見出し画像

「東大思考」と「クリスマスプレゼント」

本から受け取ったインスピレーションで800字で書き綴る「リブリオエッセイ」。今回のエッセイはこちら↓

「クリスマスプレゼント」

 子供の頃、北海道の雪深い山の中に住んでいた私は、当たり前にホワイトクリスマスだったが、その日はサンタさんが珍しいお菓子を届けてくれる日なのだと思っていた。それは田舎では売っていなかったいろいろなお菓子が赤い靴の入れ物の中に入ってクリスマスの朝に枕元に置いてあったからだ。

 町に引っ越したらプレゼントはお菓子じゃなくなり、小学校3年生の時、母から「間に合わなかったよ~」と赤いドレスの片袖だけが中途半端になったお人形を見せられたのだ。サンタさんは来ないと知ったからか、その翌年からクリスマスプレゼントは我が家から消えた。

 時は立ち、結婚してから夫婦でクリスマスプレゼントの交換をすることにした。もちろん、1年に1度のお楽しみだし何が欲しいのだろうかといろいろ考え、お互いにプレゼントに思いを寄せて選ぶ。夫は最初の年、ピンク色のカシミヤのマフラーをプレゼントしてくれた。単純に嬉しかった。

 その翌年、同じくピンク色のカシミヤのマフラーだった。いや、チェック柄なので全く同じではないがマフラーは2本になり、微妙ではあるものの交互に使えば良いとありがたく受け取った。そして3年目。ドキドキしながらプレゼントの箱を開けると、紺色のカシミヤのチェックのマフラーだった。まさかのマフラー3連チャン!私の首は1本しかないのだが…。色違いだからバージョンアップをしているのだろうか?? 

 さすがの私も、なぜマフラー?必須アイテムと思っているのか?一応、あれ欲しいな~と匂わせたつもりだったはずなのだけど…。もらえるのは有難いが、正直、来年もマフラーだったらどうしよう!…ということで、翌年は「マフラー以外」をリクエストし、手袋になってほっとした。

 そして20年たった今では、クリスマスは夫婦で決めた予算内でお互い自分に買ったプレゼントを見せ合う日にしようということで落ち着き、サプライズなしの実に平和なクリスマスを迎えられている。

J.Discoverさんが運営されているエッセイ塾「ふみサロ」の12月の課題図書は「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく東大思考  
 現役東大生 西岡壱誠 著

 エッセイの作成意図としては、「東大生はみんな『結果』に対して疑問をぶつける人ばかり」と「そもそも思考」で原因を考えるということ大事だと本には書かれていましたので、なぜクリスマスプレゼントでマフラーが三連チャンになったのか?の「結果」について、「そもそも」どうして?と自問自答していた当時のエピソードと、その後、平和的な解決ができたことについて書いてみました。

 あえてその問いかけを本人にはしておりませんが、想像でワタクシが答えてみるならば…

その新婚当時、4年ほど千葉県に住んでいて、通勤にも今より時間がかかり、毎晩帰りも遅く、朝も早く出かける生活で相当、夫は忙しかった頃のはず。本人も昨年何を渡したかを覚えていなかったみたいなのです。まぁ、生まれも育ちも雪国の寒がりな私にはマフラーは必要不可欠と思ったのかどうか…。ドキドキしながら何も言わずに3本のマフラーを受け取っていたのでした。

昨日のエッセイ塾の合評会では顧問の後藤先生から準後藤賞をいただきました。ありがとうございます。来年も引き続きエッセイを学びながら頑張って書いていこうと思います。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集