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住宅ローンは繰り上げ返済しません
先日のゼミで話題になった内容(住宅ローン返済は繰り上げるべきではない)をシュミレーションしてみました。
住宅を購入する際に住宅ローンを活用する方が多いと思います。
ローンを返済する立場としては、「なるべく早く返済してしまいたい!」という気持ちがあるでしょう。そんな方はとりあえず35年でローンを組みつつ、まとまったお金ができたら繰り上げ返済したい!と思うかもしれません。
しかし、ちょっと待ってください!私は繰り上げ返済はおすすめしません。
え、繰り上げてしまえば、借入期間も短くなり、利息も少なくなるのではないの?
その通りです!
しかし、繰り上げ返済できるだけのまとまったお金があるのであれば、投資に回すことをおすすめします。
まず、繰り上げ返済を行うとすると、
以下のようにシュミレーションしてみました。
借入金額 :4000万円
返済方式:元利均等
当初金利:0.5% (年利) 5年間 それ以降の金利 1% (年利)
返済期間 :35年 0ヶ月
借入年月 :2023年 1月
住宅ローン控除を活用することができる借入後13年間はローン残高を減らしてしまうと控除額が減ってしまいますので、住宅ローン控除期間が終了する13年後から、10年おきに繰り上げ返済します。
ここでは、計算をわかりやすくするために、
借入後
10年後に200万
20年後に200万
30年後に500万(退職金を想定)
に繰り上げ返済します。
結果は…
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はい、繰り上げ返済したほうが、利息分¥788,842削減することができました!
繰り上げ返済分を投資運用してみましょう!
次に、繰り上げ返済分を利率3%でローン返済終了の借入から35年後まで投資運用したとします。
10年後に200万円を25年間
20年後に200万円を15年間
30年後に500万円を5年間
それぞれ運用します。念のため、複利毎に20.315%が課税されることを条件に設定します。
すると…
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keisan生活や実務に役立つ計算サイト,カシオ計算機株式会社,2023 にてシュミレーション
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keisan生活や実務に役立つ計算サイト,カシオ計算機株式会社,2023 にてシュミレーション
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keisan生活や実務に役立つ計算サイト,カシオ計算機株式会社,2023 にてシュミレーション
それぞれ運用益は
10年後に200万円を25年間 →¥1,622,690
20年後に200万円を15年間 →¥856,483
30年後に500万円を5年間 →¥630,919
トータルで、¥3,110,092です。
繰り上げ返済した場合は、¥788,842削減できますが、その分を返済に充てずに運用することで、¥3,110,092の利益を生むことができました!
その差は、
¥3,110,092 ー ¥788,842 =¥2,321,250
おおよそ200万円得したことになります。
今回のシュミレーションでは、利率は年3%、運用益に対して20.315%が課税されるように計算しています。
過去の数十年の利率を見るとこれ以上の利率は期待できますし、2024年から恒久化される予定のNISA枠を活用すれば、この20.315%の課税もなくなりますし、まとまったお金になる前にコツコツと積み立てていけば、さらに有利になると考えられます。
複利は、雪だるま式で増えていきます。
繰り上げ返済によって、元金を崩してしまうと、雪だるまのもとになる雪玉が小さくなってしまうのです。
はやく借金を返済してしまいたい!という気持ちもあるかと思いますが、中長期的な目線で資産運用を考えてみてはいかがでしょうか?
参考:keisan生活や実務に役立つ計算サイト,カシオ計算機株式会社,2023