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2025/01/12 最近読んだ本

 年末年始から最近にかけて読んだ本について。そもそもが去年から読書量増えていて、バロメーター観点では良い傾向。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』というタイトルに共感したりするぐらいなので。


漫才過剰考察(令和ロマン・髙比良くるま)

 くるまのM-1、2連覇前に出した、自身の出自~デビュー~M-1への想い(過剰考察)~粗品とのインタビューを含む本。
 くるまが持ち前の分析力でM-1をハックするがごとく、「攻略」をしている。その是非や分析は各所でされているので割愛。やっぱ流石だなという感想(お笑い芸人が書く本で、M-1の点数表が出てくるのはユニーク)。
 個人的に印象的だったのは冒頭に書かれていた、自分がなにをやっても中途半端な存在だったという「自己分析」。芸人になって以降もその想いが拭えず、それ故人生でやっと本気になれたM-1。なのにあっさり優勝してしまったので、もっかい出ますの流れに繋がっているのだなと腑に落ちた。

方舟(夕木春央)

 面白いミステリを求めて読んだ。「週刊文春ミステリーベスト10」2022国内部門1位は納得。綾辻幸人と有栖川有栖の良いとこ取りをしたような作品だなぁと。つまり「大トリックやどんでん返しのサプライズ」×「ロジック」の魅力ということ。年末に頭を空っぽにして読むには後者がちょっと重く感じたのは事実。が、大ネタ一発でひっくり返すのはもちろんだけど、伏線の張り方を含めて、有機的に絡み合っているのがすごいと思った。

万人のための哲学入門: この死を謳歌する(佐々木中)

 めっちゃ平易、そして短い(96ページ!)本気を出せばいくらでも学術的に語れて、いくらでもリファレンスを出せるのに、敢えてそれをしないことの意味。ちゃんと誰にでも伝わるように書きたかったんだろうなぁ。文章を書く人は誰でも一定意識することだろうけど、その覚悟や重みが違うと思った。尻切れトンボを感じなくもなかったけど、ある事柄をさして「遥か彼方で瞬いてくれる燈火」と結論付けるラストが美しかった。それが定めを生き抜くための1つのヒントであると。

「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認(佐々木チワワ)

 
 三現主義でキレッキレ。そういう人の仕事ほど信頼できるものはない。これ全盛期の宮台真司じゃんと思った。二人のYouTubeの対談を観て、親和性の高いなぁと思ったが、本を読んで納得。端的に言うなら、対象に愛がある人間が、綿密なフィールドワークを行って、島宇宙の外の人間に丁寧に説明している、本ということ。

アリアドネの声(井上真偽)

 エンタメとして抜群に面白かった。ゴリゴリの多重解決本格ミステリのイメージがある作者だったけど、こういうのも書けるのずるい。すまして顔で俯瞰的に書くなら、舞台設定の納得感、課題へ向き合う登場人物の因縁と配置の見事さ、次から次へと出てくる新たな困難、とエンタメに必要な要素、全部揃ってる。もうちょっと素朴に書くと、もうねー、読んでて「がんばれえええ」って応援しちゃう感じですよ。「主人公ステキ、絶対助けてくれえええ」ってなった。1日でグイグイ読めて休日がより良くなりました。

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