うつ病,家庭菜園,花壇,癒し
植物に触れたり花の香りをかぐだけで心が癒された経験はありませんか?
現代社会は心身に影響を与えるストレスに満ちています。
園芸療法は森林浴やアロマセラピーなどと同じく、植物や花の「癒やし」の効果によってストレスの緩和を図り、心身の健康回復を図ろうとするものです。
日本では、明治時代以降、精神疾患、結核、知的障がいなどの人々に対して農耕・園芸が用いられてきました。
園芸療法の目的
現在、園芸療法は知的障害、精神障害、身体障害をもっている方、加齢により日常生活に困難を来たしている方、更正を必要としている方、薬物依存などで社会生活に支障を来たしている方などを対象に、施設・病院・在宅で取り入れられています。
植物を育てることによって以下6つの項目のように身体、精神、知能、社会的に良い効果をもたらしたり、損なわれた機能を回復することを目的として行われています。
・生きがいづくり(収穫の楽しみ、将来を期待)
・運動不足の解消、筋力低下の予防
家庭菜園でしゃがんだりプランターを運んだりする動作は、普通~少し速歩き(毎分60~80m)のウォーキングと同じくらいの運動量になるそうです。
・外出機会の獲得
・社会性の維持(人間関係の改善、責任感)
・生活能力の維持(料理、販売)
・落ち着きや意欲向上など精神面の効果
園芸療法の効果
園芸療法は、さまざまな良い効果を期待することができます。
植物とともにゆったりとした時間で動く心地よさやリラックス感、役割を持つことの意味を感じていただき毎日の生活を充実したものにしていきます。
主な7つの効果
・世話をした植物の成長や収穫を楽しむことができる。
・水やりや間引きをするなどの役割活動ができる。
・植物の成長度合いや水やりの時間などを把握する機会ができる。
・植物を育てることで不安やうつ症状を和らげることができる。
・主体的に声をかけるなど、他者との関わりが増える。
・スコップなどの道具の使用や収穫した野菜で調理など日常生活動作をする機会ができる。
・植物の成長や気温といった季節感が目覚める。
・他にも植物の成長を見に行くという行動目的ができる事で、歩行の機会を増やす事ができます。
・適度な運動が習慣づく事によって、新陳代謝が高まり、快眠導入をもたらします。
・また、屋外で植物を育て、さらに育てた野菜を食べることによって、視覚・触覚・嗅覚・聴覚・味覚すべてがフルに刺激されるので、五感をリフレッシュさせることができます。
・視覚:風にそよぐ様子、四季の変化を目で感じ取る
・聴覚:鳥のさえずりや虫の鳴き声、こすれる葉音
・嗅覚:植物が発する香り
・味覚:ハーブティ、収穫物の味
・触覚:土の感触、水の冷たさ
ガーデニングによって得られるメリット
ガーデニングは、基本的には自宅でひとりでできること。
ですから、マイペースに作業を進められますし、わざわざどこかに出かける必要もありません。
育てる植物は好きなものを選べますし、庭を自分好みにデザインできるのも魅力のひとつです。
このようにガーデニングは自由度が高く、植物との時間を好きなように楽しみながら、気持ちをリフレッシュできる趣味です。
ここからはそんな時間を過ごすことによって得られる、ガーデニングならではのメリットをご紹介しましょう。
日光を浴びて運動できる
ガーデニングは多くの場合、屋外やベランダなど日の当たる場所で行います。
適度に日光を浴びることは、健康を保つのに大切なこと。体内でビタミンDの生成が促され、骨を丈夫にするのに役立ちます。
骨粗しょう症などの予防にもなるでしょう。
また、ガーデニングはいい運動になるのもポイント。
しゃがんだり立ち上がったり、重い荷物を運ぶこともあります。
また、水を撒く、雑草を抜くなど、何かしら毎日作業をすることになるので、自然と運動を継続できます。
楽しみながら適度な運動ができ、健康的な生活を送れるでしょう。
紫外線対策は万全に
ほどよい日光浴は健康維持に効果的ですが、強い紫外線にさらされ続けると、肌や目にダメージを受けることはよく知られています。
長時間屋外で作業する際は、肌の露出は控え、日焼け止めクリームや帽子、手袋、サングラスなどを使いましょう。
また、熱中症にもならないよう、水分はこまめに摂ってください。
植物を育てることで得られる充実感
水やりや除草、植え替え、間引き、剪定など、日々さまざまなお世話をすることによって、植物は大きく生長します。
蒔いた種から芽が出たり、茎がどんどん伸びて蕾ができたりすると嬉しいものです。
また、日に日に変化していく植物の姿からは、たくましさも感じられるかもしれません。
自分がやったことの成果が出て、植物が立派に育つと、充実感を味わえるでしょう。
さらに、花が咲いたり実がついたりしたときには、大きな達成感も味わえます。
ガーデニングは、心に栄養を与えてくれる趣味だといえるのではないでしょうか。
気持ちの変化
植物を育てることで生活にハリが出て、自分自身も健康でいようと考え始める方は多いそうです。
ガーデニングは一層きちんとした暮らしをするきっかけにもなるのですね。
没頭する時間が持てる
普段忙しく日々を過ごしていたり、緊張する場面や気遣いが必要なことが多かったりすると、気疲れしてしまいますよね。
そのような方にとって、余計なことを考えずに植物の世話ができる穏やかな時間は貴重です。
ひとりでガーデニングをしているときは誰にも気を遣う必要がなく、作業だけに集中できます。
日々の煩わしいことやストレスから解放され、リラックスし気分を切り替えたいときにも、ガーデニングはぴったりです。
また、季節に合わせて水やりの仕方や肥料を変えたり、データや状況を考えて育て方を微調整したりと、頭を使うことも多くあります。
普段の生活とは違うことに没頭し、新しいことに挑戦したり、工夫したりするのも楽しいものです。
体を動かしていなくても楽しめる
実際に作業をしているときだけでなく、「次の週末はどんな作業をしようか」と考えるだけでも楽しいものです。
ガーデニングに必要な用具や苗などの買い物をしているときも、気持ちをリフレッシュできます。
五感が刺激される
花や葉、芽、土などの色(視覚)や香り(嗅覚)は心を癒し、リラックスさせる効果があるといわれています。
さらに、植物は日々変化しますし、天候や光の当たり方によって見え方も変わります。
毎日観察していると、いつしか小さな違いにも気づけるようになり、感性が豊かになるのではないでしょうか。
ほかにも、屋外にいることで、鳥のさえずりや風の音、葉が擦れ合う音などを自然と耳にすることができ、聴覚が刺激されます。
また、土を触る(触覚)とメンタルヘルスにいい影響があるという土を触る(触覚)とメンタルヘルスにいい影響があるというデータも発表されています。
そして、育てたハーブを使って料理をしたり、収穫した野菜や果物を食べたりすること(味覚)も、心を豊かにしてくれますよね。
ガーデニングは五感を優しく刺激し、癒しをもたらすのです。
脳にもいい影響を与える
鈍くなった五感が刺激され、本来の感覚が戻ってくると、脳の疲れもとれるそうです。
情報を詰め込みすぎた脳をほぐすのにも役立ちそうですね。
環境に優しい
夏になると、ゴーヤやアサガオなどのグリーンカーテンをよく目にしますね。
グリーンカーテンは窓から入る日光を適度に遮断するため、室温を下げる効果があります。
その結果、空調設備にかかる電気代を減らすことができ、エコにつながります。
また、野菜を自分で育てると庭から直接収穫できますが、これも立派なエコ。
スーパーなどで購入するのと違って、生産地からの輸送によって排出されるガスをカットすることになります。
ガーデニングは新鮮な野菜を味わえる上、環境にも優しいのです。
花を育てる効果
花を育てて命と向き合う
花やハーブなどの植物を育てることは癒し効果があります。
植物に直接触れて、その感触を味わうことがリラックスにつながります。
また、土の中に生息する微生物には、ストレスを軽減して心の調子を整える効果があるとされています。
自然の生命力を感じながら、心身の疲れを癒しましょう。
花やハーブなどの植物を育てることにも癒し効果があります。
植物に直接触れて、その感触を味わうことがリラックスにつながります。
また、土の中に生息する微生物には、ストレスを軽減して心の調子を整える効果があるとされています。
自然の生命力を感じながら、心身の疲れを癒しましょう。
花のある部屋では、ストレスが緩和し、リラックスできるというデータもあります。
最新の研究データでは、花のある部屋と花のない部屋にいる人の神経活動を比較すると、花のある部屋で過ごす人は、ストレス時に高まる交感神経の活動が25%抑えられます。
一方、リラックス時に高まる副交感神経の活動が29%高まることがわかっており、花の癒し効果が医学的にも証明されています。
また、花の香りにはリラックス効果や鎮静効果があり、オフィスに花や緑を置くだけで、労働効率が上がったり、ストレスが軽減しまづ。
さらに、緑を眺めるだけで、眼精疲労の回復を助けるといった働きも期待できます。
花の色がもたらす効果を知っておこう
先ほどご紹介した中で、特に「花を飾る」という方法では、花の色も重要ポイントの一つになります。色によって、異なる効果が期待できるからです。
ここでは、それぞれの色の花から得られる効果や、おすすめのシチュエーションをご紹介します。状況に適した色の花をセレクトしてみましょう。
赤い花:バラ・カーネーションなど
赤色には、交感神経を刺激し、血行をよくする効果があります。
やる気を出したいときやパワーがほしいときなど、「攻め」の姿勢で物事に取り組みたいときには、赤い花を飾ってみましょう。
また、心身の強壮作用があるため、なんとなく気分が沈んでしまうときにもおすすめです。
黄色い花:ヒマワリ・水仙など
黄色には、脳を刺激して集中力をアップさせる働きがあります。
頭をすっきりクリアにしたいときには、黄色い花がおすすめです。
さらに黄色には、消化吸収や新陳代謝の働きを高める効果もあります。
食欲が湧かないとき、どんよりとした停滞感があるときにも、黄色い花を活用してみましょう。
青い花:デルフィニウム・アジサイなど
青色は、赤色と対照的に、副交感神経を刺激する効果があります。
したがって青い花を見ると、心身ともにリラックスすることができるのです。
穏やかに過ごしたいときには、青い花を飾るとよいでしょう。
良質な眠りに導いてくれる効果もあるので、神経が昂ぶって眠れない日が続くときには、寝室に青い花を飾ってみましょう。
紫の花:ラベンダー・スターチスなど
紫という色には、直観力や創造力を高め、芸術的センスを引き出す力があります。
ひらめきや洞察力を得たいときには、紫色の花を飾るのがおすすめです。
また紫色は、心身を癒し、回復機能を高める効果も持っています。
ストレスが溜まってつらいときにも、紫色の花が役立つでしょう。
白い花:ユリ・かすみ草など
白色には、リフレッシュ効果や浄化作用があります。
気持ちを切り替えたいときや、心のモヤモヤが取れないときなどに、ぜひ白い花を飾ってみてください。
また、新生活を迎えた人にもおすすめです。
白い花が、新たなスタートを支えてくれるでしょう。
お庭がなくても大丈夫!省スペース菜園
大きい鉢を置けない場合は、牛乳パックをプランターとして利用する省スペース菜園がオススメです。
バジルやラディッシュなどの根が浅い野菜を育てられるほか、牛乳パックを縦にして作ればニンジンやカブなどの根が深い野菜も育てられます。
<牛乳パックプランターの作り方>
▼よく洗って乾かした牛乳パックの口を土がこぼれないようホチキスなどで2か所とめる
▼横に置いた時に上に来る面の縁から1cm内側をカッターナイフで四角く切り抜く
▼横面の下から1cmの高さにおよそ2cm間隔で排水用の穴を開ける
▼野菜用の培養土を入れて種をまく
室内で観葉植物を育てる
屋外で日常的に世話をするのが難しい場合は、室内でも育てられる観葉植物はいかがでしょう。
比較的育てやすい品種が多いのも魅力です。
アイアンや木製のおしゃれなスタンドを使うと、インテリアとしても楽しめますね。
観葉植物は種類が多く、床置き向きの大きいものから直径10cmほどの小さな鉢までバラエティ豊かです。
存在感のあるものを部屋の一角に置いたり、小さなグリーンをいくつか並べて飾るのもおしゃれです。
「土いじり」が果たす健康に対する効果
論文によると土壌に生息する腐生性細菌 Mycobacterium vaccae菌に
・抗炎症
・免疫調節
・抗ストレス作用
が確認されたとのことでした。
このMycobacterium vaccae菌は以前から、抗うつ効果があることが知られており、土に近い生活をしているほど、うつになりにくいとされていましたが、この度さらに他の効能も確認されたことになります。
農家の方や、土いじりの習慣のある方は、比較的健康な方が多いのが頷けます。
これには農作業で体を動かすということ以外に、土の中の細菌に触れること自体が、健康に大きく寄与しているということのようです。
あなたが想像している以上に“植物を育てる”という行為はストレスや不安を軽減し、精神的な安定につながります。
園芸療法と聞くと難しそう…と思ってしまう方もいるかもしれませんが、小さなプランターに種を蒔いて育てることから園芸の効果を実感してみてはいかがでしょうか?
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
皆さまの幸せを祈っております。