《八. 峰岸徹を走らせろ 》
田宮の解雇で会社の屋台骨が傾く中、永田は経営立て直しの戦略として、一人の若手俳優を売り出すことにした。
峰岸隆之介、後の峰岸徹である。
峰岸は六本木野獣会(六本木で遊んでいた若者たちのグループ。田辺靖雄や加賀まりこ、井上順など、多くのメンバーが後に芸能界入りする)に所属していた1961年に東宝からスカウトされ、翌年には峰健二の芸名で映画デビューしている。
東宝で数本の映画に出演した後、峰岸は俳優座養成所に入り、そこから文学座の研究生となった。1968年に入り、大映が