『シャークネード ラスト・チェーンソー 4DX』:2018、アメリカ
フィン・シェパードが来るまでタイムスリップすると、大人になったギルの姿は無かった。するとホログラムのギルが出現し、「一緒には行けない。エネルギーが不安定で、過去に戻れるのは1回。バッジがタイム・コンデンサーだ」と説明して消えた。
タイムスリップした先は、恐竜が暮らす先史時代だった。恐竜の群れがエイプリルの頭部を入れた袋を奪ったので、フィンは後を追った。するとノヴァが現れて恐竜を撃退し、フィンは袋を取り戻すことが出来た。
ノヴァだけでなくブライアンまで現れたため、フィンは「死んだはずだ」と驚いた。ノヴァは「ギルが軍団のメンバーを集めた」と言い、人間だった頃のエイプリルまでプテラノドンに乗って現れた。
彼女は「シャトルの落下直前にギルが救ってくれたの」と語り、ノヴァたちも別の場所でギルに助けられていたことを話す。3人は1年前から、フィンが来るのを待っていた。フィンは3人から、シャークネード1号を破壊すれば全て駆逐できるのだと聞かされた。
大量の隕石が上空から降り注ぐ中、シャークネード1号が発生した。フィンは隕石を利用しようと考え、全員でプテラノドンに乗って空を飛ぶ。エイプリルはプテラノドンに尻尾で隕石を打たせ、1号を攻撃する。
しかし威力が足りなかったため、フィンはサメに飛び移って複数の隕石を飲ませた。1号の中にはギルが一瞬だけ現れ、そして姿を消した。フィンたちが1号を破壊すると、タイムネードが出現した。フィンたちは迷うことなく、タイムネードに飛び込んだ。
フィンたちが時空を超えると、なぜかブライアンが女性に変身していた。そこは元の世界ではなく、魔女のモルガナが支配する場所だった。モルガナが捕まえようとするので、フィンは彼女と戦った。そこへウィンターという女が来て、モルガナに武器を捨てるよう要求した。
モルガナは苦々しい表情を浮かべ、その場を去った。ウィンターはフィンたちを、自身の主であるマーリンの城へ案内した。マーリンは科学者で、「この10年、ギルと訓練していた」と語った。
ウィンターは海へ出ているギルを呼びに行くが、そこへシャークネードが出現した。フィンたちがギルの元へ行こうとすると、モルガナが来て「仲間に入れてくれれば、魔法もサメを止める薬もある」と持ち掛けた。
彼女が「見返りに科学を使ってエクスカリバーを解き放つ」と言うと、マーリンは取引を承諾した。モルガナが魔法の矢をシャークネードに放つと、サメがドラゴン・シャークに変貌した。モルガナは立ち去り、ウィンターはフィンにキャメロット城を守るよう頼んだ。
ウィンターはプテラノドンの元へ行くが、ドラゴン・シャークに襲われて死亡した。フィンはエスクカリバーを引き抜き、シャークネードを消滅させた。フィンたちは投石器で飛ばしてもらい、マーリンとプテラノドンの力を借りて時空を超えた。
一行が到着したのはアメリカ独立戦争の時代で、ブライアンは元の姿に戻った。シャークネードが迫って来るのを目撃したフィンたちは、兵隊に捕まってベンジャミン・フランクリンの元へ連行された。兵士の1人がクラークだと知ったノヴァは、自分の先祖だと確信した。
フィンは総司令官のジョージ・ワシントンに会い、サメ退治に大砲を使わせてほしいと要請した。ジョージ・ハミルトンは「連行して撃ち殺せ」と言うが、ワシントンはフィンを信じることにした。フィンは稲妻を利用して砲弾に電気を帯びさせ、シャークネードを消滅させた。
ノヴァはクラークに祖父への手紙を託し、サメに襲われるのを防ごうとする。フィンは手紙を取り返して「運命に干渉するな」と注意するが、ノヴァは「また祖父と過ごせるなら何だってするわ」と反発した。
ブライアンはフィンに「もう疲れて無理だ。今後は歴史の中を生きる」と言い、この時代に留まることを選んだ。フィンたちは馬車に乗り、稲妻の力を利用して時空を超えた。移動したのは西部開拓時代のテキサスで、ロン保安官がビリー・ザ・キッドの一味と対決していた。
ビリーが逃亡したので、ロンは馬車から出て来たフィンを仲間だと誤解して事務所へ連行した。馬車に隠れていたエイプリルとノヴァは、銃を持った女性に見つかった。その女性がスカイだと気付き、エイプリルは驚いた。
ロンはフィンを牢屋に入れ、隣に収監していた男を絞首刑の場所へ連れて行く。事務所から連行される男の言葉を耳にしたフィンは、それがギルだと気付いた。スカイはフィンを救出し、サメのヘルメットを被った男に助けられたことを話す。
シャークネードが迫る中、ロンはギルを処刑しようとする。ノヴァがロープを切断してギルを救うと、スカイが彼の元へ走って「両親が待ってる」と教えた。ギルは馬に乗り、サメのヘルメットを被ってシャークネードに突っ込んだ。
エイプリルはロボットの生首から、「私を嵐に向けて」と言われる。エイプリルが指示に従うと、ロボットは目からレーザー光線を発射してシャークネードを消滅させた。ビリーはフィンに決闘を要求するが、サメに食われて死んだ。
フィンたちはスカイも加えて汽車に飛び乗り、時空を超えた。移動した先はサンタモニカのビーチで、バンド演奏に合わせて大勢の人々が踊っていた。シャークネードの発生を目にしたフィンたちは、急いで避難を呼び掛けた。
フィンはギリーとレイというカップルが未来の武器でシャークネードを攻撃するのを見て、若い頃の両親だと気付いた。サーフボードで海に出たのがギルだと知り、フィンは彼が時空を超える気だと悟った。
試作品のコンデンサーを発見したフィンたちは、シャークネードがサンタモニカで発生した2013年7月11日が次の目的地だと知る。フィンたちはギルの残した特殊武器を使い、シャークネードを消滅させた。彼らはギリーとレイにスポーツカーを借り、時空を超えた。
フィンたちが到着した場所は2013年のサンタモニカではなく『タイタニック』が公開されている1997年のサンフランシスコだった。ノヴァはフィンから、「何をした?」と問い詰められた。
ノヴァは「貴方は何様?祖父への手紙を阻止し、ブライアンを置き去りにした。それで自分は親と会う?もう私のことに口出ししないで」と、フィンを批判する。彼女は「私も家族も守るわ」と言い、祖父のチャーター船へ向かう。フィンたちも心配して後を追い、船に乗り込んだ。
ノヴァはフィンから「この行動の意味を考えたか?」と問われ、「貴方の家族の話なら、私を止めなかったはずよ」と反発する。フィンは「君は分かってないな。俺は息子の成長も見てない。成功すれば全てリセットされ、ギルは消える。存在しない者として、俺の心からも消える。君も言っていたが、どうにもならないんだ」と、ノヴァを諭した。
しかしノヴァは、まるで納得しなかった。彼女は祖父をサメの群れから救おうとするが、勝手に舵を切ったせいで船は座礁してしまう。ノヴァはサメに襲われ、救おうとしたエイプリルも海に沈んだ…。
監督はアンソニー・C・フェランテ、キャラクター創作はサンダー・レヴィン、脚本はスコッティー・ミューレン、製作はデヴィッド・マイケル・ラット、製作総指揮はポール・ベイルズ&デヴィッド・リマゥイー&アイアン・ジーリング、共同製作はデヴィッド・L・ガーバー、製作協力はジョシュ・ヴァン・フート&ジャスティン・スミス、共同製作総指揮はタラ・リード、撮影はパートル・パウネスク、美術はダン・ブラシウ、編集はライアン・ミッチェル、衣装はオアナ・ドラギチ、視覚効果監修はグレン・キャンベル、音楽はクリス・ライデンハウア&クリストファー・カノ。
出演はアイアン・ジーリング、タラ・リード、カサンドラ・スケルボ、ヴィヴィカ・A・フォックス、ジュダ・フリードランダー、ボー・デレク、ゲイリー・ビジー、チャック・ヒッティンガー、ライアン・ニューマン、マーク・マクグラス、マシエラ・ルーシャ、アル・ローカー、イスラエル・サエス・ミゲル、マーカス・チョイ、クリストファー・ナイト、ラトーヤ・ジャクソン、ディラン・マクダーモット、ギルバート・ゴットフリード、トーリ・スペリング、マリーナ・サーティス、デクスター・ホーランド、ディー・スナイダー、バーニー・コペル他。
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シリーズ第6作にして最終作。ソフト化の際には『シャークネード6 ラスト・チェーンソー』という邦題に変更された。監督は1作目から全てアンソニー・C・フェランテが手掛けている。脚本は前作に続いてスコッティー・ミューレンが担当。
フィン役のアイアン・ジーリングとエイプリル役のタラ・リードは、全作に出演。ノヴァ役のカサンドラ・スケルボは、1&3&5作目に続いての登場。スカイ役のヴィヴィカ・A・フォックス、ブライアン役のジュダ・フリードランダーは、2作目からの復帰となる。
マット役のチャック・ヒッティンガーは、1作目以来の復帰。クラウディア役のライアン・ニューマンは、3&4作目に続いての登場。メイ役のボー・デレクは3作目、ウィルフォード役のゲイリー・ビジーは4作目以来の復帰。
マーク役のマーク・マクグラスは2&3作目、ジェム役のマシエラ・ルーシャは4&5作目に続いての登場。お天気キャスターのアル・ローカーは、2作目以降に全て本人役で登場。サンティアゴ役のイスラエル・サエス・ミゲルとパーマー役のマーカス・チョイは、1作目以来の登場となる。
前作のラストでは、大人になったギルとしてドルフ・ラングレンが登場していた。しかし分かっていたことだが、そのままドルフがフィンの道連れとして参加することは無い。それどころか、今回は1カットも姿を見せない。
その代わりってわけではないが、始まって早々にノヴァ、そしてブライアンが登場する。ノヴァに関しては前作にも出演していたし、もう4作目の参加なので素直に歓迎できる。しかし、ブライアンに関しては、覚えていない人も少なくないんじゃないか。
今回はシリーズ完結編ってことで、これまでに登場した「フィンのファミリー」が復活するってのが1つのセールス・ポイントになっている。残念ながらデヴィッド・ホッセルホフ(父のギルバート役)やカリ・ウーラー(妹のエレン)たちは参加していないけど、前述した面々がズラリと顔を見せている。
そんな中でブライアンは序盤から登場して「フィンの仲間」として大きく扱われているけど、ここは別のキャラの方がいいなあ。ブライアンって、そこまでのキャラでもないでしょ。
先史時代にタイムスリップしたフィンは、エイプリルたちから「シャークネード1号を破壊すれば全てのシャークネードを駆逐できる」と説明される。どういう理屈なのかは、全く分からない。ブライアンが「ドミノと同じだ。1つ目を倒せば全て倒れる」と言うが、何の説明にもなっていない。
でも、このシリーズにマトモに理屈なんて通用しない。6作目にもなって、そこを求めるのは御門違いも甚だしい。なので、タイムネードが出現した時にフィンが全く動じず「時空を超えるぞ」と言っている理屈も良く分からないけど、そこは気にしちゃいけない。全ては「何だか良く分からんけど、まあいいか」という気持ちで受け入れなきゃいけない。
もはやシャークネードはタイムマシンとしての意味合いが強くなっており、サメや竜巻の脅威ってのは二の次になっている。どうせ何度襲って来ても、戦闘は同じことの繰り返しになっちゃうしね。時代や場所が違っても、そんなに変化は付けられないしね。
1997年のシーンでは、もはやシャークネードが登場しない。それでもサメの群れが出てくるだけマシで、続く20013年のシーンではサメすらも出て来ない。そしてサイボーグ軍団を率いるエイプリルとの戦いが描かれる。
ちなみに20013年のシーンでは、『デッドプール』でシリーズをネタにされたことを受けてなのか、サイボーグ軍団のアジトへ連行されたフィンが「デッドプールか」と口にしている。ただ、何がどうデッドプールなのかはサッパリ分からない。
で、そこからシリーズ第1作の時代に飛んでタイムネードが発生すると、サメと一体化した生首状態のエイプリルが、ロボシャークと合体した悪のエイプリルと戦う展開が待っている。「お前は何をワケの分からんことを言っているんだ」と思うかもしれないが、ホントにそういう展開なのだ。
このシリーズは多くの著名人がゲスト出演するのが恒例となっているが、今回は「フィンのファミリーを再登場させる」という部分に力を入れたのか、今までよりはバリエーション豊かなゲストのメンツが少ないように感じる。とは言え、もちろん今回も多くのゲストが参加している。まずキャメロット城の時代にモルガナを演じているのは、ドラッグ・パフォーマーのアラスカ・サンダーファック。マーリン役は、天体物理学者のニール・ドグラース・タイソン。
このシリーズは、俳優だけでなく様々なジャンルからゲストを呼んでいるのが特徴だ。これまでも、実業家や政治家など芸能の世界とは関係の無い分野からも色んな人が出演していた。もちろん普通に俳優やコメディアンも出演しており、ウィンターを演じたのはTVドラマ『新スター・トレック』のマリーナ・サーティスだ。
独立戦争の時代では、ワシントン役でコメディアンのダレル・ハモンド、ハミルトン役でマルチタレントのベン・スタインが出演。そして英国軍の隊長を演じているのは、パンクバンド「オフスプリング」のデクスター・ホーランドだ。西部開拓時代のシーンでは、ロン役でロックバンド「トゥイステッド・シスター」のディー・スナイダーが出演。
30歳のギルを演じているのは、『アメリカン・パイ』のクリス・オーウェン。1950年のシーではランド・マクドナルドというリポーターが登場するが、演じているのはギルバート・ゴットフリード。前作にロン・マクドナルドというリポーター役で出演しており、「実はロンの先祖がランド」という裏設定がある。
レイを演じているのは、TVドラマ『ビバリーヒルズ青春白書』のトーリ・スペリング。そしてギリーを演じているのは、TVドラマ『ザ・プラクティス/ボストン弁護士ファイル』のディラン・マクダーモット。
過去シリーズでレイを演じたシェリル・ティーグスとギリーを演じたデヴィッド・ホッセルホフは再登場しないが、「若い頃の2人」という形でフィンの両親を登場させているわけだ。また、ビーチに2人の子供を連れた母親がいるのだが、この3人はアイアン・ジーリングの妻と子供たちだ。
1997年のシーンでは、ノヴァの祖父役でTVドラマ『ゆかいなブレディ家』のクリストファー・ナイトが登場。若い頃のノヴァを演じているのは、カサンドラ・スケルボの娘であるカタリーナ。チャーター船の船長役は、TVドラマ『ラブ・ボート』のバーニー・コペル。もちろん「ボート」に掛けての起用だ。
タイムネードのシーンでは、クレオパトラ役で歌手のラトーヤ・ジャクソン、孔子役で『地獄のヒーロー』『ゴースト・ハンターズ』のジェームズ・ホン、マリー・アントワネット役で『スプラッター・ナイト/血塗られた女子寮』のアイリーン・デヴィッドソン。モハメド・アリ役でプロレスラーのシャド・ガスパード、ジョー・ルイス役でプロレスラーのジェイソン・ポール、ジュリアス・シーザー役でTVドラマ『犯罪捜査官ネイビーファイル』のパトリック・ラビオートゥーが登場する。
前述したように、今回はファミリーの再登場が大きなセールスポイントになっている。粗筋で触れたように、ノヴァ、ブライアン、そしてエイプリルの3人は、先史時代に登場。西部開拓時代のシーンで、スカイが登場する。
その後は誰も復活しないまま時代が過ぎていくが、20013年のシーンではマット役のチャック・ヒッティンガーとクラウディア役のライアン・ニューマンがサイボーグの状態で登場する。マットは4&5作目でコディー・コンリーが演じていたが、今回はオリジナルキャストを復活させたわけだ。
最後のバーのシーンでは、メイ役のボー・デレク、ウィルフォード役のゲイリー・ビジー、マーク役のマーク・マクグラス、ジェム役のマシエラ・ルーシャが登場する。さらに1作目のアーカイヴ映像ではあるが、フィンの店の常連客であるジョージ役のジョン・ハードも姿を見せている。
時空の再起動でシャークネードが発生しなくなった代わりにギルも消滅したが、フィンは幸せな夫婦生活を送っており、エイプリルは妊娠中。もちろん、産まれてくる子供の名前はギルと決めている。そして本編が終了すると、普通に見ていたら絶対に判読できない超高速のエンドロールが流れてシリーズは完結する。
(観賞日:2019年8月21日)