![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/139341884/rectangle_large_type_2_1f71b769c0c5f1f90460523172b5268d.png?width=1200)
憲法記念日なので少し語ります
普段は控えていますが不満・批判的な考えを語りたいと思います。気分を害する恐れがありますのでご注意ください。
サムネ画像は最近noteを拝読させていただくようになった「潤心さん」の写真です。特に本文との関係はありませんが、学ばせていただいており感服しておりますので、写真を使わせていただきたかったのです。潤心さんはこちらの方です。
こちらのジチタイワークスの記事をお読みいただいた方には身バレしていますが、現在「生活保護のお仕事」をしております。
生活保護の話で良く言われるのが「憲法で保障された生存権」という言い回しです。これは生活保護法第1条の「目的」としても明記されているところであり、間違いなく正しいのですが、私個人としてはとても「不満」なのです。私の理解としては
「憲法で保障された基本的人権の一つ生存権」ということを基礎にしています。そこを理解し意識していかないと
『仏作って魂入れず』
ではないかと現場で感じています(よし、お坊さんの潤心さんと仏で繋がった)。
また、以前こんなことを書きました。憲法12条からの引用で
「自由と権利は、常に公共の福祉のために利用する責任を負ふ」
安易な「自己責任論」は好きではありませんが、憲法に「自由と権利は、常に公共の福祉のために利用する責任を負ふ」と明記されていることも意識する必要があると考えています。権利も権限も濫用すべきではなく「公共の福祉のために利用する責任」があると考えています。
さて生活保護に話を戻します。「水際作戦」「車の保有」「不正受給」「最低生活費訴訟」など制度の運用で種々課題はあります。
が、それはさておき「生活保護法」の根底にあるのは「生存権を含む基本的人権」だとした場合、法律や制度の解釈・運用にあたっても「基本的人権」を踏まえて体系的に理解する必要があると考えています。
そのことについて思慮が足りなかった時期におきた私の失敗談を懺悔します。15年以上前の話です。
高齢の女性の方が老朽化した元下宿のアパートに住んでいらっしゃいました。トイレ・炊事場は共同でお風呂はなく、介護サービスを利用しながら何とか生活していました。
介護の担当ケアマネから
「一人暮らしでは大変だからグループホームに入居させられないか」
と相談を受けた私は、本人の気持ちを確認し、上司に相談し必要な手続きを行うなど、グループホームへの転居に向けて事務を執り行いました。
比較的新しいグループホームに入居したことを確認するために訪問した時は笑顔を見せてくれましたが、その数ケ月後に亡くなってしまいました。
『自分は何てことをしてしまったのか。安易に転居させてしまったけれど、環境の変化が命を縮めてしまったのではないか。余計なことをしてしまった。転居に同意はしていたけれど、ケアマネも一緒に居たから嫌と言えなかったのではないか。何故、もっと丁寧に話を聞かなかったのか。俺はあの人の寿命を縮めてしまったのではないか』
転居しなかったとしても天命の時期だったのかもしれません。と言い訳したい気持ちもあります。けれど
『もし天命だったとしても、住み慣れた下宿で長年交流していた方々に囲まれた中で逝きたいと考えていたのではないだろうか。俺は取り返しがつかないことをしてしまった』
と今でも後悔しているのです。
その後、別な領域の業務を経験し、現在は最前線のケースワーカーではなく係長・査察指導員としてケースワーカーの方々と仕事をしています。
昔の自分の失敗談を伝えつつ相談に応じながら、様々な課題に対しケースワーカーに不満・批判的な意見を伝えることがあります。
「それは本当にその家庭のためになるのかい。生活保護制度上それをするという考えはわかるよ。その家庭のことを一番知っているのは担当者だから君の考えを尊重する。だけど、昔、自分が失敗したことを未だに後悔している。そんな想いをして欲しくないから確認させて欲しいんだ。
法の趣旨『基本的人権・尊厳を守る』という視点で考えたらこういう方法もあるんじゃないかな。それについてはどう思う」
ケースワーカーに対し「不満・批判」は伝えますが、判断は尊重します。私の考えは押し付けないよう一緒に考えます。その結果
「じゃぁ、それでいこう。上にはその方向で説明しておく」
ということが多いので、一見似たようなケースでも最終的な判断が異なることもあり
「太郎さんは前回と言っていることが違う。いい加減だし、適当過ぎる」
という「不満・批判」を表裏で受けることも多々あります。
前例踏襲を絶対的な是とするこの業界で前人未到が好きな私は異端です。
私としては「基本的人権・尊厳」を守る。という基本は全くぶれていないつもりなのですが、修行が足りないため上手く伝わらないようです。
さて、憲法とかお仕事に関係する、固くてツマラナイ話をお読みいただきありがとうございました。
最後はいつもの
#何を書いても最後は宣伝
福島太郎は「創作大賞2024」に「お仕事小説」でエントリーしています。スキ・感想文など応援していただけたら嬉しいです。
こちらのお話を始め、kindle出版をしております。お読みいただけたら嬉しいです。電子版はkindle unlimitedに対応しています。
また5月19日に開催する文学フリマ東京38に出店します。
木花薫さんとのコラボ出店です。福島太郎は読むと福島が好きになる福島文学を目指し、福島県を舞台とした「人間賛歌」の物語を中心に発表しています。
木花薫さんは、小説「結婚したい女たち」、俳句集と絵本を刊行。時代小説「梅すだれ」をnoteで連載中です。
いいなと思ったら応援しよう!
![福島太郎@kindle作家](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/53188325/profile_853923cfaf79e6d3b36183c956660290.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)