在郷軍人会や地区特設警備隊の機密文書を入手した件①
現在私の手元には長野県の北佐久郡に存在していた「帝国在郷軍人会 北佐久郡連合分会」の分会歴史、連合分会役員名簿、幹部名簿、書類綴などと「長野地区第二特設警備隊」の防衛召集待命者一覧表がある。
今回はこれらの文書について紹介していきたいと考えている。
入手までの経緯
私の趣味は戦時中の旧軍や民間に関する史料を収集する事である。
この趣味は軍服や勲章などを集める事から始まったのだが、次第に私は軍隊手帳や当時の文書などに関心を抱くようになった。
フリマサイトにて
ある日、私は某フリマサイトで軍隊手帳や当時の日記などを探していたが、めぼしい品は見当たらなかったので次にフォローしている出品者が何か出していないかと確認をした。
元々私はフリマサイトでは軍隊手帳を主に狙っていたが、過去に旧陸軍の船舶である「神州丸」の極秘文書が3000円で取引されていた事を知ってからは再度そのような出品が行われるかもしれないと考えていた。
そしてその日、フォロー中の出品者が新しく出品したモノの中にあったのが現在私の手元にある極秘文書である。
出品者が提示した値段は3000円であり、機密文書類が5冊でこの値段は安いのではと感じた私は即座に購入した。
長野地区第二特設警備隊 防衛召集待命者一覧表
地区特設警備隊
地区特設警備隊とは太平洋戦争末期に本土決戦を想定して編成された臨時部隊である。防衛召集を受けた予備役と国民兵役者を主な兵員としつつ、部隊幹部には現地の在郷軍人会幹部も充てられた。
戦争末期に編成された事から武器弾薬は十分ではなかった。
長野地区第二特設警備隊の部隊長は予備役の陸軍輜重兵少尉である山本和助が担当しているが、山本少尉は帝国在郷軍人会北佐久郡連合分会長も歴任した人物である。
長野地区第二特設警備隊
昭和20年5月10日付の部隊編成表によると長野地区第二特設警備隊は全てで20個小隊を指揮下に置いている。大隊本部は31名、第一中隊は101名であり各小隊は20〜30名で総兵力は540名である。
大隊本部と第一中隊は編成地域は混成であるが、その他の各小隊の編成地域はそれぞれ統一されている。
大隊規模の編成となっているが部隊の将校はわずか2名である。
前述した大隊長(予備役の輜重兵少尉)と第一中隊長(予備役の歩兵少尉)以外は下士官兵で構成されている。
各小隊長は伍長〜軍曹となっている。
本史料の内容の大半は部隊の編成表であり、表には編成地や所属部隊員の氏名、階級など様々な情報が記録されている。
その他にも部隊に関する史料が幾つか同封されていたので簡単に紹介する。
上の画像は防衛召集待命者一覧表に同封されていた「警備資料調査の件報告」という文書である。長野地区第二特設警備隊長が長野地区副官に宛てて昭和20年5月17日に製作した文書である。
本文書には長野地区に展開していた陸海軍部隊や軍需工場に関する情報が記載されている。
名称、所在地、所属機関、兵力、自衛火器の有無が記されている。
「軽井沢憲兵分隊」には将校1名、下士官兵39名の計40名が所属しており自衛火器として九九式小銃5丁と拳銃40丁が配備されている。
師第1950部隊(東部軍航空情報隊)防空監視所には下士官兵16名が勤務しており自衛火器は九九式小銃5丁。
東部第18952部隊(第4対空無線隊)には将校3名、下士官兵47名が所属しており九九式小銃20丁を自衛火器として保有している。
これほどの情報が分かる文書は中々出てこないのではないだろうか。