【創作SS】流れ星に願う
提案を聞いた係長は、怪訝な表情を浮かべた。
「フードドライブ、何だ、それ。フードバンクとは違うのか」
「フードドライブは、各家庭で使い切れない未使用食品を持ち寄り、一旦まとめてから、福祉施設や福祉団体などに寄贈する活動です。バンクは企業や団体などから組織的に集め、ドライブは各家庭から小規模に集めるという違いがあります。
横浜市などでは、環境事業を所管する課が担当しているようです。うちの役所でもいかがでしょうか」
「福祉施設に寄付するなら、福祉部局でやればいいだろう。うちが積極的にやるのは賛成できんな。しかも、スタート時はともかく、事業が拡大したら、コストがだんだん高くなるドライブになるだろ。財源をどうする」
得意気な顔で駄目出しをしてきた。
(SDGzに関係する新規事業案を、と言われたのに、また流れ星のように消えるだけか)
席に戻り、パソコンのAドライブに収納してた資料を没用ディスクに移した。
ディスクの名前は「星屑ドライブ」。
(本文 ここまで)
#毎週ショートショートnote
はい、たはらかにさんの「毎週ショートショートnote」に参戦ですが、前回のショートコントではなく、役人ネタです。
ところで「夢見る木幡山」にAmazonで、20人目の⭐︎をつけてくださった方がいます、この場を借りて御礼申し上げます。
今回のS Sや、この「夢見る木幡山」もですが、私の作品には時々「お役人」が登場します。なんとなく「お役人」を描いてる時は、筆のノリが良い気がしますので「お役人小説の第一人者」とでも名乗ろうかしらと考える春でした。
なお、作品の内容はフィクションです。
実在の市役所とは全く、全然、少しも関係ありませんこと、申し添えます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
福島太郎は「文学フリマ東京36(5月21日)、文学フリマ大阪11(9月10日)」に出店を予定しています。
#何を書いても最後は宣伝