朝。
すでに10人ほど並ぶ熱狂的なファン。
話しかけるのもなんだか違う気がしてそっと横に並ぶ。
イヤホンをし、サングラスをかけ、ハイヒール、腹出しの服を着てほぼ茶色の口紅を塗った私。
その前にはファン歴が長そうな競馬新聞を持つおじさん。
その前はお着物のおばあさん。
対してがっっっつりギャル系の私。
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普段から服装が地味とは言わないけれど、その日は特別ギラギラにしていった。だって怖かったんだもん。
ここまでギャルギャルしてれば逆に話しかけづらいだろという作戦だったけど、早朝から並ぶ系統バラバラな人たち。
通り過ぎる人達からは『なんの列??』という目線をたっぷりもらってしまった。
でも良いのだ。
これで私は演芸界デビューをしたのである。
初めて観た演芸は、寄席ではなく講談100%でぶっ通し約4時間どっぷり講談漬け。
行くまではあんなにビビってたのに4時間があっという間に過ぎた。
今思えば厳密には寄席デビューではないのだけど、この経験で私の寄席へのハードルはがぐっと下がり、番組表を眺めまくる日々につながるのだ。
ようやく講談、落語の世界に踏み出した私。
そして少しずつ、ただ客席から観るだけだった芸人さん方とまさかの接点が生まれていく。
芸人さんとの接点、繋がりとは…?まだまだ気になる演芸にハマった話。お物語は続いていくわけですが本日はここまで。本日は初めて行った寄席の話で、読み終わりとさせていただきます。
めちゃめちゃざっくり用語解説
※1 番組表
寄席に出る芸人さん達の出演予定表。スケジュール。
※2 日本講談協会
講談師さんたちが所属する団体のひとつ。
※3 定席
色んな意味合いがたくさんあって私も理解が難しい。とりあえずこの記事内では定期公演会くらいのニュアンスの理解で大丈夫。
※4 木戸戦
チケット代
※5 上席、中席、下席
寄席は、1ヶ月を約10日ずつ3区切りしてそれぞれ出演者が変わるシステムで運営している。上席、中席、下席はそれぞれその月の上旬公演、中旬公演、下旬公演というようなニュアンス。
※6 前座、二つ目
どちらも芸人さん達のランク名。見習い→前座→二つ目→真打と上がっていく。年功序列の場合と実力があれば飛び級する場合など、所属団体によって色々あるらしい。いわゆるサラリーマンの人事評価制度。
※7 色物
寄席では、マジックショー、漫談、コント、漫才、歌などのネタをまとめて色物という。長時間の寄席では色物の存在はかなり大切で、ホッと気軽に観られる大切な時間。