リバー、流れないでよ

ヨーロッパ企画さんによる映画『リバー、流れないでよ』を鑑賞しました。
京都の貴船が舞台で、2分間のタイムリープが繰り返し起こります。
SF好きとしてはもちろんタイムリープものは好きだし、京都に住んでいる私としては貴船が舞台であることでより一層期待が膨らんでいました!

2分間で進められるストーリー
最初の方は、「あ〜このカメラワーク好きなやつ!」とか「長回しで撮影大変そう〜」とか漠然とみていただけでしたが、リープを繰り返すうちにどんどんのめり込んじゃいました。
“繰り返される2分間=ワンシーン”となっていて、2分間でどんどんストーリーが進んでいくので、映像から目を離す暇がない…!
私の勝手な偏見ですが、タイムリープものって主人公だけがタイムリープして周りの人たちになかなか理解を得られず、そのせいで解決するのに苦労するっていうストーリーが多いと思うんです。
でも今作品は貴船のあるお店が中心となってタイムリープしています。映画に出てくる人たちみんなでタイムリープするし、起こってしまった出来事はタイムリープでなかったことになるけど記憶はタイムリープしないから残り続ける。
喧嘩の内容は次のタイムリープでも続くけど、障子に穴をあけたり飛び降りてみたり、銃で自分を撃ってみたりしたことは次のタイムロープではなかったことになってる。
新しい設定で、2分間だからテンポも良くて、記憶が残り続けることでみられる人間性も興味深かったり…
私も2分間のタイムリープに陥ったら何をするかなぁって思わず考えちゃいました。

移りゆく景色
京都の冬って風情がありますよね。今回の映画でも主要になる“リバー”を通して移りゆく京都の季節を楽しめることもこの映画の魅力だと思います。
雪が積もると鳥居の朱色とのコントラストが魅力的ですが、雪が積もっていなくてもさまざまな植物や苔、石畳や川の透明感など穏やかな色に包まれていて心が落ち着きますよね。
タイムリープ中もさまざまな天気に見舞われるのが不思議でしたが、それはそれで京都の良さが引き出されていて楽しむことができました。
大雪のなかの逃避行、純粋な景色と2人の高揚感最高でした。

時間が止まっちゃえばいいのに
人生の中で時間が止まっちゃえばいいのにって思ったことってたくさんあります。
小学生の時は1日、1時間、1分すら長く感じていたのに、大人になるにつれて時間が経つのが早すぎて、「ちょっとぐらい止まってくれよ〜」って。
テスト勉強が間に合わないからとか、楽しい時間を終わらせたくないからとか、これ以上しんどくなりたくないからとか、休みが終わってほしくないからとか、ポジティブな理由よりネガティブな理由であることが多いけど、取り戻すことができないものだからこそ願ってしまうのかな。
でも取り戻せないからこそ、一生懸命生きることが時間を・人生を進めていくことができる。
タイムリープもいいけど、進めることしかできない私たちの人生をどのようにして豊かにしていくべきなのか改めて考えさせられました。


さすがヨーロッパ企画さんと思った映画でした。
エンディングも最高だったので、ぜひ聴いてほしいです。

あれから時は流れたさ
君の知らない世界になったよ
でもね
僕は君とたくさん笑って
少しずつ大人になった

そうさ
準備はどうだい
旅立ちの朝は見送ってよ
何処までも遠く
また会う日まで元気でいてね
どんな話も笑って訊くから

夢なら覚めないままの
悲しい時代が来たと
誰もが思っていても
僕は君のために生きる

朝にはそこら中の
汚れた土をただ照らす
君が残した魂さえも
笑っているような
ここに生きている事が
懐かしい


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