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同性カップルの、ふたりで一緒に生きていく宣言みたいなもの

昨年の11月23日、
わたしと彼女はフォトウェディングをした。

風が秋めいてきて、
ふともうすぐ1年が経つんだと気がついた。

あの頃は幸せすぎて、なかなか文章にもできなかったから、もうすぐ1年が経とうとしている今、そんな、幸せすぎた時間を、書き記しておこうと思った。

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“ 結婚”

フォトウェディング
といっても、わたしたちにとってそれは正式な結婚ではない。

わたしたちは同性同士のカップルだし、
わたしも彼女も、「結婚」というものに懐疑的で、あまり興味なくここまで生きてきたから、
たとえ同性が結婚できる世の中だったとしても、していたかどうかはわからない。

だけど、同性同士の結婚は認められてほしいと思っている。同性だろうと異性だろうと、関係性はそれぞれだ。お互いの考えや関係に合わせて、パートナーシップや結婚や、いろんな選択肢の中から選べるようになればいいと思っている。

だからこのフォトウェディングは、わたしたちと関わってくれている大切な人たちに向けた、わたしたちがふたりで一緒に生きていく宣言みたいなものです。

撮ってほしい人

結婚というものに興味のなかったわたしたちが、それでもフォトウェディングをしたかったのは、
撮ってほしい人がいたからだった。

彼女には親友がいる。
こういう時、友達とか親友とかなんて呼ぶのが合ってるのかわからないけど、彼女と付き合って1番最初にこういう友達がいてね、と話してくれたのがその子だった。

大学時代と社会人になってからも、
彼女が話す、青春のようなエピソードにはその子がいて、
彼女にとってその子との出会いが大きなものであることはすぐにわかったから、
わたしがまだ出会う前からずっと、彼女の隣にはその子がいたんだなと思うと、心強いようななんとも嬉しいような、そんな気持ちになる。

付き合ってからはわたしもよく一緒に会うようになった。
その子はいつもカメラを持ち歩いていて、
わたしたちの写真もたくさん撮ってくれた。

わたしは結構人見知りをするんだけど、
その子とは、珍しく最初からそんなに緊張せずに会えた。

それが、みほちゃん との出会いだった。

わたしたちはみほちゃんの写真が大好きだ。
SNSに写真があがるたび、
彼女とこれ素敵だね、これ好きだなあと話をする。

みほちゃんが撮るスナップ写真の中に写る見知らぬ誰かの姿からは、その息遣いや佇まいが感じられる。その人の人生の一端を見るような気持ちがする。みほちゃんの捉えるこまやかな写真に、いつも心を動かされる。

だからいつか、わたしたちの記念の時に写真を撮ってもらいたいと思っていた。

フォトウェディングをしたいと言った時、
みほちゃんはすぐに快諾してくれた。

コロナ禍もあって、延期にしたりなんだりしたけど、
その間に友達にロゴを描いてもらったり、
彼女がいつも髪を切ってもらっている友達にヘアメイクをお願いして、
彼女とみほちゃんの共通の友達に撮影のアシスタントをお願いできることになった。

ロゴ

わたしたちの周りには、いろいろな技術を持つ友達がいる。その友達の力を借りて、みんなの得意分野を結集させたフォトウェディングプロジェクトができないかなと考えた。だから仕事としてお願いをした。

わたしたちのイニシャルYとMをとって、
Yシャツとメガネと名付けて始まった。

ロゴを描いてもらいたいと話し合った時、
真っ先に名前があがったのがゆっきーだった。

ゆっきーも、彼女やみほちゃんが好きな音楽つながりの友達だ。

わたしたちをイメージして描いてほしいとお願いした。このロゴが届いた時は、本当に嬉しすぎて悲鳴をあげた。

ロゴにはこんな意味がこめられている。

わたしたちは、大きなことはできないと思っているけれど、わたしたちが自分たちらしくやっていくことが、何かの形ですこしずつ広がっていったらうれしいなぁと思った。

ゆっきーが作ってくれたロゴに背中を押してもらった。


周りの存在

今回なにより嬉しかったのは、協力してくれる友達がいることや、写真をあげる用に作ったインスタアカウントで友達が嬉しいコメントをくれたことだった。

わたしたち30代前半の世代は、
LGBTという言葉に接したのは高校生か大学生ぐらいのことだったんじゃないかと思う。

もっと小さな小学生の頃とかから必ず教わってきたわけでもないし、考え方や受け取り方には個人差はあるにしろ、LGBTに関する言葉を聞いたことがあるかないかは、環境によるところも大きい。

知ってはいるけど、身近にいるとは思っていないという人も、1人や2人じゃなくいる印象だった。それは異性が好きな人でも同性が好きな人でも。

かつて彼女がいることを伝えて疎遠になった友達もいたし、悪気ない言葉に傷つくこともあった。

一方で、まったくそれまでとなんにも変わらない人もいた。

同性同士のカップルは、まだまだ孤立しやすいと思っている。家族にも友達にも伝えられず、大事な人がいても紹介することもできず、何かあった時に助けてもらうこともできないんじゃないかと不安になる。

だからこそ、わたしたちがフォトウェディングをしたいと言った時に、集まってくれたり喜んでくれたりする友達がいることが、当たり前じゃないことを知っている。

ふたりで生きていくためには、
たくさんの人との関わりが必要になる。

周りに喜んでくれる人がいてくれることが、
どれだけ幸せなことか。

撮影に協力してくれたみんなと集合写真
ロゴを描いてくれた友達は遠方のためイラストで参加


こうして、みんなの協力を得ながら、わたしと彼女は当日の服や靴や小道具探しに集中して、準備を進めることができた。

彼女は古着屋さんを探して
わたしはZARAのメンズスーツのMサイズが良い感じだったのでそれにした。

わたしがメンズ服を着ることについては、過去にいろいろ書いてるからよかったら読んでね。

プロポーズ

そういえば、フォトウェディングをするにあたり、プロポーズもした。

順番が違うじゃないかと思うかもしれないけど、
わたしたちにとっては、みほちゃんに写真を撮ってもらいたいというのが先だったのでこうなった。

プロポーズの話は、それだけでまたひとつnoteが書けそうなくらいおもしろかったんだけど。プロポーズがおもしろいってどういうこっちゃって話だけど。

1個だけ話すと、彼女が憧れだと言っていた代官山のレストランを予約して、珍しく行先を隠し通してお店まで連れて行ったらめちゃくちゃ喜んでくれて、お料理も美味しくて、そこまでは完璧だったんだけど。いざプロポーズをしようとしたら、タイミングがわからなかった。

メインの料理が終わって、デザートまでの間、
あまりにも間があいたので、
もしかしてこれは…プロポーズをするタイミングなのでは……と思い、

なんとなくプロポーズだろうと察していた彼女に、
おそるおそる「今かな…?」と聞いたら、
かぶせ気味に「まだ!しまって!」と言われた。

彼女のサポートのおかげでなんとか良きタイミングで指輪を出せたけど、
指輪の箱はバターンと音をたてるし、
全然かっこよくなんてできなかった。

だけど、「これからもずっと一緒にいてください」と言った気持ちは、自分の本当の気持ちだった。

わたしたちは顔を見合せてちょっと涙ぐんで
おかしくなって笑った。

どうしてもプロポーズの瞬間をとりたかったから
外で再現してみた(笑)

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そんなプロポーズプチてんやわんやもありながら
無事に(?)当日を迎えることができた。

フォトウェディング


11月23日
国営昭和記念公園

前の日の雨が嘘のような晴天だった。
11月にしては暑かったような記憶がある。

前日の夜はTwitterのスペースで、
3人でおしゃべりをして、仲良くしてくれているフォロワーさんたちがたくさん聞いてくれて、その反応にテンションが上がったまま、だいぶふわふわした気持ちのまま眠りについた。

から、朝は眠かった。

だけど、彼女が先に着替えて鏡の前に立っている姿を見たら、目が覚めた。

はじめてドレスを着て見せてくれた時も、
世の男性たちは結婚式の時にこんな思いを味わっているのかと思った。

撮影がスタートすると、
わたしは急にどうしていいかわからなくなった。
それに対して彼女の堂々たるや。
こういうときにやっぱり、ふたりの性格や関係性が出るんだと思った。

わたしだけぎこちなかった(笑)
わたしが慌てると、いつもにこにこしながらそばにいてくれる彼女のおかげで、毎日が穏やかに進んでいっている

だけどみほちゃんは、自然な瞬間を逃さず、シャッターを切ってくれた。

青空も紅葉も綺麗で最高のロケーションだった
できあがった写真を初めて見せてもらった時、素敵すぎて息を飲んだ

プロポーズの時に渡した指輪も撮ってもらった。

指輪は、三日月のモチーフのものにしたよ
この先もどんな夜も照らしてくれますように
小さなブーケはふたりの本名をイメージして
MABATAKI美雨さんに作ってもらいました
彼女の靴も、MABATAKI美雨さん
ブーケはmarutomiさんに作ってもらいました
コブクロのMillion Filmsにちなんで、りんどうの花を入れてもらいました
あたたかくて大好きな写真
この撮影の時に、わたしがブーケトニアを落としていることに気がついててんやわんやした
結局、みほちゃんが見つけてきてくれた。ありがとう。


大好きな写真
しずかな、写真


このショットが美しすぎて、撮影している時から楽しみだった
ソロショットも撮ってもらったよ

最初は、1日がかりの撮影なんて初めてだったし、ドキドキしていたけど、夕方になって昭和記念公園のイチョウがオレンジ色に染まる頃にはなんだか帰るのが寂しくなっていた。

たのしかったね
(彼女が写ルンですで撮った写真)


カメラを構えるかっこいい後ろ姿も
(アシスタントをしてくれた友達撮影)

こんなに楽しい時間になったのは、
他ならぬみほちゃんと、集まってくれた友達のおかげだよ。本当に本当にありがとう。



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この日から、10ヶ月くらいが経つ。
彼女とは変わらず、毎日楽しく過ごしている。

写真はこの日だけのものだけど、
そこにはそれまでの、彼女と積み重ねてきた毎日が写っているような気もした。 

そしてみほちゃんが撮ってくれた後ろ姿を見ていると、
何十年後かを、おばあちゃんになったわたしたちを思わせるような不思議な気持ちになる。

そんなとき、願うことはただひとつだ。


あなたといつまでも、一緒にいられますように。

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