フルカワ モグラ

ポンコツ映画専門サイト『映画無段』の管理人。 そちらでは漢字表記の「古川土竜」で活動中。

フルカワ モグラ

ポンコツ映画専門サイト『映画無段』の管理人。 そちらでは漢字表記の「古川土竜」で活動中。

マガジン

  • 映画無段・裏門

    10000本を超える映画鑑賞記録を付けてきたフルカワ モグラが、その中から名作・傑作・佳作をピックアップ。

  • ハリウッドも認めた異能の映画人・佐野雷次 (note改訂版)

    佐野雷次は1960年代から1980年代に掛けて活躍し、主にアクション映画やホラー映画を手掛けた監督・俳優である。雷次はアメリカにも進出して地位を築き、2009年に発表された映画雑誌のジャンル別トップ100には彼の監督作品が3本も入っている。彼の映画は、クエンティン・タランティーノやロバート・ロドリゲスといった監督たちにも大きな影響を与えている。 なお、これは2012年に執筆した『異能の映画人 佐野雷次 ~ハリウッドも認めた娯楽映画の奇才~』のnote改訂版である。

最近の記事

『アイダよ、何処へ?』:2020、ボスニア・ヘルツェゴビナ

 1995年7月、ボスニアのスレブレニツァ。市長がオランダ大隊のカレマンス大佐とフランケン少佐と会議で対面する際、元教師のアイダは通訳として同席した。  フランケンが「手は尽くしてる。午前6時に撤退しない場合、NATOが彼らの拠点を空爆する」と説明すると、市長は「国連はいつもそれだ。スルプスカ共和国軍に攻撃された時も、2日前に街が包囲された時も同じ」と厳しく批判し、NATOが侵攻は無いと言っていたことを指摘した。  カレマンスは戦闘機が待機中だと言い、住民は避難しなくても大

    • 『ロゼッタ』:1999、ベルギー&フランス

       ロゼッタは勤務する工場で急に解雇を通告され、同僚に「告げ口したのね」と詰め寄った。工場長が「遅刻が理由じゃない」と止めに入ると、彼女は理由を教えるよう要求する。工場長が「仮採用の終了だ」と告げると、ロゼッタは「なぜ私だけと抗議する。  工場長が事務的に「契約終了だ。着替えて事務所に」と指示すると、彼女は拒否する。工場長が連れて行こうとすると、ロゼッタは激しく抵抗した。彼女はトイレの個室に飛び込んで「ちゃんと仕事したのに」と喚くが、警備員に捕まって追い出された。  ロゼッタ

      • 『ノマドランド』:2021、アメリカ

         2011年1月31日、USジプサム社は業績が悪化し、ネバダ州の石膏採掘所は閉鎖された。企業城下町のエンパイアも閉鎖され、郵便番号も抹消された。ファーンはエンパイアを去り、RV車で寝泊まりする生活を始めた。彼女はデザート・ローズに到着し、RVパークに車を停めた。  ファーンはアマゾンの倉庫で働いており、以前からの仲間であるリンダ・メイが新しい面々を紹介した。ファーンはRVパークでリンダ・メイと話し、自分の車について説明した。  ホームセンターへ買い物に出掛けたファーンは、知

        • 『秘密の花園』:1993、アメリカ

           イギリス人のメアリー・レノックスは、インドで生まれ育った。両親は子供嫌いで、乳母のアーヤが彼女の面倒を見た。母はパーティーに夢中で、軍人の父は多忙だった。メアリーは悔しくても泣き方を知らず、いつも母の部屋からパーティーを覗いていた。  ある夜、メアリーは母の部屋に入り、象の置物を触っていた。母が来たので、彼女はテーブルの下に隠れた。しかし母は娘に全く関心を示さず、パーティーに戻った。直後にインド大地震が発生し、屋敷では火災が発生した。  6ヶ月後、両親をメアリーは他の孤児

        マガジン

        • 映画無段・裏門
          236本
        • ハリウッドも認めた異能の映画人・佐野雷次 (note改訂版)
          28本

        記事

          『ビルド・ア・ガール』:2019、イギリス

           1993年、イングランドのウルヴァーハンプトン。16歳のジョアンナ・モリガンは、エンヴィル中学校に通っている。彼女は図書館の本を全て読んだが、自分のような子の話は見つからなかった。ヒロインには人生が変わる瞬間があるが、ジョアンナには未だに訪れていない。  新しい冒険は大抵の場合、謎の男の登場で始まる。しかしジョアンナは周囲を見回し、この町で見つけるのは難しいと確信した。彼女は男に頼らず、自分で冒険を始めようと決心した。  ジョアンナは最高の作家になり、世界を旅しながら男と

          『ビルド・ア・ガール』:2019、イギリス

          『映画大好きポンポさん』:2021、日本

           ニャリウッドのペーターゼンフィルムでは、若手女優のミスティアが主演する夏の映画をコルベット監督が撮影していた。それは水着姿のミスティアが、巨大ダコと戦う内容だった。制作アシスタントのジーンは勉強のため、現場を見学して気になることをノートに書き留めた。  プロデューサーのポンポさんは、分かりやすいB級映画ばかりを手掛けていた。ジーンが「B級映画が好きなんですか?」と尋ねると、彼女は「いいや、別にこだわってないよ」と否定した。  ポンポさんはジーンに、「今回は夏映画だし、海と

          『映画大好きポンポさん』:2021、日本

          『旅立ちの時』:1988、アメリカ

           少年野球に参加していた17歳のダニー・ポープは、試合が終わると自転車で球場を後にした。2台の車が尾行していることに気付いた彼は、自宅とは別の家の前で自転車を停めた。彼は自転車を捨てて草むらを走り、愛犬のジョモを使者にして自宅にいる弟のハリーを呼び出す。彼はハリーを連れて、その場から逃亡した。  アーサーは核ゴミを埋める計画に反対する市民勉強会に参加し、妻のアニーが待つ車に戻る。彼はアニーに、「ロビー活動はジョンとポーラに任せる」と語った。  車で出発しようとしたアーサーと

          『旅立ちの時』:1988、アメリカ

          『昼顔』:1967、フランス&イタリア

           セヴリーヌはピエールと馬車で森の小道を移動している最中、「君を愛してる」と言われる。セヴリーヌは「私もよ」と喜んで告げるが、「不感症が治れば完璧だ」という言葉で不機嫌になった。するとピエールは御者たちに手伝わせ、セヴリーヌを強引に馬車から降ろした。  彼はセヴリーヌの両手をロープで縛り、木に吊るした。ピエールは御者たちに鞭でセヴリーヌの背中を打たせ、「好きにしろ」と命じた。御者の1人が愛撫を始めると、セヴリーヌは快感を覚えた。それは全て、セヴリーヌが見ている夢だった。  

          『昼顔』:1967、フランス&イタリア

          『大人は判ってくれない』:1959、フランス

           12歳のアントワーヌ・ドワネルはテストの最中にクラスメイトからピンナップが回って来たので、落書きを始めた。教師が見つけて叱責し、罰として立っているよう命じた。テストが終わって休み時間になっても、教師は立ち続けるようアントワーヌに命じた。  アントワーヌは不当な罪だと訴える文章を壁に落書きし、また教師の叱責を受けて罰を与えられた。下校時、彼は親友であるルネの前で、教師への憤懣を吐露して「兵役に行く前にぶん殴ってやる」と宣言した。  帰宅したアントワーヌは、母のジルベルトから

          『大人は判ってくれない』:1959、フランス

          『ある画家の数奇な運命』:2018、ドイツ

           1937年、ドレスデン。6歳のクルト・バーナートは若い叔母のエリザベト・マイに連れられ、退廃芸術展が催されている美術館を訪れた。ガイドを務めた男は、モダンアートを厳しく糾弾した。クルトとエリザベトはバスに乗り、ドレスデンを離れてマイ家へ向かった。  クルトの父であるヨハンはナチ党員になることを拒否し、教師の仕事も家も失っていた。エリザベトはドイツ女子同盟の代表として、アドルフ・ヒトラーに花束を渡す役目を命じられた。彼女は花束を渡してヒトラーを見送り、興奮する仲間たちに取り囲

          『ある画家の数奇な運命』:2018、ドイツ

          『ハッピー・デス・デイ 2U』:2019、アメリカ

           車で目を覚ましたライアンが大学の寮に行くと、ルームメイトのカーターがツリーとキスしていた。カーターに追い払われたライアンは、理学部の仲間であるドレーとサマーから電話で量子力学研究室に呼び出された。ライアンが研究室に行くと、ドレーたちは昨日の深夜に強力なエネルギーが観測されたことを教えた。  そこへ学部長が来ると、ドレーとサマーは逃げるように去った。学部長は卒論用にライアンたちが作った装置について、「停電を4回も起こし、大学中の電球を割った」と激怒していた。彼は研究の中止を通

          『ハッピー・デス・デイ 2U』:2019、アメリカ

          『ハッピー・デス・デイ』:2017、アメリカ

           9月18日。ベイフィールド大学の学生寮で暮らすツリー・ゲルブマンは、男子寮の部屋で目を覚ました。彼女は前夜のパーティーで悪酔いし、名前も知らない男子学生の部屋に上がり込んでいたのだ。ツリーは住人のカーター・デイヴィスから頭痛薬を貰い、冷たい態度で去る。  彼女が校内を歩いていると、1度だけデートしたティム・バウアーが声を掛けて来た。「メールを返してよ」とティムが告げるとツリーは「返す必要が無い」と言い放ち、罵って去った。  ツリーが女子寮に戻ると、玄関前にいた学生のエミリ

          『ハッピー・デス・デイ』:2017、アメリカ

          『リズと青い鳥』:2018、日本

           湖畔の森で動物たちと暮らす少女のリズは、青い鳥を見つけた。その美しさに目を奪われたリズは、「まるで空を写した湖のよう」と口にした。青い鳥はリズの掌に乗った後、湖に向かって飛び立った。学校に着いた鎧塚みぞれは、少し迷ってから校門の前の階段に座り込んだ。  傘木希美か歩いて来ると、彼女は立ち上がった。みぞれが並んで歩き始めると、希美は青い鳥の羽を見つけて「綺麗」と漏らす。彼女が「あげるよ」と差し出すと、みぞれは薄い反応だったが「「ありがとう」と受け取った。  部室に入ったみぞ

          『リズと青い鳥』:2018、日本

          『過去のない男』:2002、フィンランド

           列車を降りて駅を出た男は、夜の公園でベンチに座った。眠り込んでいた男は3人組の暴漢に襲撃され、金や荷物を奪われた。翌朝、男は駅のトイレに入り、そこで倒れ込んだ。男は病院に搬送されるが、医師は「植物状態になるぐらいなら死なせてやろう」と脈拍を止めた。  しかし男は生きており、病院を抜け出した。男が岸辺で倒れていると、老人が靴を取り替えて去った。近くのコンテナで暮らす兄弟は男を発見し、母のカイザに知らせた。  カイザは男をコンテナに連れ帰り、介抱して食事を与えた。カイザは夫の

          『過去のない男』:2002、フィンランド

          『かくも長き不在』:1961、フランス

           パリ祭の日。テレーズが営むアルベール・ラングロワのカフェは、常連客のフェルナン、ファヴィエたちで賑わっている。テレーズは店員のマルティーヌと2人で、明るく仕事をしている。  恋人のピエールからバカンスの予定を訊かれたテレーズは、故郷のショーリュへ行く予定を話す。ピエールが「地元のバンヌから近い。一緒に行こう」と誘うと、彼女は「いいけど、長くても1週間よ。いつも1日か2日で飽きて、この店が懐かしくなる」と告げた。  バカンスに入って住民は次々に町を去り、カフェの客も少なくな

          『かくも長き不在』:1961、フランス

          『アンネの日記』:1959、アメリカ

           オットー・フランクはアムステルダムを訪れ、以前に隠れ住んでいた建物を訪れた。そこへ旧知のクラーレルとミープが来て、「無事で良かった」と告げる。ミープが自分の家で休むよう勧めると、オットーは「アムステルダムにはいられない。思い出が多すぎる」と断った。  彼が「アンネにノートを探すよう約束した」と言うと、ミープは「日記なら元の場所に」と教える。オットーはミープからアンネの日記を受け取り、ページを開いて読み始めた。  3年前の1942年、ユダヤ人のアンネ・フランクはナチスから逃

          『アンネの日記』:1959、アメリカ