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生まれる前

1997年7月26日(土)
目が覚めて、17日のあの人に自分がなりつつあるのを感じた。顎の継ぎ目に来るのだ。顎がかくかく。
今日のあの人は、話す苦労がなかった。テレパシーで対話してたから。

わたしとあの人は、元々は一体だったが、生まれる前に分かれたのだった。
絶命しないで生まれる出るための策だ。破水したのに生まれることができなかったから。
あの人が脳性麻痺なのはそのためだった。
それを知って、わたしの胃は痛んだ。自分が薬をのみすぎたことが原因の方がよかった。
彼はわたしなんだから。
死なないために分裂し、彼が麻痺を引き受けた。だから、身体の世界では、わたしには問題がなかった。
しかし、元々ひとつだったものが分離したのでは、生きているとは言えなかった。
わたしたちは一致しなければいけないんだね?
でもどうやって・・・繰り返しわたしとあの人はつぶやいた。

なんとなく、いつの間にか一致したような気がした。
対極図みたい。対ではじめて正しく機能するようだ。

あの人は知っていた。わたしが思い出せないことも知っている。

彼はわたしの身体を得たので歩ける。
わたしは彼のこころを得たので、も少し踏み迷うことが少なくなるだろうか。

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